暗室不要の蛍光顕微鏡が研究を大きく変えた

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カスタマーボイス

04. 人工がん幹細胞(iCSC)の作製に成功

佐谷氏が取り組んでいる最新の研究が、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)で採択された「人工がん幹細胞を用いた分化制御異常解析とがん創薬研究」だ。佐谷氏はiPS細胞の作製技術を応用することで、マウスの正常細胞に特定の遺伝子操作を行い、自己複製能と分化能と腫瘍形成能を有する人工がん幹細胞(induced cancer stem cell:iCSC)へと誘導することに成功している。

今後は各種iCSCを用いて腫瘍形成の機構を探るとともに、腫瘍形成を制御できる化合物、抗体などをスクリーニングすることを目的としている。現在はマウスを用いた研究だが、最終的には、がん治療創薬の標的として用いるために、ヒトの正常体細胞からのiCSCの作製をめざすという。

がん幹細胞の理論に基づく最新の研究では、子孫がん細胞とがん幹細胞を別々に狙った薬剤を用いることが考えられている。まず子孫がん細胞を治療薬で殺し、その後に従来、治療薬が効かなかったがん幹細胞を別の薬を狙い撃ちにするという治療法である。これによって、治療効果を劇的に高めることができるのではないかと考えられている。

イメージ:iCSCの作製。正常細胞に限定された…
iCSCの作製。正常細胞に限定された遺伝子操作を加えることで、過形成や遺伝子不安定化という時期を経ることなく、短期間で高頻度に自己複製と分化の両方の能力を持つがん幹細胞を誘導する。
イメージ:がん幹細胞理論に基づくがん治療の変化…
がん幹細胞理論に基づくがん治療の変化。従来の抗がん剤治療ではがん幹細胞を殺すことができないのに対して、新たな治療法ではがん幹細胞を標的にすることで腫瘍の根治をめざす。

05. 暗室不要の蛍光顕微鏡が研究を大きく変えた

がん治療において、セルベースの研究が重視される現在、「画像観察が重んじられ、顕微鏡の果たす役割はますます重要になっている」と、佐谷は指摘している。「がん細胞の変化をつぶさに観察するには立体的な観察が欠かせません。また、観察だけでなく、がん細胞の数をカウントすることによって、不均一性の確認が必要です。観察作業をスピーディにこなすとともに、計測もできる顕微鏡が求められています」

佐谷氏は、学生時代からセルベースの研究を続けてきたことから、蛍光顕微鏡は必須の機器であったという。「毎日のように暗室にこもって3時間以上、観察していました。細胞の絵をスケッチするのに、ポケットライトで手元を照らしながら描いたものです。しかし、この作業は目が疲れる上に効率が悪いものでした」と、当時の苦労を述べている。

そのため、キーエンスの蛍光顕微鏡BZシリーズ「バイオレボ」を熊本大学時代にデモンストレーションで初めて見たときは驚いたそうだ。「接眼レンズではなく、モニターで観察できるというのはエポックメーキングなことでした。学生たちから使いたいという希望が多かったことで導入を決めたのです」

イメージ:佐谷研究室内に設置されている…
佐谷研究室内に設置されている「バイオレボ」。省スペースなので場所をとらないメリットもある。

導入後、効果は早速表われた。「明視野で使えるので観察がとても楽になりました。また、モニターを大勢の学生と一緒に見ながら、重要な箇所を説明したり、実験についての指示を出せる点が大きなメリットでした。接眼レンズの顕微鏡ではまず考えられませんでした」と語っている。

近年、創薬のスクリーニングは化合物をあらかじめ絞り込んで行なう傾向にあるとはいえ、それでも候補数は数千から1万の規模におよび、効率的なスクリーニングが欠かせない。観察や撮影をスピーディに行えるかどうかは顕微鏡の良し悪しにかかっているといっても過言ではない。

なお、教育現場での情報共有を重視する佐谷氏は、モニター画面にクリアに写った細胞の画像などをあえて表示させておくという。これによって、研究室の学生が画面を必ず見ることで興味が湧き、「自分でもきれいな画像を撮ろう」という気づきにつながるのだそうだ。「画像を通じて研究成果を共有するということは、研究室全体のレベル向上につながると考えます」と佐谷氏は語る。

06. 研究の効率化に貢献している「バイオレボ」

佐谷氏が研究機器を選択する際の大きな基準は「研究のスピードアップに役立つか」という点。それとともに、研究室内で何人の研究員が使えるか、もしくは使いたいと思うか、を重視する。「その点、バイオレボは室内でほとんどの研究員が使用しています。それと、稼働率が高い割に故障することがない点も評価できます」と述べている。

マウスを用いたがんの浸潤・転移の様子をセルベースで把握するには、臓器の連続切片を観察する必要がある。一つの臓器について20~30枚の切片標本をつくることになるが、「従来の接眼顕微鏡では短時間でとても観察しきれない数」という。それがバイオレボを用いることで、約1時間程度で撮影を済ませることができる。

イメージ:臓器の連続切片の標本…
臓器の連続切片の標本。これだけの量の撮影を1時間程度で処理している。

また、広域画像を撮影後に画像の張り合わせが素早く、しかも継ぎ目なしでできる「イメージジョイント」機能を佐谷氏は高く評価している。「学会で画像を発表すると、出席した先生方から撮影方法について質問を受けることがしばしばある」と語っている。

がん細胞の増殖の様子を詳しく知るためには、より生体に近い環境で立体的な観察が求められているが、その点、縦方向の観察に強い「XY・Z軸ステージ」が役立っているという。

そのほか、一定の密度の中にどれだけのがん細胞があるかを計測するため、「セルカウント」機能を使用することが多いとのこと。観察内容を数値化することが求められる時代にあって、この機能はますます重要になっている。

イメージ:「バイオレボ」で連結したマウスの…
「バイオレボ」で連結したマウスの胃の広域画像。つなぎ目やムラなどは一切ない。臓器のサイズは約18×12mm。
イメージ:「バイオレボ」の「イメージジョイント」の…
「バイオレボ」の「イメージジョイント」の操作画面。複数の画像を簡単な操作で連結させることができる。
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