反射式超音波レベル計
超音波式レベルセンサは、超音波の伝搬現象を利用し、その伝搬時間の測定や減衰の検出によって動作するレベルセンサで、反射式と透過式に大別できます。
反射式は、空中に発信した超音波が測定対象面から反射して戻ってくるまでの時間を測定し距離に換算します。
透過式は、超音波の発信部と受信部を対向配置させ、その間に液体が介在する場合としない場合の超音波パルスの減衰量の変化を検出します。
反射式は非接触タイプですが、透過式は接触タイプになります。
ここでは反射式超音波レベル計の原理や構造などを紹介します。
反射式超音波レベルセンサは、超音波パルスが測定対象の表面までの空間距離を往復するのに要する時間を測定することによってレベルを連続的に測定します。
原理
- タンクやサイロの上部に設置した超音波送受信器から超音波パルスを発信して、超音波パルスが測定対象面から反射して戻ってくるまでの時間を測定することにより、超音波の空気中の伝搬速度からレベルを測定します。
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超音波パルスが発信されてから受信するまでの時間をt、空気中の伝搬速度(音速)をc、送受信器から測定対象面までの距離をLとすれば、式(5.1)で示す関係で表されます。
- L = ct/2 ・・・・(5.1)
- 伝搬速度cは空気の温度により変化するため、温度補正を行う必要があります。超音波送受信器内に温度補正用の温度センサを内蔵しているものが一般的です。空気中の伝搬速度と温度の関係は式(5.2)で表されます。
- C [m/ s ] = 331+0.6×空気中の温度(°C)・・・・(5.2)
構造
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超音波振動子は交流電圧を印加すると、その周波数に合わせて振動します。逆に、振動子に振動を加えると電圧を発生します。この特性を利用して、超音波の送受信を行っています。
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発振回路で発生させた交流電圧を超音波振動子に印加すると、超音波を発生します。このとき、超音波を連続的に出し続けるのではなく、バースト波状に発信します。
超音波信号が止まっている間に、出した超音波が反射し戻ってきて、超音波振動子にぶつかり、振動させます。振動により超音波振動子が電圧を発生します。電圧を検出して、超音波の伝搬時間を計算します。
選定方法
比誘電率の選定
使用するタンクや槽のサイズに合わせて検出範囲を選択します。
検出範囲には近距離側に不感領域が存在します。センサの近距離付近の満タン状態まで使いたい場合は、不感領域にかからないように注意が必要です。
精度
使用するセンサの分解能、直線性を確認して、用途と合っているか確認します。
耐環境性
使用周囲環境の温度、湿度、保護構造を確認して、用途と合っているか確認します。
注意点
設置環境
超音波センサの発する超音波にはスポット径が存在します。これは、距離が遠くなるほど大きくなります。スポット径がタンク壁や攪拌のプロペラなどに当たらないよう、設置場所はよく注意する必要があります。
付着や結露
センサヘッド全面の超音波発振素子に、結露や油などの被膜がつくと、超音波が送信されない不具合が発生します。結露や付着しないようにエアブローなどで対策が必要です。
波立ち
液面が波立っている場合、超音波の反射波が受信器に向かない場合があり、測定できません。その場合は防波管などで対策が必要です。
泡立ち
液面に泡が発生している場合、泡の表面を検出する場合があります。センサ側での対策が難しいため、消泡剤などで液体側の対策が必要です。
まとめ
このページでは、反射式超音波レベル計の原理や構造、選定方法・注意点について説明しました。
それらをまとめると、以下の通りです。
- 測定対象面に超音波パルスを照射し、反射して戻るまでの時間でレベルを検出する。
- 比誘電率はタンクや槽のサイズに合わせる。
- センサヘッドへの異物の付着、液面の波立ちや泡立ちは、誤検出の原因になる。
検出する液体によって、レベル検査の方法もさまざまです。最適なレベル検査を行うには、それらの特徴を知り、正しく検査することが大切です。
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