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熱処理の基本

熱処理と鋼材

鋼材の分類や特殊鋼の熱処理について

金属加工に用いられる鋼材は、大きく「普通鋼」と「特殊鋼」に分けることができます。こちらではJIS鋼材規格から普通鋼と特殊鋼の分類、必要な熱処理、それぞれの用途について解説します。

JIS鋼材規格による普通鋼と特殊鋼の分類

普通鋼は切断や溶接によって製品化するための素材で、熱処理が行われていないことが特徴です。炭素鋼とも呼ばれ、炭素(C)のほかにケイ素(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)という元素が含まれています。ちなみに炭素鋼に含まれる5つの元素を「5大元素」とも呼びます。

これに対して特殊鋼は、クロム(Cr)やニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)などの元素を添加し、熱処理を加えたものを指します。複数の元素を添加していることから合金鋼とも呼ばれます。

鋼材もほかの工業製品と同様にJIS規格によって分類されています。主に原料や公差、製品個々の仕様で大別され、鋼材の形状や用途などによって細分化されます。以下では、主なJIS鋼材の分類をご紹介します。

JIS鋼材の分類

普通鋼 SS材 一般構造用圧延鋼材 熱処理の規定なし
SM材 溶接構造用圧延鋼材
SB材 ボイラーおよび圧力容器用鋼板
SPC材 冷間圧延鋼板および鋼帯
特殊鋼 S-C材 機械構造用炭素鋼鋼材 熱処理の規定あり
H鋼 焼入れ性保証の機械構造用合金鋼
SK材 炭素工具鋼鋼材
SKS・SKC・SKT材 合金工具鋼鋼材
SKH材 高速度工具鋼鋼材
SUJ材 高炭素クロム軸受鋼鋼材
SUP材 ばね鋼鋼材
SUS材 ステンレス鋼鋼材
SUH材 耐熱鋼鋼材

普通鋼と特殊鋼の違い

前述のとおり、普通鋼と特殊鋼の大きな違いは熱処理にあります。普通鋼は熱処理を行わず、圧延したまま素材として使用。使用目的によって「一般構造用」「ガスボイラー用」「素材コイル」に分けることができます。

もっとも用いられているのが一般構造用普通鋼で、強度さえあればよいなら「SS材」、溶接による靱性低下を抑えたいのであれば「SM材」のように用途・目的に合わせて選択します。

普通鋼

特殊鋼は添加する元素によって硬度、強度、粘り強さ、耐磨耗性、耐熱性、耐食性などの特性を向上させられるため、普通鋼では耐えられない厳しい環境下での用途に適しています。ただし、熱処理が必要なので普通鋼より製造プロセスが複雑になります。

特殊鋼

特殊鋼の種類

特殊鋼は使用目的によって構造用鋼や工具鋼、その他の特殊用途鋼のように用途によって分類されます。ここでは主要な特殊鋼についてその用途と特性などについてご紹介します。

分類 用途・特長
構造用鋼 特殊鋼のなかでもっとも種類が多い鋼材です。土木、建築、橋梁、船舶、車輛、機械、機器をはじめとする構造物の構成部品として、主に構造的強度を担保するために用いられます。
工具鋼 工具用炭素鋼材、合金工具鋼、高速度鋼などがあり、切削工具や金型に用いられる鋼材です。特長としては耐摩耗性や靱性に優れていることが挙げられます。
その他
特殊用途鋼
ステンレス鋼 不動態皮膜と呼ばれる薄い保護層を形成するため、錆びに強いことが特長です。11%以上のクロムを含む合金鋼をステンレス鋼と規定しています。
耐熱鋼 文字通り高温下の使用に耐える鋼材です。適度な強度と耐酸性があります。
超合金 高温でも高い強度を示す鋼材。鋼の弱点である耐食性や耐熱性を多量の合金元素を添加することで改善したものです。別名スーパーアロイとも呼ばれます。
ばね鋼 自動車や鉄道車両の板ばねのほか、各種ばねに用いられる鋼材です。シリコンの含有率が高く、耐衝撃性や耐疲労性に優れています。
軸受鋼 球状化炭化物が均一に分布した鋼材で、ボールベアリング(軸受)など耐摩耗性が必要な場合に用いられます。キルド鋼を複雑に熱処理して製造するため手間がかかります。
快削鋼 一般の鋼材に比べ被削性を高めた鋼材です。切削効率がよく、製品の仕上精度を高めることができます。

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