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熱電対使用時のポイント

熱電対の延長

補償導線とは

補償導線とは熱電対と温度計測器との間を接続するのに使用する導線のことです。
使用温度範囲(0°C~+60°C)においては熱電対とほぼ同等の熱起電力特性をもっていますので、主に熱電対の延長に使用します。

熱電対の延長はなぜ補償導線でないとダメなのか

下図のような温度勾配を考えます。

熱電対の延長はなぜ補償導線でないとダメなのか

感温部は温度勾配がある部分ですので、補償導線においても、その温度差に相当する熱起電力が発生します。計測器では発生した熱起電力の合計値を演算し、温度として表示します。

熱電対の延長はなぜ補償導線でないとダメなのか

上図のように補償導線を使用せず、仮に銅導線を使用すると、温度勾配のある部分であっても熱起電力が発生しません。その結果、温度の測定結果としては誤差が生じてしまいます。

温度勾配がなければ銅導線でもOK?

実際に温度勾配がない場合においては、「熱電対の基礎」でも述べたように、熱起電力が発生しません。従って、熱起電力が発生しないような温度勾配のない部分の延長に関しては銅導線でも問題ありません。

熱電対と補償導線の接続

熱電対と補償導線の接続は、接続部の温度勾配がない場合、通常の端子台で問題ありませんが、仮に温度差が生じると正確な計測ができなくなります。その場合は使用する熱電対と同等の熱起電力特性をもつ、専用のコネクターを使用します。

熱電対の最大延長

熱電対自体は1km以上延長しても使用可能です。ただし、計測器には通常、配線できる入力信号抵抗値の最大値、"入力信号抵抗"が決まっています。熱電対の総抵抗値がこの値以上になると正確な計測ができなくなりますので注意が必要です

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熱電対の校正

定点法と比較法

熱電対の校正とは使用する熱電対が示す値と、真の温度との関係を決定する作業のことをいいます。校正は通常、半年に1回行います。校正方法は大きく分けて定点法と比較法があります。

定点法

定点法とは正確な温度値を温度定点で与えて校正を行う方法です。

定点法

図のように定点の温度を測定して校正します。
温度定点は物質の相平衡状態ですので、いつ再現しても温度は一定です。

定点 温度
窒素の沸点 -195.798℃
酸素の沸点 -182.954℃
氷点 0℃
水の沸点 99.974℃
水の三重点 0.01℃
錫の凝固点 231.928℃
亜鉛の凝固点 419.527℃
アルミニウムの凝固点 660.323℃
銀の凝固点 961.78℃
金の凝固点 1064.18℃
白金の凝固点 1768℃

水の三重点(0.01℃)とは

水の三重点とは液体、気体、固体が共存する温度で、一般に水の三重点セルと呼ばれるガラス製のセルで実現されます。
±0.001℃と、最も良い精度が得られますので、定点法ではよく使用されます。

比較法

比較法とは任意に定めた恒温槽の温度を標準熱電対で計測し、同時に計測した被校正熱電対との誤差を求めて校正を行う方法です。

比較法

定点法と比較すると精度は落ちますが、任意の温度で校正できることが特長です。

熱電対の寿命

熱電対にも寿命があります。使用する温度や雰囲気で大きく変わりますが、一般的に酸化雰囲気中で常用温度以下で使うと貴金属熱電対で約2000時間、卑金属熱電対は約10000時間程度です。上限温度で使用すると約50~250時間と寿命は大幅に短くなります。熱電対が寿命に近づくと正常な温度を示さなくなり、最終的には断線します。正確な計測を行うために、熱電対の定期的なメンテナンス・交換を行うようにしてください。

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熱電対計測トラブルシューティング

熱電対計測トラブルシューティング

熱電対を使用して温度を計測する際、正確な計測値が得られないことがあります。以下は熱電対計測において、陥りやすいトラブル事例をまとめています。

右記は正常に熱電対計測を行っている様子です。全体の熱起電力は1.00mV+3.00mV+10.00mV=14.00mVから測定値は100℃となります。

(熱起電力の各値は参考値とします)

熱電対、補償導線の極性が違う

熱電対、補償導線の極性が違う

熱電対、補償導線の極性を間違えると正確な計測ができません。

全体の熱起電力は-6.00mVとなり、計測器には間違った温度が表示されてしまいます。

補償導線に銅導線等を使用している

補償導線に銅導線等を使用している

温度勾配がある場合、補償導線の代わりに銅導線等を使用すると正確な計測ができません。

全体の熱起電力は11.00mVとなり、計測器には間違った温度が表示されてしまいます。

種類の異なる熱電対、補償導線を使用している

種類の異なる熱電対、補償導線を使用している

計測器とは異なる種類の熱電対、補償導線を使用すると正確な計測ができません。

全体の熱起電力は7.50mVとなり、計測器には間違った温度が表示されてしまいます。

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