カムの種類

カム(原動節)には、「平面カム」と「立体カム」があります。また、カムによって作動する側(従動節)にも、動作や対偶部の形状により種類があり、カム(原動節)・従動節・フォロア(対偶部)の形状の組み合わせによって、カム機構が決まります。

平面カム

平面カムは「直進型」と「回転型」に分類されます。

直進カムの例
直進カムの例
  1. A: 往復運動
  2. B: 水平運動
  3. C: カム(原動節)
  4. D: 従動節
直進型:
直進カム(translating cam)
直進溝カム(translating grooved cam)
直進リブカム(translating rib cam)
回転型:
板カム(radial cam, plate cam)
溝カム(face grooved cam)
板リブカム(face rib cam)

立体カム

立体カムは、「円筒形」・「円錐形」・「たる形」・「鼓形」に分類されます。

円筒溝カムの例
円筒溝カムの例
  1. A: 水平運動
  2. B: 回転運動
  3. C: 原動節
  4. D: 従動節
円筒形:
端面カム(end cam, bell cam)
円筒溝カム(cylindrical grooved cam, barrel cam)
円筒リブカム(cylindrical rib cam)
円錐形:
円錐端面カム(conical cam)
円錐溝カム(conical cam)
円錐リブカム(conical cam)
たる形:
たる形端面カム(convex globoidal cam)
たる形溝カム(convex globoidal cam)
たる形リブカム(convex globoidal cam)
鼓形:
鼓形端面カム(concave globoidal cam, roller gear cam)
鼓形溝カム(concave globoidal cam, roller gear cam)
鼓形リブカム(ローラギヤカム)(concave globoidal cam, roller gear cam)

カムリングとは

カムリングは、「ベーンポンプ」といわれる回転式の容積式ポンプ*に使用される機械要素です。ベーンポンプは主にローター、ベーンそしてカムリングで構成されており、ポンプの1回転当たりの容量が変わらない「固定容量式」と、1回転当たりの容量を0ccから最大容量まで変えることができる「可変容量式」があります。

ローターのスリットには複数のベーンが取り付けられていて、ローターが回転するとベーンが動き、流体を吸引し吐出します。この一連の動作の中で、カムリングはベーンの運動をコントロールします。

容積式ポンプ:ポンプの内部に密閉空間(容積室)があるポンプです。密閉空間はピストンやシリンダで区切られています。ベーンポンプの場合はケーシング内をローターで区切っています。

ベーンポンプの構造
ベーンポンプの構造
  1. A:カムリング
  2. B:ベーン
  3. C:ローター
  4. D: 吸入ポート
  5. E: 吐出ポート

従動節の種類

カムによって作動する側(従動節)には、主に「直動型」・「揺動型」があります。直動型はカムから直進運動を、また揺動型はカムから往復運動を得ます。

その他、連続運動ではなく一定時間運動したのち停止し、再度運動する動作を得る「間欠運動型」などがあります。

従動節の種類
従動節 - 直動型
直動型
従動節 - 揺動型
揺動型
  1. A:往復(上下)運動
  2. B:回転運動
  3. C: カム(原動節)
  4. D: 従動節
  5. E: 揺動運動

フォロア(対偶部)の形状

フォロア(対偶部)は、カム(原動節)と従動節が接する部分で、主に「突端(ポイントフォロア)形」・「平端形」・「ローラー(ローラフォロア)」といったタイプがあります。突端形は、従動節へカム形状を正確に伝えることができますが、摩擦による摩耗が欠点です。平端形とローラーは摩擦の少ない伝達が可能ですが、カム形状によっては、その形状を正確に伝えることができない場合があります。フォロア(対偶部)の形状は、これらの特徴を理解したうえで選択する必要があります。

対偶部(フォロア)の種類
ローラー(ローラフォロア)
ローラー
(ローラフォロア)
突端形(ポイントフォロア)
突端形
(ポイントフォロア)
平端形
平端形

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