異分野に学ぶ、「パートナーとしての付き合い方」
導入したAIが任せっぱなしになると、比例的に高まるのが「知識のブラックボックス化」というリスクだ。イレギュラーに対してどのように対処すべきなのか、判断基準とは?といった知識がAIのみに蓄えられ、人間はその成果を受け取るのみとなる。つまり、人間がノウハウの蓄積や思考力を失い、改善やイノベーションへとつなげていく基盤を失っていくのである。もちろん、AIが代行してくれている間により高度な知的作業に従事すればよいという議論もあるが、それでも機会損失の大きさは変わらない。製造業の地力や人材力をじわじわとすり減らしていくことにもなりかねない。
いま、将棋界もAI将棋の普及で揺れているが、そうした中で無類の強さを発揮している藤井聡太竜王はAIが指す「とんでもない一手」を真似るのではなく、なぜそこに至ったのかという「思考プロセスそのもの」を徹底的にたどるという。その一手に至った無数の選択肢をAIに開示してもらい、一緒に分析する。恐れるのでもなく任せるのでもなく、AIが得た知識をいかに活用するかがポイントだ。
AIを、パートナーとして考えると見える3つの視点
知識の共有がパートナーの条件なら、どのような知識の持ちようが望ましいだろうか?ここでは3つの視点で考えてみたい。
1つ目は「良質なインプット」という視点である。どんなに賢い人間でも、ポテンシャルだけでは戦力にはならない。AIといえば「ディープラーニング」というイメージも強いが「事前にどれだけ学習しているか?」という部分も重要である。しかもその知識はニーズにあった「良質な知識」であることが望ましい。
2つ目は「学習性」という視点である。ここでいう「学習性」とは1つ目の視点で説明した「良質な知識」を持ったうえで「ディープラーニング」することである。単純に理解力が高いというだけでなく、さまざまな情報から「何を取り込み、どう分析するか?」という部分も大切である。
3つ目は「プロセス共有」という視点だ。いわゆる「ホウレンソウ」である。現場を知り尽くし、あらゆるイレギュラーに柔軟に応える素晴らしいパートナーでも、独断専行で行動している場合は全体の成長にはつながりにくい。時にはプロセスを共有し、判断を仰ぐことも大切である。
これらの視点が商品に織り込まれていると、結果的に「使いやすさ」に繋がり、我々のパートナーとしての役立ち度が高くなるのである。
良質なインプット
学習性
プロセス共有
