静電気測定のコツ

除電器(イオナイザ)の性能を発揮するには、設置する環境や除電する場所に注意が必要です。ここでは除電器(イオナイザ)の周辺や除電する場所の条件が、除電の妨げとなるケースを紹介します。

絶縁体は不均一に帯電する

絶縁体は不均一に帯電する

静電気の発生は、主に物体同士の接触で発生します。物体は原子で構成されており、原子はマイナスの電気を持つ電子を持っています。それぞれの物体は電子の状態に応じて、ある表面エネルギー(電子のポテンシャルエネルギー)を持ちます。通常、二つの物体を比較すると、表面エネルギーには差があります。表面エネルギーの高い方から、低い方へ電子は移動します。両者の表面エネルギーが一致したときに電子の移動が止まります。

絶縁体は不均一に帯電する

一般に多結晶では表面に現れる結晶面が場所によって違い、つまり電子状態も違うので、表面エネルギーも場所によって異なります。また、プラスチックのような誘起高分子材料では、分子の配向が場所によって違うので、やはり表面エネルギーも異なります。そういったもの同士が接触すると、場所によって電子の移動=帯電状態が異なります。絶縁体はその名の通り、電気を通しませんので、物体中や表面を電気が移動できません。つまり、接触時の帯電が場所によって異なると、その後も違う電圧を持ったままになることがわかります。

絶縁体は不均一に帯電する

そのような物体の静電気を測定するときには、多点で測定するのが望まれます。

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測定値は距離によって変わる

静電気測定器は、帯電物によって検出センサ部に誘導される電荷量を測定します。静電気を帯びた物体からは電気力線が放射されます。電気力線の量は帯電圧に比例します。帯電物から検出センサ部に届く電気力線の本数によって、センサ部に誘導される電荷量が変化します。

測定値は距離によって変わる
<近い場合>

<近い場合>

<遠い場合>

<遠い場合>

帯電圧は一定でも、対象物と静電気測定器との距離が変化すると、入力される電気力線の数も変わります。つまり、測定距離が変わると、静電気測定器の測定値は変わります。

取り回し上の要請や品種によって測定距離が変わる場合、それを補正できる機能を持つ静電気測定器が便利です。

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測定範囲は距離によって変わる

測定センサは、対象物までの距離に応じて測定範囲が変わります。

測定範囲は距離によって変わる

測定センサの測定範囲よりも対象物が十分に大きければ正しい測定値を示しますが、検出範囲よりも小さいと測定値は小さい値を示します。

測定対象物S'<<検出範囲S0→測定値が小さくなる

測定対象物S'<<検出範囲S0
→測定値が小さくなる

測定対象物S'>>検出範囲S0→測定値は正しい

測定対象物S'>>検出範囲S0
→測定値は正しい

測定値が小さくなるのを補正できる機能を持つ静電気測定器が便利です。

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背面の金属に注意

背面の金属に注意

測定したい対象物は、背面に金属が無い状態で測定してください。もし背面に金属があると、測定値はほぼゼロを示します。静電気は電気の一種ですが、プラスとマイナスの電気同士には引き合う力(クーロン力)が働きます。たとえば、マイナスの静電気を帯びた物体が金属の上に載ると、金属表面には反対の極性のプラスが集まります。静電気測定器から見ると、マイナスとプラスが相殺して、そこには静電気が無いように見えてしまいます。静電気の大きさを測定したいときは、対象物を持ち上げて金属の影響が無い状態で測定します。

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