方式選びを誤ると起きる3つのこと
外径という同じ寸法でも、方式によって得られるものが変わります。
1方向しか測れず楕円度を見落とす
1方向から挟む、あるいは1軸で遮光位置を見る方式では、その方向の径しか分かりません。楕円になっている対象は、測る向きを変えれば値が変わります。楕円度(オーバリティ)や多点の径分布を管理したいなら、輪郭を画像で捉える方式か、複数軸で測る構成が必要です。何を管理したいのかを先に決めないと、測定器を入れた後に「測りたかったものが測れない」ことになります。
動いている対象に対応できず全数化を諦める
接触式や手作業の方式は、対象を止めなければ測れません。その時点で抜き取りが前提になり、突発不良の流出は避けられなくなります。走行する線材やチューブ、搬送されるワークを全数で管理したいなら、非接触かつ高速サンプリングの方式に限られます。精度の数値だけを比べていると、この制約を見落とします。
設置スペースと段取りが導入の壁になる
対象を挟む方式は、投光部と受光部の間に対象が入る必要があり、大径になるほど装置が大きくなります。画像で捉える方式は視野の大きさが測定範囲を決めます。断面から求める方式は片側からの設置で済みますが、対象の姿勢の影響を受けます。精度が足りていても、ラインに置けなければ導入できません。設置性は方式選定の重要な軸です。
方式を選ぶ4つのステップ
精度から入らず、測りたい項目と対象の状態から絞り込みます。
測りたい項目を決める
1方向の径だけでよいのか、楕円度や多点の径分布まで要るのかを決めます。ここで方式の候補が大きく絞られます。
対象の状態を確認する
止められるのか動いているのか、触れてよいのか、材質や透明度はどうかを確認します。動いている・触れられない対象は非接触方式に限られます。
測定頻度を決める
抜き取りでよいのか全数が要るのかを決めます。全数ならタクトに対して十分なサンプリング速度があるかが判断軸になります。
設置性とコストで絞る
対象の径に対して装置が置けるか、段取りの手間や導入コストはどうかを確認します。ここまで来てはじめて、仕様値の比較に意味が出ます。
外径の測定方法5方式の比較
楕円度の取得可否・移動体対応・タクト・設置性に加え、駆動部の有無による経時劣化とメンテナンス負荷まで横並びに整理します。
| 観点 | 3-CMOS×Green-LED方式 (LS-9000シリーズ) |
レーザスキャン方式 (レーザマイクロメータ) |
テレセントリック画像測定 (TM-X5000シリーズ) |
2Dレーザプロファイラ (LJ-X8000シリーズ) |
接触式 (ノギス・マイクロメータ/ゲージ) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1方向の外径 | ◎ 高速・非接触で測定 | ○ 非接触で測定 | ◎ 投影像から測定 | ○ 断面形状から算出 | ○ 接触して測定 |
| 楕円度・多点の径分布 | ◯ X-Y2軸タイプで楕円度を算出 | △ 2軸構成の機種もある | ○ 多点の径分布は1回の撮像で測定 | △ 片側では円弧のみ/全周は複数ヘッドで囲む構成 | △ 向きを変えて複数回の測定が必要 |
| 動いている対象への対応 | ◎ 走行中でも測定 | ○ 走査速度の範囲で対応 | ◎ 搬送中でも測定 | ◎ 搬送中でも測定 | × 停止が必要 |
| 対象への接触 | ◎ 非接触 | ◎ 非接触 | ◎ 非接触 | ◎ 非接触 | × 接触する |
| タクト(サンプリング速度) | ◎ 16,000回/秒 | △ 走査機構の速度に依存 | ○ 短時間露光で高速 | ◎ 高速プロファイル取得 | × 該当なし |
| 設置性(対象を挟む必要) | △ 投受光の間に通す必要がある | △ 投受光の間に通す必要がある | △ 投受光の間に通す必要がある | ◎ 片側から設置できる | ○ 挟むが小型・持ち運べる |
| 駆動部の有無と経時劣化 | ◎ 駆動部レス。機械的な摩耗がない | △ 走査機構があり、定期メンテナンスが必要 | ◎ 駆動部レス | ◎ 駆動部レス | △ 測定面・摺動部が摩耗する |
| 清掃・メンテナンス負荷 | ◎ 駆動部レスで故障を低減。エアパージユニットで清掃頻度も下げられる | △ 走査機構の保守とレンズ清掃が必要 | ○ レンズの清掃 | ○ レンズの清掃 | △ 校正と摩耗管理が必要 |
| 大径への対応 | ◎ 複数ヘッド同時測定で対応 | ○ 機種による | ◎ 複数ヘッド同時測定で対応 | ◎ 複数ヘッドの断面合成で対応 | ○ 対応しやすい |
| インライン全数検査 | ◎ 全数に対応 | ○ 走査速度の範囲で対応 | ◎ 全数に対応 | ◎ 全数に対応 | △ 条件による |
| 測定値の記録 | ◎ 保存・出力が可能 | ○ 機種による | ◎ 保存・出力が可能 | ◎ 保存・出力が可能 | × 手記録に依存 |
同じ「非接触で外径を測る」でも、駆動部の有無で運用が変わる
1方向の外径を高速・全数で測るなら3-CMOS×Green-LED方式、多点の径分布や端部の段差まで見たいならテレセントリック画像測定、片側からしか設置できない場所や異形断面なら2Dレーザプロファイラが向きます。レーザスキャン方式も非接触ですが、走査機構を持つため定期的な保守が必要になり、サンプリング速度も走査速度に左右されます。LS-9000シリーズは駆動部レスの3-CMOS×Green-LED方式で、16,000回/秒を保ったまま長期に使える点が選定の分かれ目になります。接触式は、止められる対象を抜き取りで測る場合に有効です。
外径測定の中心となる商品
走行する対象の外径を非接触・高速で測る、3-CMOS×Green-LED方式の寸法測定器です。
超高速・高精度寸法測定器
LS-9000シリーズ
キーエンス独自の3-CMOS×Green-LED方式を採用した寸法測定器です。高輝度Green-LEDの光を均一な平行光にして照射し、CMOS上に届いた光の明暗のエッジ位置から外径などの測定値を算出します。回転するポリゴンミラーでレーザをスキャンする従来のレーザスキャン方式とは異なり、駆動部を持たない構造のため経時劣化が起きにくく、長期間稼働するラインでも省メンテナンスで使えます。高速露光CMOSとの組み合わせにより16,000回/秒のクラス最速サンプリングを実現し、高速で走行する対象の局所的な寸法変動も捉えやすくなります。高速露光CMOSがワークのフレも鮮明に捉え、モニタCMOSが姿勢を監視して傾きを補正するため、フレや傾きがあっても測定値が安定します。16チャンネル同時測定機能により1ワークで最大16項目を同時に測定でき、測定値は大容量データストレージ機能で保存し、標準添付の設定支援ソフトLS-Navigator2からExcelへ転送できます。多点の径分布や端部の段差にはテレセントリック画像測定(TM-X5000シリーズ)、片側からの設置や異形断面には2Dレーザプロファイラ(LJ-X8000シリーズ)と、用途に応じて使い分けられます。
LS-9000シリーズの詳細資料を入手する
測定範囲・仕様・システム構成をまとめたカタログを無料でダウンロードできます。
方式ごとの測定例
同じ外径測定でも、方式によって適する対象と得られる情報が変わります。
3-CMOS×Green-LED方式:シャフトの外径測定
回転させたシャフトの外径を非接触で測定します。モニタCMOSが傾きを補正し、高速露光CMOSが回転中の振れも鮮明に捉えるため、測定値が安定し、全数管理に使えます(LS-9000シリーズ)。
3-CMOS×Green-LED方式:伸線工程のワイヤ外径測定
ダイスを出て走行するワイヤの外径を、16,000回/秒のサンプリングで連続測定します。高速露光CMOSが走行中のフレも鮮明に捉えるため、測定値が安定します(LS-9000シリーズ)。
テレセントリック画像測定:円筒電池の多点外径・段差測定
搬送される円筒電池を投影し、胴部の複数箇所の外径と端部の段差を1回の撮像で同時に測定します。輪郭全体を捉えるため、異物の付着など外形の異常も同じ画像で確認できます(TM-X5000シリーズ)。
外径の測定方法に関するよくあるご質問
- 外径の測定方法にはどんな種類がありますか?
- 大きく5つです。3-CMOS×Green-LED方式(透過光学式)、レーザスキャン方式、テレセントリック画像測定、2Dレーザプロファイラ、接触式(ノギス・マイクロメータ・ゲージ)。測れる項目、動いている対象への対応、設置性、保守の負荷がそれぞれ異なります。
- 走行中の対象を全数で測りたい場合は?
- 非接触かつ高速サンプリングの方式に限られます。1方向の外径であれば3-CMOS×Green-LED方式、断面形状ごと見たい場合は2Dレーザプロファイラが候補になります。接触式は対象を止める必要があります。
- 対象を挟めない場所ではどうしますか?
- 片側から設置できる2Dレーザプロファイラが候補になります。断面形状から外径を算出するため、投受光の間に対象を通す必要がありません。異形断面にも対応できます。
- 精度の数値で選んではいけないのですか?
- 精度は重要ですが、測りたい項目・対象の状態・測定頻度・設置性で候補を絞ってから比べるのが実務的です。仕様値は測定条件によって変わるため、条件をそろえずに数値だけを並べても比較になりません。
- 対象物ごとの具体的な測定例を知りたいのですが。
- シャフト・チューブ・パイプ・ケーブル・線材・光ファイバなど、対象物によって適した方式は変わります。用途が決まっている場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。
外径の測り方、用途から選びませんか
対象物と管理したい項目をお伺いすれば、適した方式と構成をご提案します。お問い合わせフォームからご相談ください。仕様はカタログでご確認いただけます。