前回の東京五輪を契機に“6,390万個”生産するまでに成長した製品は?
今回の約6,390万個という数字は、 2018年に日本メーカーが出荷した国産時計の総数です。日本の生産人口(15~64歳)が、7,484万3,915人ですから、実にその約9割に相当する数の腕時計が、1年間に生産されたことになります。
このうち国内向けの出荷量は年間約890万個となっており、残りの約5,500万個は、すべて海外へ輸出されています。
世界での日本製時計の評価は高く、海外の有名メーカーに負けずとも劣らない品質の高さが受けているようです。
こんにちのように日本の時計メーカーが世界中で愛用されるようになったきっかけは、1964年の東京五輪にあったといわれています。
当時の日本の時計の品質は、生産技術・部品・材料の研究を重ね、国際的な水準に達するだけでなく、コスト面でも十分な国際競争力を備えていました。ところが当時の日本の時計に対する評価は低く、海外でのブランド認知が追いついていなかったことなどが課題としてありました。
そんな中、大きなチャンスが到来します。1964年の東京五輪で使用される競技用計時のシステム構築に、日本のメーカーが名乗りを上げたのです。やがて、その信頼性やブランドが世界中に広く認知され、日本の時計の輸出量増加のきっかけとなったそうです。なかでも精巧でありながら、気軽に身に着けることができる腕時計は、世界で広く愛用されるようになりました。
あれから55年経ち、連日のように海外から多くの観光客が来日するとともに、メディアの多様化により、誰でも世界に向けて情報発信できるようになりました。かつての「時計」がそうだったように、より世界からの注目が集まる2021年の東京五輪をきっかけに、新たな需要を獲得するチャンスが企業規模を問わず訪れるかもしれません。
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