ランゲルハンス島におけるα細胞とβ細胞の可視化

ランゲルハンス島（膵島）とは

膵臓に存在する内分泌腺をランゲルハンス島（膵島）といいます。
膵臓には、アミラーゼなどの消化酵素を十二指腸に分泌する外分泌細胞とホルモンを分泌する内分泌細胞があり、ほとんどの部分は外分泌細胞が占めています。内分泌細胞は、外分泌細胞の中に小さな塊として島のように点在しており、これを発見したドイツの病理学者パウル・ランゲルハンス氏の名前からランゲルハンス島と命名されました。
ランゲルハンス島から分泌されるインスリンをはじめとするホルモンには、血糖値を調整する作用があり、この機能の低下が糖尿病の要因とされています。

ランゲルハンス島の細胞とその作用

膵臓は、膵頭部・膵体部・膵尾部に分けられますが、ランゲルハンス島は膵尾部に多く存在します。
ランゲルハンス島にはα（A）細胞・β（B）細胞・δ（D）細胞があり、それぞれ異なるホルモンを分泌して血液中に含まれるグルコース（ブドウ糖）の濃度を調整します。これにより、血糖値を正常な状態に保つことができます。

ランゲルハンス島の観察

抗グルカゴン抗体と抗インスリン抗体による蛍光免疫染色により、グルカゴン陽性細胞をα細胞、インスリン陽性細胞をβ細胞として可視化でき、ランゲルハンス島内での各細胞の分布を明らかにします。さらにセルカウントアプリケーションを用いることで、各陽性細胞の面積や蛍光強度を定量的に評価することも可能です。近年、糖尿病の根治的な治療方法の1つとして、iPS細胞などのヒト多能性幹細胞から作製された膵細胞の移植に関する研究が進められており、その中で糖尿病マウス由来の移植片においてインスリン陽性細胞の面積率が高いことが報告されていますが、この評価にも蛍光免疫染色による定量手法が用いられています。

これらの評価を行うには通常4倍～20倍程度の対物レンズを必要としますが、切片全体が一視野には収まらないため、ランゲルハンス島の存在する箇所を中心に観察し撮影することになります。しかし近年では評価データの客観性が強く求められるようになり、撮影・解析時の恣意性の排除*が課題となる中、特定の箇所を個別に観察し撮影する方法ではこの課題への対応が難しくなりました。
オールインワン蛍光顕微鏡 BZ-X800は、切片の外周4点を指定するだけで画像を自動撮影して高精度につなぎあわせる「イメージジョイント機能」により、切片の全体像を高精細に画像化し、これらの課題を解決します。
以下の例では、膵臓切片が1枚の画像に収まるように、Plan Apochromat4倍レンズにより横3枚×縦5枚の画像をイメージジョイント機能で自動撮影し、連結しています。