スフェロイドやオルガノイドの透明化観察

スフェロイドとは

スフェロイドとは、細胞同士が凝集して塊になったもののことを指します。
スフェロイドは数千個の細胞を凝集し3次元培養により球形に組織化させたもので、2次元細胞培養に比べ長期間にわたり高い機能発現を維持できることが知られています。そして、代謝勾配を形成しているため、細胞と細胞外マトリックス(ECM:Extracellular Matrix)間または細胞間において、相互作用を持つ不均一な細胞分布を作り出します。また、スフェロイドは神経組織・胚様体・肝細胞・腫瘍組織または乳腺由来の細胞など幅広い種類の細胞の集合体です。2次元細胞培養に対し生理学的に近い構造であことから、疾患時の多様な組織の状態を高度に再現することができます。
このような特性から、スフェロイドは薬物の有効性や毒性を評価するためのスクリーニング試験に広く利用されています。また、治療のためにスフェロイドを患者に移植する研究も進められており、虚血性疾患や肝疾患の治療において、スフェロイドの有用性が認められています。

オルガノイドとは

オルガノイドは、スフェロイドを進化させて、臓器としての機能を持たせたもののことをさします。
実際の臓器は継続的に栄養を供給することは難しいため、培養することはできません。一方でオルガノイドは、小型で単純なため、培養することができます。オルガノイドとスフェロイドとの違いは、スフェロイドは単純な種類の細胞を3次元培養した塊であるのに対し、オルガノイドは、臓器としての特定の機能を持つために、複数の細胞から構成された、より複雑な組織という点です。
オルガノイドは、脳、脊髄、肺、腎臓、胃、腸管など、さまざまな臓器で研究されています。また、がん研究の分野でも、患者の腫瘍細胞からオルガノイドを形成し、それを標的モデルにした研究が進められています。

スフェロイドの培養方法

一般的な培養方法は単層培養(monolayer culture)と言われ、細胞は平面な単層上に増殖します。そして、増殖した細胞が培養容器の培養面積を覆い尽くすと接触阻止現象により増殖が抑制されたり細胞が死んだりします。さらに、平面増殖であるため細胞間の結合の割り合いが低く、生体内での環境を再現することは困難です。一方、3次元培養した細胞は、生体内での形状を保ったまま立体的に増殖します。細胞間での結合の割り合いが高いためコミュニケーションが可能で、生体内での環境に近い実験が可能です。以上の理由から、単層の培養細胞では薬物の有効性などを評価しきれない場合があり、問題となっていました。

一般に、3次元培養におけるスフェロイドは構成する細胞数や大きさ、形が均一であることが望ましいとされます。また、容易に大量作製が可能であることも重要です。
スフェロイドの培養方法には、非接着性の培養プレートで振とう培養する方法や、表面張力を活かして細胞同士を接着する方法、培養チャンバーを回転させながら培養する方法があります。ここでは、現在多く用いられている培養方法を3つ紹介します。

Non-adhesive surface 細胞培養法:
非接着性培養プレートを使った培養法です。非接着性培養プレートは、表面の親水性を向上させた細胞培養用プレートです。非接着性培養プレートに滴下した細胞は培地を浮遊して細胞同士が接着し、スフェロイドを形成します。さらにプレートを振とうすることで、細胞の接触確率を高めることができます。培養プレートの大きさに応じて、1度に大量のスフェロイドを培養できるというメリットがあります。
Hanging drop細胞培養法:
培養プレートの蓋の内側に懸濁した細胞を滴下し、表面張力で盛り上がった液滴を培養する培養法です。重力で下に集まる細胞が互いに接着することでスフェロイドを培養することができます。1個のスフェロイドに含まれる細胞の数を揃えることが容易であるというメリットがあります。
Rotary細胞培養法:
培養チャンバーを回転させてスフェロイドを培養する方法です。回転させることで、懸濁状態の細胞同士が均等に接触するため、細胞数やサイズが比較的均一なスフェロイドを作製することができます。また、大量培養が可能な方法として注目されています。

スフェロイドの観察事例

以下の例では、キーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡BZ-X800を利用して、透明化試薬Scaleを使って透明化したHEK293のスフェロイドを観察しています。死細胞が赤く光っており、条件を変えた時の死細胞の分布や増減が観察できます。

従来、スフェロイドやオルガノイドを観察するとなると、レーザ共焦点顕微鏡を使用することが一般的でした。
しかし、①観察に非常に時間がかかる、②非常に操作が難しい、③細胞が褪色してしまう、ということで、思ったように観察できない、といった難点がありました。
BZシリーズのセクショニング機能を使用すると、厚みのあるサンプルでも、背景の散乱光の影響を受けない観察ができます。以下の通常観察の画像に比べ、クリアな画像が得られることが分かります。

オールインワン蛍光顕微鏡 BZ-X800を導入すれば