現場改善のヒント

「見える化」しているのに何も変わらないのはなぜ?

製造現場では、問題解決や改善を目的として、さまざまな「見える化」の取り組みが行われています。しかし、見える化を実施しても具体的な効果が出ないことがあります。このようなケースでは、「見えるようにしただけ」になっている可能性があります。
見える化は「目で見る管理」とも言われ、状態把握はもちろん、見逃しがちだったことを継続的にわかりやすく見えるようにすることが第一の目的です。その上で、実際に人が行動することにより、問題解決や改善が実現していきます。このページでは、効果的な見える化の進め方について解説します。

「見える化」しているのに何も変わらないのはなぜ?
この記事でわかること

「見える化」をしただけでは変わらない

製造現場で行われる「見える化」の手法はさまざまです。たとえば、現場から送られてくる数字をQC7つ道具によりグラフ化することで、見えなかった問題点を見えるようにする取り組みがあります。これは問題点の見える化です。また、口頭で指示していた作業内容を、指示書にまとめて指示漏れがないようにすることや、不具合が起きたら点灯するライトを取り付けることも、見える化の一種と言えます。このように、目に見えるようにすることで、正しく状況が把握され、見逃していたことに気づくことができるようになります。

ところが、せっかく見える化に取り組んでも、具体的な問題解決や改善が進まないケースがあります。その理由として、「見えるようにする」という手段が、目的化している可能性が考えられます。見えなかったものが見えるようになった時点で、以前より良い状態になった、改善が行われたと感じていることはないでしょうか。見える化の真の目的は、問題を見えるようにすることではありません。どのような対策を行うかを考えて、具体的な行動に移し、問題解決を図ることにあります。このように、「見えるようにする」だけでは、何も変わらないのです。

現場が変わる「見える化」のつくり方

効果的な見える化の実施には、見えることによって何を行うのか、目的を明確にすることが必要です。たとえば以下のような目的が考えられます。

問題点を見える化

→問題に速やかに対応し、再発防止策を考える
どのような問題があるのか見えるようにしたのならば、その問題を解決する方法、そして、再発防止策も併せて考えます。最終的に問題そのものをなくしていくことが目的となります。

方針を見える化

→目指す方向を明示して意識を統一し、同じゴールを目指すようにする
組織の中で目指すべきゴールの考え方や方向がバラバラでは、組織がまとまりません。品質目標やスローガンなどで方針を見える化し、どの方向に進むのか、ゴールは何であるかを明示します。また、より早く確実に目的を達成するには、具体的な行動指針を示すことも必要です。

知識を見える化

→属人化した作業や暗黙知を共有し、生産性や効率を向上する
知識や技能は、マニュアル化や数値化などで見える化することができます。しかし、それを各自が積極的に活用しなければ、再び埋もれてしまいます。見える化により知識の共有ができたらそれを標準化し、生産性や効率性向上などにどのようにつなげていくかを考える必要があります。

ムダを見える化

→作業や在庫のムダを発見して減らす
QC7つ道具や在庫管理システムの導入など、作業や在庫のムダを発見する手法はいろいろあります。これらを活用しムダを発見したら、速やかにそれを減らすための策を考えます。作業員の動作・動線を検討して作業のムダを減らし、安全在庫や適正在庫を設定します。そして、安定した生産と製品供給を実現する方法の確立を目指します。

「見える化」を成功させるには

見える化の目的は、問題の発見と方針の決定、技術の標準化と作業や在庫のムダの撲滅です。そして、最後に求められるのは、業績の向上です。一方でこれまでは、それぞれの目的に必要となる調査結果の定量化は容易ではなく、この作業に多くの工数を要していました。しかし、近年ではセンサーや測定器などを導入することで定量化が容易になり、従来は「見える化」が不可能だったことも、新しい技術の登場で可能になりました。
データの収集も人手を介さず行え、遠隔地のデータを集めることもできます。皆さんの現場でも、これらの技術を活用して見える化による問題解決や改善に取り組むことで、業績が向上する余地が、まだあるのではないでしょうか。

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