体積の測定(2/3)

分類:
難易度の高い寸法測定

従来の測定方法

体積測定は、以下の3つの方法が一般的です。

  • アルキメデスの原理を利用して測定する方法
  • レーザ体積計を利用して測定する方法
  • 音響式体積計を利用して測定する方法

今回は「アルキメデスの原理を利用した体積測定法」とその一部とされる「菜種置換法」、さらに「レーザ体積計を利用した体積測定法」の基本的な原理と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

アルキメデスの原理を利用した体積測定法

アルキメデスの原理とは、「流体中の物体は、その物体が押しのけている流体の重さ(重量)と同じ大きさで上向きの浮力を受ける」という物理法則です。浮力が発生する原理を示した法則ですが、沈めた物体と押しのけられた流体の量が同一になることから体積測定の基礎になっています。

浴槽いっぱいに張ったお湯に浸かると、自分の体と同じ体積のお湯が流れ出るという現象を誰もが体感したことがあるはずですが、これがアルキメデスの原理の基本です。アルキメデスの原理は、今から2200年以上前の古代ギリシャでアルキメデスによって発見され、現在でも精密な体積測定方法として使われて続けています。メモリ付きのメスシリンダーを使用した方法が代表例で、測定対象を液体(通常は純水)に沈め、液面の変化を見て体積を知ることができます。

ただし、測定対象物を液中に沈める必要があるので、スポンジのように水分を吸収する素材、衛生面が重要な食品には対応しません。また、一見簡単そうに感じるアルキメデスの原理を利用した体積測定法ですが、精密に測定するには液体の温度管理や気泡・水滴除去などの手間がかかります。

浮力=排除した流体の重量
メリット デメリット
・簡易的な設備で正確な体積測定ができる ・液体を使用するので測定対象物が濡れてしまう
・液体や測定対象物の管理に手間がかかる

菜種置換法

パンや菓子などの食品でよく利用される体積測定の方法が「菜種置換法」です。パンや菓子などの食品の場合、液体に沈ませることができないので、液体を粒状の菜種(なたね)に置き換えて体積測定を行います。菜種置換法のほか、疑似流体としてビーズを使用する「ビーズ置換法」という体積測定法もあります。また、ダムやトンネルなどの大規模な構造物内の体積を測定する場合、液体の変わりに砂を使う「砂置換法」を用いるケースもあります。

菜種を容器内に流し込む
メリット デメリット
・液体を使用しないので濡れる心配がない
・液体を使用する場合と同様に正確に体積測定ができる
・柔らかい測定対象物の場合は潰れて誤差が生じる恐れがある
・表面に油やクリームなどが付着しているものは測定できない
・環境や測定者による誤差が生じやすい

レーザ体積計を利用した体積測定法

アルキメデスの原理を利用した体積測定は、高精度な体積測定ができますが液体によって濡れてしまうという問題があり、測定対象物によって適合しないケースがあります。そのような場合はレーザ体積計を使用します。レーザ体積計は、レーザ光を用いて距離を検出し、対象物の形状をスキャンし、非接触・短時間で体積測定を行います。非接触で素早く体積計測できることに加え、測定結果を2D・3D表示したり、形状を数値化したりできるという特徴があります。

レーザ体積計を利用した体積測定法
メリット デメリット
・大気中で体積測定ができるので濡れる心配がない
・非接触型なので柔らかいものでも測定できる
・2D/3Dデータでの表示、形状の数値化ができる
・レーザ光が届かない場所があると結果に誤差が生じる
・裏側や内部にはレーザ光が届かないので正確に計測できない
・複雑な形状の測定に不向きなケースがある

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