インクの種類と基礎知識

産業用インクジェットプリンタに使用されるインクの種類や成分の確認方法についてご説明します。

インクの種類

MK-10 標準インク あらゆる業界で汎用的に使用できるスタンダードタイプのインクです。インクの薄まりが少なく、黒く鮮明な印字が特長です。小文字タイプで使用できるのは標準インクのみです。
MK-13 強接着インク これまでインクが落ちやすいと言われていた、PP/PE 系フィルムやボトル・ガラスなどへもしっかりと付着します。複数の商品への印字も、インク落ちのリスクを低減できます。包材の変更時も安心です。
MK-14 MEKフリーインク 有機溶剤中毒予防規則をはじめとする、法令に則した取扱いが簡単なインクです。従来のアルコール系インクと比較して乾燥スピードが大幅に向上しています。
MK-15 強接着MEKフリーインク アルコール系インクの課題だった、接着力を改善したMEKフリーインクです。従来のインクだと付着しにくい対象物にも、しっかりと定着します。MEKを含まないので、インクの取扱いが簡単です。
MK-16 耐アルコールMEKフリーインク MEKフリーインクで耐アルコール性があり、高い接着力を持ったインクです。印字した直後に性能を発揮するので、後の工程でアルコールが付いたり、擦れることがあっても安心です。
MK-30 黄色インク 黄色インクは黒色ワークへの鮮明な印字が可能で、顔料インクとしては比較的メンテナンス性が高い特長があります。自動車部品の黒塗装品や黒樹脂成型品に視認性の高い印字を実現します。
MK-33 白インク メンテナンス性を大幅に向上させた、顔料系の白インクです。インクジェットプリンタに限らず、白インクの管理で苦労してきた方に最適です。これまでなかった、手間を掛けずに使える白インクの登場です。

インクの成分

インクの成分は、インク・溶剤ごとにSDS(安全データシート)で確認できます。

SDS(Safety Data Sheet:安全データシート)とは

有害性のおそれがある化学物質を含む製品を他の事業者に譲渡又は、提供する際に、対象化学物質等の性状や取り扱いに関する情報を提供するための文書です。

※MSDS(化学物質等安全データシート)と呼ばれていたが、2012年4月に国連GHS化学品の分類および表示に関する世界調和システムで規定されている略称のSDSに、統一されました。

SDS(見本)

SDS(見本)

記載内容例

  • 01 化学品及び会社情報
    製品名称、SDSを提供する事業者の名称、住所及び連絡先
  • 02 危険有害性の要約
  • 03 組成及び成分情報
    含有する指定化学物質の名称、指定化学物質の種別、含有率(有効数字2桁)
  • 04 応急措置
  • 05 火災時の措置
  • 06 漏出時の措置
  • 07 取扱い及び保管上の注意
  • 08 ばく露防止及び保護措置
  • 09 物理的及び化学的性質
  • 10 安定性及び反応性
  • 11 有害性情報
  • 12 環境影響情報
  • 13 廃棄上の注意
  • 14 輸送上の注意
  • 15 適用法令
  • 16 その他の情報

メチルエチルケトン(MEK)など、インクに含まれる有機溶剤の中には劇物に指定されているものもありますが、インクや補充液自体は混合物なので、毒物及び劇物取締法に基づく劇物・毒物には当たりません。

水溶性・非水溶性

メチルエチルケトン(MEK)が含まれるMEK系インクは非水溶性、含まれないMEKフリー系インクは水溶性です。

消防法において

MEK系インク
第四類危険物 第一石油類(非水溶性液体)に指定されています。
MEKフリー系インク
第四類危険物 第一石油類(水溶性液体)または第四類危険物 第一石油類(非水溶性液体)に指定されています。

水溶性と非水溶性で変わること

非水溶性のものは水溶性のものと比べると、指定数量が半分になっています。

非水溶性(MEKインク) 水溶性(MEKフリーインク)
指定数量
200L
400L

これは、水に溶けにくく比重が小さい物品が多く、水で消火するとき、液面に浮かんだ危険物が流動して広がりやすく危険なためです。

使用期限

インク・補充液の使用期限は、カートリッジ挿入後12ヶ月です。
期限を過ぎた古いインクを使用し続けると、印字品質が悪くなったり、メンテナンスが不定期に発生するなどの危険性があります。
最近ではICチップを搭載し、ラベルに記載された使用期限や有効期限が切れると自動的に検知して交換時期を知らせてくれるカートリッジもあります。

ICチップを搭載

1本のインクカートリッジで印刷できる文字数

代表例

代表例

文字サイズ7×5dot(平均粒使用数:15粒)で何文字印刷できるか、インクカートリッジの容量ごとにご紹介します。

800mlカートリッジの場合

  • MK-G1000 標準タイプ:約7100万文字
  • MK-G1100 小文字タイプ:約2億文字

450mlカートリッジの場合

  • MK-G1000 標準タイプ:約4000万文字
  • MK-G1100 小文字タイプ:約1億文字

インク例

インク型式 タイプ 容量(cc) 商品(セット)型式 入数(本)
MK-10
(インク黒)
標準 800 MK-K01 1
800 MK-K02 2
450 MK-K02H 2
インク形式
MK-10(インク黒)
タイプ
標準
容量(cc) 商品(セット)型式 入数(本)
800 MK-K01 1
800 MK-K02 2
450 MK-K02H 2

インクが目に入ったら

万が一、インクが目に入った場合はただちにぬるま湯か水で十分洗い流し、医師の診断を受けてください。

警告
  • 本機の動作中にインク噴出口をのぞきこまないでください。
    インク・補充液が飛散して目や口に入るおそれがあります。
  • 消耗品および交換部品は、本機を停止した状態で交換してください。
    インク・補充液が飛散して目や口に入るおそれがあります。
  • ノズルの洗浄・交換、フィルターの交換など保守を実施する際は保護メガネを着用して目に飛散したインクや補充液が入らないようにしてください。
注意
  • インクや補充液に直接触れないように、適切な保護手袋を着用してください。
    皮膚に付着した場合、速やかに石鹸などを使用してぬるま湯か水で十分に洗い流してください。

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