ひずみ解析の改善

ノイズは計測の精度に大きく影響し、ノイズをカットするフィルタの特性と能力は重要です。ここでは、動ひずみで発生する高周波ノイズをカットするフィルタについて説明します。また、ひずみゲージの感度を表すケージ率とオートバランスについても紹介します。

ローパスフィルター

動ひずみ計測において不必要な高い周波数のノイズカットするためにローパスフィルタを設定することは不可欠です。動ひずみアンプのフィルタはベッセルフィルタかバタワースフィルタを用いるのが一般的です。

ベッセルフィルタの特性

  • 過渡応答(立ち上がり/立ち下がり)特性がよい
  • オーバーシュート、リンギングが小さい

バタワースフィルタの特性

バタワースフィルタの特性
  • 回路構成がしやすい
  • 一般的

過渡特性がよくオーバーシュート、リンギングが小さいのでアナログ信号のような波形を重視する用途ではベッセルフィルタが適しています。

フィルタの能力

能力を表す場合、1オクターブ離れた周波数を入力した場合の減衰率をdBで表します。
フィルタの次数を上げると減衰率はよくなりますが、オーバーシュート、リンギングが大きくなるので数次程度のものが使われています。

フィルタの能力

オクターブ(octave)は周波数が2倍を示します。
また、減衰率は
-3dB=約0.7倍
-20dB=約0.1倍
-30dB=約0.03倍
を示しているので遮断周波数を5kHzと設定した場合
-30dB/octでは10kHz1Vを入力すると0.03V以下になることを示しています。

ゲージ率補正とオートバランス

ひずみゲージからの出力電圧値

ひずみ計測では、「ゲージ率」という値が重要になります。
先に、ひずみゲージの出力電圧の大きさを示します。
下図は1ゲージ法の結線図です。
ひずみがゼロの場合、平衡状態にあるので電圧eは0Vであることは先に示しました。
ひずみが発生した場合、電圧eの値は次式で示されます。

ひずみゲージからの出力電圧値

e=1/4×E×Ks×ε…(1)

E:ブリッジ電源電圧Ks:ゲージ率ε:ひずみ量
因みに、1ゲージ法に限定しない一般式は次のようになります。

e=1/4×Ks(ε1-ε2+ε3-ε4)E

ゲージ率

前項の(1)式の中の“Ks”がゲージ率と呼ばれる比例定数です。
真のゲージ率は一般的に2.0と決まっています。
(実際のゲージ率はばらつきがあり、各々の箱にゲージ率が記載されています)
更に、ブリッジ電源も通常2Vです。
理由は、計算してみるとわかります。先の(1)式に値を代入してみましょう。

e=1/4×E×Ks×ε …(1)
↓(E=2V、Ks=2.0を代入)
e=1/4×2×2×ε=ε

このように、ひずみ量が直読で計測できることになります。
これは非常に便利です。

ゲージ率補正

ひずみゲージのゲージ率は2.00を基準に作られていますが、実際には1.9~2.2程度バラツキがあります。
ひずみレコーダのゲージ率は2.00固定ですので、ゲージ率が0.1異なると約5%の誤差になります。
そこで、ひずみゲージの箱に記載されているゲージ率Kを用い、レコーダのスケーリング機能を用いた補正が必要になります。

ゲージ率補正

ε0=ε×2.00/K

ε0:真のひずみ量 ε:測定したひずみ量
ゲージ率2.09のひずみゲージを用いた場合

ε0=ε×2.00/K=ε×2.00/2.09=0.957×ε

オートバランス

ひずみ計測開始前に、必ずオートバランス調整を行ってください。測定対象への接触時、ひずみゲージは微小ですがひずみます。
このときのひずみ量をキャンセルし、無負荷状態での測定値を0とするのがオートバランスです。

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