微生物検査(コロニーカウント)の効率化
食品や化粧品、医薬品などの安全性を評価する微生物検査において、シャーレ全体に点在するコロニーの正確なカウントを効率的に行うことは大きな課題の1つです。
ここでは、シャーレ全体のコロニー数を、ボタンを押すだけで最短1秒でカウントできる自動コロニーカウンターを使った課題解決の事例を紹介します。
コロニーカウントにおける課題
製品の安全性確保を目的に行われる微生物検査では、時間経過に伴う培地上の生菌のコロニー数をカウントし、菌数を算出して評価します。食品衛生検査指針においては、食品の微生物汚染の程度を示す代表的な指標として「一般生菌数」と用いており、この一般生菌数とは、標準寒天培地を用いて、好気的な条件下で35±1℃、48±3時間の培養で発育した中温性好気性菌数を指しています。
シャーレ上で経時的に増殖・変化する生菌のコロニーを見分けて計測する必要がありますが、作業者の目視によるコロニーカウントでは、コロニー数が多くなるほど時間がかかり、またカウントの正確さは計測者の熟練度に依存する部分もあるため、作業者がかわるとどうしてもカウント結果にバラつきが生じてしまいます。例え同じ作業者であっても、シャーレ中に多数点在する小さなコロニーをカウントし続けるという作業は想像以上に重労働であり、体調次第では見落としが生じてしまうこともあります。
また、カウント結果のデータは一定期間の保管が必要なだけでなく、製品の品質や製造工程の改善・効率化などの観点においてもデータ集積とその後のデータ活用は大変重要です。
目視によるコロニーカウントにおいては、作業者によるカウント結果のバラつきや、人手に頼ったデータ入力が正確なデータの集積を妨げる要因として取り上げられることが多々あります。また、データはデジタルではなく紙媒体で管理されていることも多く、検索性の悪さからデータ活用までできていないというケースも多く聞きます。さらにカウントには多大な時間を要し、製造品目が増えるほど検査点数も増えることから、検査担当者の人材確保なども大きな課題の一つとなっています。
コロニーカウントの課題解決事例
キーエンスの自動コロニーカウンタBC-1000は、ボタンを押すだけで最短1秒でシャーレ全域のコロニー数をカウントできます。カウント結果はそのままデジタルデータとして記録され、品目や検査日などから簡単にデータを絞り込むことができるなど、微生物検査における諸課題を解決します。
また、従来手動でおこなっていたものを自動化する際には、従来基準との整合性が問題となるケースも少なからず存在します。BC-1000では、目視カウントによる検査結果との整合性をとるための「オート設定」などの機能を有しているため、安心して自動化への取り組みを進めて頂くことができます。
押すだけ、1秒カウント
目視によるコロニーカウントは、マジックペンなどを使ってシャーレの裏からコロニーをチェックしていく方法が一般的です。熟練者であれば数十個程度なら素早くカウントしてしまいますが、2桁後半から100個以上となってくると多大な時間を要することとなります。コロニー数が多ければ多いほど見落としのリスクも高くなるため、同じシャーレを数回カウントしてその平均値を出すことで正確性を担保するといった取り組みをされているケースもよくお聞きします。また、シャーレ内を小さな区画で区切って、その区画内のコロニー数からシャーレ全体のコロニー数を割り出す(区画内のコロニー数 × (シャーレ全体の面積 / 区画の面積))ことで、検査時間を削減しているというケースもあります。
BC-1000では、シャーレ内のコロニー数が数百個であろうと、シャーレをステージにおいてカウントボタンを押せば最短1秒でカウントすることができます。シャーレ全体をカウントするためありのままのコロニー数を正確に記録することができ、カウント結果が表示されたシャーレの画像も同時に保存されるため、取引先や監査などの第三者に対しても信頼性の高いデータを残すことが可能です。
また、作業者によるカウント結果のばらつきも生じず、安定して正確なカウントをおこなうことができます。
データはそのまま即座に蓄積されていき、作業日や品目名から検索して活用することもできます。
目視カウントとの基準合わせを容易にするオート設定
コロニーには様々な形態があり、目視カウントの場合は経験や知識をもと判断してカウントをしています。自動カウントにおいては、そのさまざまな形態を色相や彩度・明度などの色情報や、面積や円形度などの形状情報など様々なパラメータに分解し、それらにしきい値を定めることでカウント対象を決定しています。これらのパラメータを全て個別に設定することは非常に煩雑で困難な作業となるため、これまでの自動コロニーカウンターではなかなか従来のカウントと近い結果が得られないという理由で自動化を断念したという声も多くお聞きします。
キーエンスのBC-1000では、オート設定機能により、カウント結果の画像をもとに目合わせで設定を進めることができます。目視カウントの結果に近い画像を選択して手順を進めれば、最終的に最適なカウント条件がセットされます。煩雑な設定をおこなわずとも、スムーズに自動化へと取り組みをすすめていただくことが可能です。
高精度自動コロニーカウンタ BC-1000を導入すれば
- ボタンを押してから最短1秒でカウント。検査にかかる作業工数を劇的に短縮できます。
- 熟練度による結果のばらつきが生じないため、検査担当者が変わったり人員を増やしたりしても、同じ基準で安定した結果を得ることができます。
- カウント結果はそのままデジタルデータとして記録。検査日や品目名などから検索して傾向分析をしたり、表計算ソフトにデータを出力したりできるため、工程改善のための分析などにも活用頂けます。
- オート設定機能により目視カウント結果との基準合わせも簡単におこなえるため、安心して自動化へと進めて頂けます。