ダブルエマルションの高解像度撮影

エマルションとは?

エマルションとは、水と油のように、互いに溶け合わない液体が界面張力の大きさのため、最終的に二つの層に分離して一方が小滴となって他方に分散している状態を言います。また、二つの液体をエマルションにすることを乳化(にゅうか)と言います。水と油の場合は、水中油滴(Oil-in-Water:O/W型)エマルションか、油中水滴(Water-in-Oil:W/O型)エマルションのいずれかの構成をとり、例えば前者には牛乳、後者にはバターなどが挙げられます。

近年、化粧品や食品、医薬品など様々な分野でエマルションの活用法に注目が集まっています。
化粧品業界においては、皮膚親和性や外観、感触などの制御が可能という特性を活かし、肌用の保湿クリームや乳液などで活用が広まっています。また、食品関係では風味やカロリーなどのコントロールをする研究が進んでいます。更に医薬品業界においては、エマルションを薬物キャリアとして利用することで、体内での薬物の動きを精密に制御して狙った場所に届ける、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System:DDS)への活用を目指した研究が盛んにおこなわれています。

その中で、エマルションの評価方法についても研究が進んでいます。エマルションの粒径測定や状態評価はますます注目が集まってきており、実際に評価する際の困りごとも明確になりつつあります。
ここでは特に注目が集まっている「ダブルエマルション」について、食品業界での具体事例を用いてご紹介します。

豆知識:エマルションはエマルジョンとも表記されます。どちらの表記でも間違いではなく、「emulsion」の読み方によって表記に違いが生じているようです。JIS(日本工業規格)では、界面活性剤用語(K3211:1990)において、「互いに溶解しない二液体の一方が微粒子となって他方の液体に分散した系」を「エマルション」と表記していることから、産業分野においては「エマルション」の表記が定着しているようですが、JISの別の規格(JIS A 6804)では「エマルジョン」とも表記しています。

ダブルエマルションのメリット

乳化粒子は、大きい程、成分のコクや香り等の特性が強く出ます。そのため、乳化粒子の大きさを制御することで、風味まで含めた味のコントロールが可能となります。
一方で、O/W型エマルションの場合、乳化粒子は油分のため、一般的には大きくするほどにコストが上がっていきます。また、カロリーオフが好まれるご時世ながら、カロリーも上がってしまいます。

上記を解決する方法として、ダブルエマルション(二重乳化)という手法があります。乳化粒子の中に更に水分を入れることで、見かけ上の乳化粒子を大きくすることができ、それでいて油分の総使用量は減らせるため、味わいを損ねることなくカロリーを下げ、さらにコストダウンの効果が得られます。O/W型エマルションの中にさらに水滴を閉じ込める構造から、W/O/W(Water-in-Oil-in-Water)型エマルションとも呼ばれます。
ただ、生産条件の調整が難しかったり、加熱処理により安定性を失うことで二重乳化ではなくなってしまうことがあったりと、安定した生産を実現したうえで消費者の口に入るまでその状態を保つ、ということのハードルはまだ高いようです。

ダブルエマルションを観察するには

安定した生産条件を導き出すため、あるいは各種処理を加えたときの状態を正確に知るためには、エマルションの状態を顕微鏡を用いて直接観察する必要があります。

ただ、二重乳化の内側の水(内水相)は直径で数百nm程度と非常に微細なため、一般的な光学顕微鏡では分解能が足りない場合があり、観察が困難でした。サイズ的には電子顕微鏡(SEM)で見たい大きさですが、ダブルエマルションは水分および油分から構成されるため、真空下での観察が必要な電子顕微鏡(SEM)ではなおのこと観察が困難です。

BZ-X800では、NA(開口数)が高く、収差の少ないプランアポクロマートの油浸レンズが利用可能で、ダブルエマルションも以下のように高精細に観察できます。

オールインワン蛍光顕微鏡 BZ-X800を導入すれば