高品質な抗体開発に不可欠なオールインワン蛍光顕微鏡

抗体—生物学実験に不可欠なコア試薬

図1-1 抗体の構造
抗体(Antibody, Ab)とは、抗原の刺激によって体内で産生される、防御機能を持つタンパク質です。抗体は(免疫グロブリンは抗体だけを指すわけではありませんが)形質細胞(エフェクターB細胞)から分泌される、Y字型の大きなタンパク質で、免疫系が細菌やウイルスなどの外来物質を識別し、中和するために用います。脊椎動物の血液などの体液中や、B細胞の細胞膜表面にのみ存在が確認されています。抗体は、特定の外来物が持つ固有の特徴を認識することができ、この標的となる外来物を抗原と呼びます。

生命科学分野の発展に伴い、未知のタンパク質が次々と発見されています。これらのタンパク質の研究において、抗体試薬はその特異的な結合能力と、酵素や蛍光色素で容易に標識できるという優れた特性から、ますます広く利用されるようになりました。ウェスタンブロッティング(Western Blot)、ELISA、免疫組織化学染色(IHC)、免疫蛍光染色(IF)、フローサイトメトリー(FC)などを含む生物学実験において、選択した抗体が適切か、正常に機能するか、特異性が高いかといった要因が、理想的な実験データを得られるかどうかを直接左右するため、抗体は生物学分野の実験において不可欠な「コア試薬」と言えます。

図1-2 モノクローナル抗体(mAb)とポリクローナル抗体(pAb)
図1-3 一次抗体と二次抗体

生物学実験に少し触れたことがある方なら、「一次抗体」と「二次抗体」という専門用語を聞いたことがあるかもしれません。では、抗体は2種類あるのでしょうか?実際には、私たちが一般的に「抗体」と呼ぶものの多くは、一次抗体(Primary Antibody)を指します。これは抗原と特異的に結合するタンパク質で、モノクローナル抗体(monoclonal antibody, mAb)とポリクローナル抗体(polyclonal antibody, pAb)が含まれます。mAbは主に抗原上の単一のエピトープを認識するのに対し、pAbは標的抗原上の複数の異なる部位と同時に特異的に結合することができます。

一方、二次抗体(Secondary Antibody)は、一次抗体を抗原と見なして特異的に結合する「抗体の抗体」です。その主な役割は「シグナル増幅」であり、一次抗体のシグナルを何倍にも増幅させることで、抗原との結合を蛍光顕微鏡などの装置で検出しやすくし、結果をより明確にします。

博奥森(Bioss)—業界で著名な免疫学試薬メーカー

博奥森生物(Bioss)は、2001年の設立以来、生命科学の最前線で、世界中の研究者に高品質な免疫学試薬製品とサービスを提供し続けています。経験豊富な科学者チーム、先進的な抗体探索・検証・生産プラットフォームを有し、「自主開発・独自革新」の理念を貫き、すべての製品が国際基準を満たすことを保証し、「4R」品質(Repeatable: 再現可能、Replicable: 複製可能、Reproducible: 再現性、Reliable: 信頼性)の研究ツールを提供し続けています。

ボストンにあるBiossグローバルブランドセンターを拠点に、博奥森(Bioss)の製品は世界中の多くの大学、研究機関、バイオ製薬企業に届けられ、研究者の強力なパートナーとなっています。「中国製造、有名ブランド」という約束を守りながら、ISO 9001、ISO 13485などの国際品質マネジメントシステムを厳格に遵守し、業界の高い基準で世界の生命科学研究に包括的なサービスを提供しています。

図2-1 博奥森(Bioss)の「4R」品質研究ツール
図2-2 博奥森(Bioss)の応用分野
博奥森(Bioss)は、充実した研究開発システムを備え、世界的に先進的な各種の高性能精密機器を導入しています。標的のバイオインフォマティクス解析、エピトープ設計から、研究開発、生産、さらには抗体の作製、検証、標識に至るまで、一貫した研究開発プラットフォームを保有しています。これにより、高特異性・高感度の抗原・抗体製品を開発し、高品質な抗原製品を求めるお客様のニーズに高いレベルで応えることができます。さらに、工業生産技術プラットフォームも有しており、ミリグラムからグラムスケールでのペプチド合成・精製サービスや、抗体の工業生産などを提供しています。動物タンパク質、植物タンパク質、低分子化合物、ウイルス、細菌など、どのような抗体でも作製に成功しており、その実績から広く高い評価を得ています。

BZシリーズ—博奥森(Bioss)の高品質なサービスを支える力

オールインワン蛍光顕微鏡
BZ-X

博奥森(Bioss)の北京亦庄研究開発本部で、フローサイトメトリーグループのマネージャーである王昊然氏が、キーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡BZ-X800LEシリーズが自身の研究業務にもたらした利点について、熱心に語ってくれました。

王氏は次のように述べています。「キーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡は、高度に自動化された操作システムにより、観察と撮影が簡単かつ便利になり、人為的な操作による誤差も減少しました。直感的な操作画面はトレーニングコストを削減し、拡張可能なモジュールシステムにより、1台の装置で様々な実験ニーズに対応できます。例えば、高品質な抗体開発で多用される画像スティッチングやZスタック撮影など、さらには光学セクショニングモジュールを使えば高精細な観察も可能です。」

図3-1 研究室でインタビューを受ける博奥森(Bioss)フローサイトメトリーグループの王昊然マネージャー
図3-2 BZシリーズの冷却CCDによる高感度イメージング(左)と多色蛍光標識(右)

抗体開発の過程では、蛍光標識した抗体の評価が頻繁に必要となります。標識量が少なく蛍光が弱いサンプルの場合、露光時間が長くなり、光退色(フォトブリーチング)が起こりやすくなります。キーエンスの蛍光顕微微鏡は、冷却CCDによってS/N比をある程度向上させることができ、また退色防止機能によってサンプルの寿命を最大限に延ばし、コストを削減できます。さらに、比較実験においては、高度に自動化されたシステムにより、画像に自動記録された撮影条件を呼び出して、当時の撮影条件を完全に再現できるため、撮影条件の唯一性、再現性、安定性が保証されます。また、この装置はコンパクトで暗室が不要なため、設置スペースや専用暗室の準備費用も節約できます。

図3-3 BZシリーズによる多色蛍光標識された脳全体のスティッチング画像

BZシリーズ—博奥森(Bioss)の研究効率を大幅に向上

細胞免疫蛍光染色は重点分野の一つであり、博奥森(Bioss)は超高効率と優れた品質での研究開発を目指し、キーエンスのBZシリーズ蛍光顕微鏡という先進的なプラットフォームを導入しました。このプラットフォームを導入する前は、社内の正立蛍光顕微鏡では細胞を培養したカバースリップしか観察できず、サンプル準備の際にはまずカバースリップに細胞を播種し、観察時にはそれをスライドガラスにマウントしてプレパラートを作成する必要があり、手順が非常に煩雑でした。しかし、キーエンスのBZシリーズ蛍光顕微鏡は、以下の内容を迅速に実現できます。

オールインワン蛍光顕微鏡
BZ-X

(1) ウェルプレート、スライドガラス、培養ディッシュ、培養フラスコなど、ほとんどの実験用容器を直接観察できます。材質による制約が少なく、ガラスボトムディッシュやプラスチック製の多穴プレートでも高精細な観察が可能で、実験設計の選択肢が広がります。

(2) 完全電動化された制御により、実験担当者はワンクリックでオートフォーカス、対物レンズの倍率切り替え、蛍光チャンネルの切り替えが可能です。ナビゲーションマップを使えば、撮影したい細胞の位置を素早く見つけることができます。研究室に入ったばかりの初心者でも、この蛍光顕微鏡の使い方を非常に迅速に習得でき、人材育成にかかる時間とコストを大幅に削減できます。

(3) 操作が簡単な光学セクショニング(光学切片)イメージング方式。プロジェクター素子を用いた構造化照明(Structured Illumination)により、標本を高速でスキャンします。レーザーではなくLED光源を使用するため、光退色を軽減し、幅広い波長域で蛍光のにじみがない高解像度画像を取得できます。BZシリーズは、画質が(共焦点顕微鏡に)ほぼ匹敵する一方で、撮像速度が速く、光毒性が低く、操作がより簡単です。

図4-1 構造化照明(Structured Illumination)イメージング

厚みのある標本でも、焦点面の情報を正確に検出し、鮮明な画像を取得できます。動物細胞、植物細胞、培養組織など、様々な標本を忠実に再現します。

図4-2 腎臓のホールマウント標本(左)とマウスの脳神経(右)

さらに、キーエンスは無料の導入前トライアルと導入後の技術トレーニングサービスも提供しています。正式な購入前に、キーエンスのエンジニアが顕微鏡を無償で貸し出し、研究室の研究開発の進捗をサポートします。購入後に新しい実験担当者のトレーニングが必要な場合や、顕微鏡の使用中に問題が発生した場合にも、キーエンスの専門技術エンジニアが迅速に対応し、企業が速やかに高効率な研究開発体制を回復し、生産性を向上させる手助けをします。

図4-3 キーエンスのエンジニアによる撮影指導