簡単な操作で誰でも扱える点が魅力。これから研究を始める学生たちが最初に扱う機器としても最適です

- 東北大学
未来科学技術共同研究センター 酸素代謝制御プロジェクト 教授
大学院医学系研究科 酸素医学分野 教授
東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム解析部門 教授
鈴木 教郎 様 -
1997年に筑波大学の大学院に進学した鈴木 教郎先生は、山本 雅之先生の研究室にて修士課程、博士課程を経た後に約5年間、研究員として経験を積まれました。2008年からはスウェーデンのカロリンスカ研究所に約3年間留学。帰国した2011年からは再び、東北大学に移籍された山本先生のラボメンバーとして講師に就かれます。
そして翌2012年に、東北大学大学院医学系研究科のテニュアトラック教員の第1号に採用されたことで、鈴木先生は研究室主宰者になられました。テニュア教員に採用となった2016年には酸素医学分野の准教授に、さらに2022年には未来科学技術共同研究センターの教授へと昇進し、酸素代謝制御プロジェクトを立ち上げました。現在は、酸素医学分野と東北メディカル・メガバンク機構の教授も兼任し精力的にご自身の研究や教育活動を展開されています。
主な論文
Erythropoietin production in embryonic neural cells is controlled by hypoxia signaling and histone deacetylases with an undifferentiated cellular state
Yuma Iwamura, Taku Nakai, Koichiro Kato, Hirotaka Ishioka, Masayuki Yamamoto, Ikuo Hirano, Norio Suzuki
Molecular and Cellular Biology 45 32-45 2025
Drugs activating hypoxia-inducible factors correct erythropoiesis and hepcidin levels via renal EPO induction in mice
Taku Nakai, Yuma Iwamura, Koichiro Kato, Ikuo Hirano, Yotaro Matsumoto, Yoshihisa Tomioka, Masayuki Yamamoto, Norio Suzuki
Blood Advances 7 3793-3805 2023
Gene expression changes related to bone mineralization, blood pressure and lipid metabolism in mouse kidneys after space travel
Norio Suzuki, Yuma Iwamura, Taku Nakai, Koichiro Kato…
Kidney International 101 92-105 2022
造血ホルモン「エリスロポエチン」がつくられるしくみの解明や、腎臓疾患の治療薬開発などを目指して、日夜研究に勤しまれている東北大学の鈴木教郎先生は、その研究にキーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡・BZ-Xシリーズを活用。多くの論文に、同機器で撮影した写真を掲載されています。そこで鈴木教郎先生に、詳しい研究内容やご経歴と共に、BZ-Xシリーズとの関わりやその魅力について伺いました。
- 医学系研究科 酸素医学分野と未来科学技術共同研究センター 酸素代謝制御プロジェクトについて
- 尿や宇宙……さまざまなアプローチで「エリスロポエチン」の産生と作用のしくみを研究
- パワーリフティングで日本記録を保持
- 幼少期からの夢を叶え……研究者の道へ
- 20年以上に亘ってBZ-Xシリーズを愛用
- これから研究を始める人にとっての第一歩に最適なBZ-Xシリーズ
- キーエンスの営業体制も高く評価
医学系研究科 酸素医学分野と未来科学技術共同研究センター 酸素代謝制御プロジェクトについて

東北大学 大学院の医学研究科の教授として、主に「低酸素」や「腎臓」の研究に取り組まれている鈴木 教郎先生は、「未来科学技術共同研究センター」および「東北メディカル・メガバンク機構」の教授も兼任されている。
未来科学技術共同研究センターは、通称「NICHe(ニッチェ)」。新しい技術・製品の実用化を目指して、産学連携による研究を推進する東北大学の附属研究施設だ。工学部を軸に、農学部、理学部、医学部とさまざまな分野の教授が、それぞれプロジェクトを動かしている。なお鈴木教郎先生は、そこで「酸素代謝制御プロジェクト」のプロジェクトリーダーとして、酸素代謝という視点から、病態の解明、医療開発の研究を進められている。
尿や宇宙……さまざまなアプローチで「エリスロポエチン」の産生と作用のしくみを研究
そんな鈴木先生が、ライフワークとされている研究テーマが「エリスロポエチンが作られるしくみの解明」と「エリスロポエチン産生細胞の復活」。
ヒトは低酸素状態になると、酸素を運ぶ赤血球を増やすことで、その環境に適応しようとする。その赤血球を生み出すホルモンがエリスロポエチン。「エリスロポエチン……通称「EPO」が、低酸素下でどのように分泌されるのか……そのしくみを解明しようとしています」。
EPOは腎臓で作られることが古くから知られていましたが、鈴木先生は腎臓のEPO産生細胞をREP(renal EPO producing)細胞と名づけて、その性状解析を進めています。その結果、腎臓が悪くなった時に、腎臓を線維化させる筋線維芽細胞が増えていくのですが、この細胞が元々はREP細胞だったことを明らかにしました。
ただ腎臓が線維化してしまうと、EPOは分泌できなくなってしまう。そこで鈴木先生が考えているのが、筋線維芽細胞をREP細胞へと戻すための研究だ。「実は今、それが少しだけできるようになってきて、その研究内容をまとめた論文も出しました。REP細胞を回復させる作用のある薬探索も進めています」。
その実現のために、鈴木先生は「尿から腎臓細胞を取り出す研究」や「宇宙ステーションを活用した微小重量化での腎臓の研究」にも励まれている。
「腎臓が悪いと、腎臓の細胞がどんどん剥がれていきます。腎臓は膀胱に繋がっていますから、最終的に尿から排泄されますが、その細胞はまだ生きていて培養が可能なのです。身体に針を刺して、腎臓の細胞を採取することもできますが、腎臓を傷つけてしまいますし、それで亡くなられる方もいる。しかし尿から採取すれば、捨てるものから回収するだけなので、負担はありません。生きた腎臓細胞はとても貴重な存在です。これを上手く活用することで、患者さんが今どんな病気で、どういう薬が効くのかを検査できるシステムが作ることができると期待しています」。
一方、宇宙実験では国際宇宙ステーション内の宇宙実験棟「きぼう」を用いて、宇宙旅行をさせたマウスを解析することで、宇宙微小重力下における腎臓のはたらきを解析。「2018年にマウスを打ち上げた実験では、宇宙で血圧や骨の厚みが変化する際の腎臓の役割を解明しました。2024年に打ち上げたマウスの解析にも参加していて、今はデータを集めているところです。
また鈴木先生は、宇宙空間で起きる現象と老化が似ていることにも着目。「宇宙空間では、血圧や骨だけでなく、筋肉が萎縮したり、脂肪がたまるといった変化も起きます。これが老化と非常に似ている。しかし宇宙飛行士は、地球に帰還してしばらくすると元に戻ります。であるなら、宇宙を理解すれば若返りのヒントが得られるのではないか。そしてそこに、低酸素や腎臓も深く関わっているのではないか。それらの観点からも研究を進めています」。
パワーリフティングで日本記録を保持
鈴木先生は、研究者としてだけでなく、実はパワーリフティングの選手としても全国的に知られている。2024年に50歳代の体重66 kg以下クラスで、トータル535.5 kg(スクワット185.0 kg、ベンチプレス117.5kg、デッドリフト233.0kg)という日本記録を樹立。その記録を2026年7月の大会で更新した。
そこで鈴木先生に、どういうトレーニングをしているのか伺ったところ、実に研究者らしいお答えをいただいた。「トレーニングは1日1時間。着替えやストレッチ、シャワーも入れた時間なので、他の人と比べると短いと思います。練習では毎回、自分なりにバーベルの持ち方やフォームを考えて仮設を立て、練習で実証、結果を顧みて検証する……という形で挑んでいます。このプロセスは、研究と同じかもしれません」。
またコーチやトレーナーを付けないのかとの問いには「パワーリフティングの醍醐味は、重いものを持ち上げることだけではなく、自分でやり方を見つけて、以前よりも良い記録を出していくところです。その一番楽しいところを、お金を払って教えてもらうなんて、逆に信じられないくらいです(笑)」とのこと。突き詰めて課題を攻略していくという部分において、研究とパワーリフティングの練習には、どこか近いものがあるのかもしれない。
幼少期からの夢を叶え……研究者の道へ
そんな鈴木先生の研究者気質は、幼少期から既に芽生えていた模様。「幼稚園の頃、先生からもらった誕生日カードに、「ノリオくんは、大きくなったら、バスの運転手になりたい。大人になったらなにかを研究したいと言っていましたね」と書かれていたのです。当時の記憶はもうないのですが、これを大学院生のときに偶然見つけて、幼い自分に励まされました」と鈴木先生。
高校時代もその思いは変わらなかったようで、鈴木先生は「研究をしたい」という思いから筑波大学に進学する。そこで「遺伝子発現」に関わる研究に興味を惹かれ、当時、若手トップと呼び声の高かった山本 雅之先生に師事。以来、山本先生の元で、修士号、博士号を取得した後、約5年間に亘って研究員として勤めることとなる。「山本先生は様々な遺伝子の発現制御機構に関する研究を進められていて、その中のひとつがEPO」の研究でした。そこからずっとEPOの研究に明け暮れています」。
その後、2008年からは鈴木先生は面識のあったローレンツ・ペリンジャー先生を頼って、スウェーデンのカロリンスカ研究所に留学。そこで約3年間、上級客員研究員、上級研究主任として実績を残した後に帰国。当時、東北大学に籍を移されていた山本先生の研究室で講師として研究を始める。
鈴木先生が研究室主宰者となったのは2012年から。「東北大学大学院医学系研究科の中で、テニュアトラックという新しい制度が始まりました。「テニュア」というのは、大学のパーマネントのポジション。そこに至るまでのお試し期間として、5年の間に一定の成果を残せれば、独立した研究室を貰えるという制度でした」。
そして2016年にテニュア審査を通過し、医学系研究科の准教授として新たに「酸素医学分野」を設立しました。2022年に未来科学技術共同研究センターの教授に就任すると、酸素医学分野の教授と東北メディカル・メガバンク機構の教授を兼任し、多くのスタッフと共に、学外の先生や組織とも協力しながら、さまざまな研究に邁進されている。
20年以上に亘ってBZ-Xシリーズを愛用
鈴木先生とBZ-Xシリーズとの関わりは2004年が始まり。「当時、私は山本先生が統括する科学技術振興機構のERATOという大型プロジェクトにおいて、技術参事という、機器の選定や手続きをする役職に就いていました。この頃、さまざまな機器、施設を導入しており、そのひとつとして、BZ-Xシリーズの初号機であるBZ-8000を2台導入したことを覚えています」と、鈴木先生は語る。
以来、鈴木先生はBZ-Xシリーズをフル活用。「組織切片の撮影だけでなく、タイムラプス機能やZスタック機能なども積極的に活用していました。マウスの胎仔をそのまま見たり、疑似共焦点とも言えるZスタック機能で立体的に確認できるのも便利です。」。
その後、テニュアトラックでの採用決まった2011年には、ご自身の研究室にもBZ-9000を導入。2022年には新たにBZ-X800も導入され、鈴木先生の研究には常にBZ-Xシリーズが欠かせない存在となっている。「私の論文には、大体、BZ-Xシリーズで撮影した組織や細胞の写真を載せています。」。
これから研究を始める人にとっての第一歩に最適なBZ-Xシリーズ

そこで鈴木先生に、BZ-Xシリーズの魅力を伺ったところ、「簡便な操作感」との回答をいただけた。「他社顕微鏡だと手順が煩雑で、覚えるだけでもひと苦労します。その点、BZ-Xシリーズはどの機能もほぼボタンひとつ。それだけで、綺麗な写真が撮影できるだけでなく、細胞の大きさを測ってくれたり、染まっている細胞を正確にカウントしてくれます。誰でも簡単に解析、計測が行える点もありがたいです」。
その操作性の高さは、これから研究を始める学生たちにとっても有用だと、鈴木先生は語る。「学部生や大学院生がバイオ研究の一歩目を踏み出すのに、BZ-Xシリーズは最適だと考えています。使い方をレクチャーしたら「これなら、やりやすい」とホッとしてもらえるのです。そうして研究の最初のワンステップを乗り越えた経験があると、人は変わります。研究の入口に立った学生たちに良い影響を与えているようだ。
キーエンスの営業体制も高く評価
また鈴木先生は、キーエンスの営業体制も高く評価。「折に触れてオンライン講習を開催してくれたり、デモ機を貸してくれたり、研究の進捗によっては、デモ機の貸出期間を延長してくれたりと、非常に融通が利くサポートをしてもらえています」とのこと。
特にオンライン講習については、研究をスムーズに進めるヒントにもなっているそうだ。「BZ-Xシリーズには多彩な機能が搭載されているので、すべてを把握しきれている訳ではありません。そのため講習で「こんなことができます」と教えてもらえるのは、すごく大きなメリットだと感じています。「そんな機能があるならこの研究に使えそうだ」と、新たな発想にも繋がってきますから。以前、論文で「定量的なデータを出すように」とリバイスを求められ、膨大な量の切片をカウントする作業が必要になったのですが、キーエンスさんから教えてもらった自動化の機能を使うことで、簡単にカウント作業を乗り切ることができました」。
そんな鈴木先生に今後の展望や、改めてキーエンスに期待することを伺った。「尿から取り出した腎臓細胞の研究や、宇宙での腎臓の研究に、今後ますます力を入れていこうと考えています。その研究を進めるにあたって、キーエンスさんには今後も変わらぬサポートをお願いしたいと思っています」。


