BZシリーズが研究開発サービス企業の研究効率を大幅に向上

- 中科嘉迪(Zhongke Jiadi)生物医療科技有限公司
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広東中科嘉迪生物医療科技有限公司(以下、中科嘉迪)は、生物医学研究に特化したハイテク企業です。2023年10月27日に設立され、2024年1月12日には実験センターを開設し、わずか56営業日で病原微生物を扱うバイオセーフティレベル2(BSL-2)実験室の認定や、クラス1000の清浄度を持つ細胞培養室の計量認証といった画期的な資格を取得しました。中科嘉迪は生物医学研究に注力し、科学技術の革新と発展を推進し、研究成果の実用化を目指しています。この目標を達成するため、300名以上の修士・博士号を持つ技術者からなるチームを結成し、社内にはフローサイトメトリープラットフォーム、キーエンス蛍光顕微鏡プラットフォーム、分子検査プラットフォーム、細胞/オルガノイド実験プラットフォームなどの専門的な実験施設を備えています。さらに、実験動物生産許可証(マウス、ラット対象)および実験動物使用許可証(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ミニブタ、イヌ、サル対象)を保有し、SPFレベルの動物実験室も有しています。また、同グループの広東医瑞貝生物医学科技有限公司や広州中科嘉迪幹細胞科技有限公司などと共に、研究技術サービス、論文発表支援、研究費申請支援を包括的に提供する大規模なチームを構成しています。
- 生物医学技術に特化し、市場のトレンドを追求
- BZシリーズの高度な自動化システムを活用して開発された小胞体のカルシウムイオン濃度測定
- FRAP実験における安定した高輝度LED光源の活用
- 多彩な機能、簡単な操作、高品質な画像が実験のスピードを向上
生物医学技術に特化し、市場のトレンドを追求
医学技術サービス市場全体の需要は、主に高度で最先端の実験に集中しており、先進的な測定手法を用いることがプロジェクト全体の革新性を高める上で非常に重要です。
中科嘉迪は、オルガノイドや幹細胞など、基礎医学の最先端分野に関する研究を主に行っています。特にミトコンドリア移植、オルガノイドキメラ培養、バイオマテリアルの分野で実績を上げています。中科嘉迪では、お客様のニーズに基づき、修士・博士号を持つ専門技術チームが実験を設計し、結果と理論の関連性を検証します。タンパク質の共局在、生細胞の経時変化、タンパク質の存在状態や量の変化などを測定するには、数多くの検証実験が必要であり、従来は3D共焦点顕微鏡、ライブセルイメージング装置、病理スライドスキャナーなど、複数の装置を使い分けて様々なニーズに対応していました。
オールインワン蛍光顕微鏡BZシリーズを導入後、1台の装置でオルガノイド研究の様々なニーズに対応できるようになりました。高感度の冷却CCDにより、BZシリーズは高解像度の蛍光画像を直接出力でき、蛍光標識されたタンパク質の細胞内での分布や発現状況を直接観察し、生命活動におけるその作用機序を深く研究することが可能になりました。BZシリーズの高解像度蛍光画像出力機能は、研究の質と効率を大幅に向上させました。煩雑な後処理を行うことなく、鮮明で正確な蛍光画像を直接得ることができます。シンプルで直感的な操作システムにより、実験結果をより迅速に解析し、研究の進展を加速させることができます。

BZシリーズの高度な自動化システムを活用して開発された小胞体のカルシウムイオン濃度測定
小胞体は真核細胞に広く存在する膜系の一つです。小胞体膜は細胞の総膜面積の約50%を占め、真核細胞で最大の面積を持つ膜です。小胞体は、細胞がタンパク質や脂質をプロセシングし、カルシウムイオンを貯蔵する主要な場所です。ほとんどの分泌タンパク質や膜貫通タンパク質にとって、小胞体はペプチド鎖からタンパク質へと翻訳され、安定した三次構造を与えられ、細胞外へ輸送されるための重要な細胞小器官です。翻訳されたばかりの未成熟なタンパク質は、カルシウムイオンとフォールディング酵素が存在する小胞体でプロセシングされて安定した三次構造を形成し、ゴルジ体へ送られてさらに加工されます。小胞体で正しく修飾されたタンパク質のみがゴルジ体へ輸送され、誤って折りたたまれたタンパク質は小胞体内で対応するタンパク質分解酵素によって分解されます。この過程で、カルシウムイオンは転写因子の活性化、細胞増殖とアポトーシス、タンパク質の修飾などに関与しています。
通常、体内のカルシウムイオンは比較的安定した状態にありますが、特定の状況下ではカルシウムホメオスタシスが崩壊し、小胞体の正常な機能が阻害され、大量の異常タンパク質や未成熟なタンパク質が出現します。タンパク質分解酵素がこれらを完全に分解できない場合、過剰に蓄積して小胞体ストレスを引き起こし、遺伝子発現に影響を与えます。小胞体が長期間ストレス状態にあると、細胞はアポトーシスを開始します。小胞体ストレスは、骨粗しょう症、神経変性疾患、がん、パーキンソン病などと密接に関連しています。また、肝細胞にも多くの小胞体が含まれており、ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、薬剤性肝障害、肝がんなど、多くの肝疾患が小胞体ストレスによる細胞死と関連しています[1]。
したがって、小胞体内のカルシウムイオン変動のメカニズムを理解し、関連する調節薬を開発することは、これらの疾患の治療と予防において重要な役割を果たします。
中科嘉迪は、BZシリーズの全自動ステージと撮影システムを活用し、新たな測定手法である「小胞体カルシウムイオン濃度測定」を開発しました。全自動撮影システムにより、細胞の処理前後で同じ撮影・解析パラメータを適用して蛍光値の差を検出し、そこから小胞体内のカルシウムイオン濃度を算出します。
実験データの有効性を保証するため、通常は1回の実験で複数の視野を観察し、蛍光強度を統計的に解析する必要があります。また、細胞を処理して一定時間培養した後、処理前に撮影した位置を再度見つけて観察・分析し、蛍光強度の変化を求めます。
そのため、撮影時には多くの撮影パラメータを記録するだけでなく、処理前の位置を正確に再現する必要があり、パラメータや位置のわずかな違いが誤差を生み、実験結果に影響を与えてしまいます。
BZシリーズは、画像撮影時に当時の撮影条件を自動で記録するだけでなく、高精度なXYZ電動ステージの座標によって撮影位置も記録します。細胞を処理した後のウェルプレートを元の向きでステージに置くだけで、処理前の画像を呼び出し、ワンクリックで撮影条件と位置を再現できます。これにより、実験の効率と正確性が大幅に向上しました。

[1] Asselah T, Bieche I, Mansouri A, et al. In vivo hepatic endoplasmic reticulum stress in patients with chronic hepatitis C[J]. J Hepatol, 2010, 52(4), 564-574.
FRAP実験における安定した高輝度LED光源の活用
BZシリーズは、サンプルの保護と光退色(フォトブリーチング)の低減のため、強度が調整可能な蛍光光源と、画像更新の瞬間のみ露光し、それ以外の時間は励起光を遮断して照射時間を短縮する退色防止モードを採用しています。
光退色後蛍光回復法(FRAP)実験では、光源強度と退色領域を精密に調整することで、BZシリーズの高輝度LED光源は、退色防止機能をオフにした後、研究ニーズに応じて光源パラメータを柔軟に調整し、退色プロセスが十分かつ過度にならないように制御でき、より正確な実験データを得ることができます。
この実験において、BZシリーズの4万時間の長寿命と安定した出力を持つLED光源は、退色効果の安定性と均一性を保証し、実験結果の信頼性に堅固な基盤を提供します。同時に、BZシリーズの高度な自動化機能と組み合わせることで、1回の実験サイクル内で、異なる倍率、異なる実験条件で複数の位置を撮影し、各位置で同じ条件のタイムラプス動画の作成や経時変化の解析が可能です。つまり、1回の実験サイクルで複数のタイムラプス解析を完了でき、作業効率が向上します。この光源は優れた放熱性能も備えており、長時間の使用でも安定した性能を維持し、光源の発熱による実験誤差を防ぎます。
さらに、BZシリーズの退色防止モードをオンにすると、画像を更新しない間は励起光が遮断され、次の撮影が始まる瞬間にのみ照射されます。これにより、研究者は光退色後の回復状況をより正確に観察でき、生体分子の動的な振る舞いやその相互作用メカニズムをより深く理解することができます。

多彩な機能、簡単な操作、高品質な画像が実験のスピードを向上
中科嘉迪の技術責任者である許益林氏は、インタビューで次のように語りました。「BZシリーズを導入する前の蛍光顕微鏡は、撮像性能が不十分で、操作は手動で時間がかかり、単位時間あたりに撮影できる画像枚数も限られていました。ウェルプレートの蛍光測定、ライブセルイメージング、蛍光共局在観察、パノラマ撮影などを行うには、レーザー共焦点顕微鏡やライブセルイメージングシステムなど、それぞれ異なる装置を準備する必要があり、研究開発サービス企業にとって、これらの装置の導入と維持は大きなコスト負担でした。BZシリーズを導入してからは、1台の装置で全自動のウェルプレート蛍光測定、高精度な蛍光共局在観察、全自動撮影が実現できました。この装置の導入により、多額の費用を節約できたと同時に、1時間あたりの画像取得枚数が約2倍に向上しました。」



