臓器横断的、分野横断的な研究にBZ-Xシリーズは最適。最新型は性能が高く、今は論文のほぼすべての細胞写真をBZ-Xシリーズで撮っています

- 昭和医科大学
歯学部 口腔生化学講座
教授・医学博士
塚崎 雅之 様 -
2007年、昭和大学 歯学部に入学した塚崎 雅之先生は、在学中に「骨」の研究に興味を抱き、2014年には東京大学大学院の医学系研究科へと進学。そこで骨代謝・骨免疫研究に従事し10年の研鑽を積んだ後、2024年、昭和医科大学 歯学部 口腔生化学講座の教授に就任されました。2024年には、未踏領域だった非免疫系による抗がん効果に関わる論文が『Nature』に掲載。まだ30代という若さながら、2022年に「文部科学大臣若手科学者賞」、2024年に「三島海雲学術賞」、2025年には「石館・上野賞」、2026年に「井上リサーチアウォード」など、毎年のように栄誉ある賞を受賞し、硬組織研究の世界をリードする研究者として、業界から多くの注目を浴びています。
主な論文
The periosteum provides a stromal defence against cancer invasion into the bone
Nakamura, Tsukasaki* et al.,
Nature 2024
Periosteal stem cells control growth plate stem cells during postnatal skeletal growth
Tsukasaki et al.,
Nature Communications 2022
Stepwise cell fate decision pathways during osteoclastogenesis at single-cell resolution
Tsukasaki et al.,
Nature Metabolism 2020
昭和医科大学 歯学部 口腔生化学講座の教授として、骨代謝・骨免疫から派生するさまざまな研究を進められている塚崎先生は、Lab立ち上げのタイミングで、キーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡・BZ-Xシリーズを導入。日々の研究や論文執筆に活用されています。そこで塚崎先生に、現在の研究内容やBZ-Xシリーズの活用状況、またそのご評価について詳しく伺いました。
- 歯科医師になる予定が……研究者の道へ
- 免疫を利用しない新たながん治療のアプローチ
- 人・マウス、生きた細胞・組織切片などさまざまな観察にBZ-Xシリーズを活用
- 「Ready-to-use」な使い勝手の良さと高い機能性がBZ-Xシリーズの魅力
- 研究、実験、論文を最優先に考えたサポート対応を高く評価
- 研究の幅は分野を超える……キーエンスにもそのサポートに期待
歯科医師になる予定が……研究者の道へ

骨代謝・骨免疫学領域において新進気鋭の研究者として知られる塚崎 雅之先生。しかし元々は、代々歯科医の家系の生まれで、ご自身も歯医者になることを目指して、昭和医科大学(当時:昭和大学) 歯学部の門戸を叩いたという。
「当時は実家を継がざるを得ない状況で、父の母校、叔父の職場であった昭和大学に進学しました。しかしそこで、須田 立雄 先生という、骨代謝学の大御所の先生の特別講義を受けたことで、「骨」について非常に興味を持つことになったのです。その時は、骨を溶かす破骨細胞の存在を教えてもらい、そんな細胞があるなんて可愛いな、面白いなと思ったことをよく覚えています」。
そこで塚崎先生は、既に退任されていた須田先生の教室の後継者にあたる、上條竜太郎先生の研究室に通いながら、骨代謝研究をスタート。さらに東京大学の大学院に進学し、骨免疫学のパイオニアとして知られる高柳 広 先生のもとで、研究者として研鑽を積んでいく。
「高柳先生のもとでは、大学院生、ポスドク、助教、准教授と立場を変えながら約10年ご指導を頂きました。2024年に縁あって、須田先生・上條先生の後任として昭和医科大学歯学部口腔生化学講座の教授に就任しました」。
2026年現在、Labの立ち上げはやっとひと段落してきたとのこと。「昭和医大に着任したのは1年半前ですが、最初の半年はサバティカルのような形で全米をセミナーして周る機会を頂いたので、本格的に新しいLabが稼働し始めてから1年ほど経ったところです。そのタイミングで、最新型のBZ-X1000を始め、複数の機器を導入しました」。
免疫を利用しない新たながん治療のアプローチ
塚崎先生のLabが抱える研究テーマは、口腔生化学講座が須田 立雄 教授の時代から推進してきた「骨代謝学」に加え、先生が東京大学で学んできた「骨免疫学」がメイン。ただしその展開範囲は幅広い。「私の研究は骨を専門としているのですが、例えば血管石灰化など、少しでも骨・ミネラルが関わりそうな疾患は全て対象にしています。特に力を入れているのは、がんの研究です」。
2024年10月、塚崎先生の現時点での代表作とも言える論文「The periosteum provides a stromal defence against cancer invasion into the bone」が『Nature』に掲載されたことで、腫瘍生物学の新たな扉が開かれた。
「この論文では、顎の骨を包む膜組織が、口腔がんに対して積極的に応答し、物理的に口腔がんの骨への進行を抑えることを世界で初めて示しました。免疫以外のシステムが、がんに抗う仕組みを見つけた点がユニークであり、免疫とはまた違う発想のがん治療につながるかもしれないと考えています」。
人・マウス、生きた細胞・組織切片などさまざまな観察にBZ-Xシリーズを活用
塚崎先生とBZ-Xシリーズとの付き合いは、学生時代からの長きに亘る。「学部生の頃は、上條先生のLabで細胞の写真を撮る時に、先生が持っていた当時の機種・BZ-9000を使っていました。当時は意識してキーエンス製だと把握していたわけではありませんが、使用感がよくて、学生など初心者にも優しい機器として非常に良い印象があります。その後、大学院生となり高柳先生のLabに入った時も、同じ機種が置いてあったので、便利に使っていたことを覚えています」。

昭和医科大学の教授に就任された際は、かつて上條先生が持っていたBZ-9000が残されていたので、そのままそれを活用されていたとのこと。「しかし、もう20年弱使っていたこともあって、そのBZ-9000が調子悪くなってしまったんですよね。日常のルーティンで使っている顕微鏡だったので、ないと困る。ということで、ほんの少し前、最新型のBZ-X1000を導入しました」。
塚崎先生のLabでは、さまざまな用途にBZ-Xシリーズを使われている。「生きた細胞も観ますし、固定して染色した細胞も、組織切片もよく観て撮影しています。現在は特に、腫瘍組織を観察することが多いです」。
他社製の顕微鏡も活用しているものの、その用途はごく一部。「レポーターマウスの骨とか、DIC(微分干渉)を使う撮影は、他社製の顕微鏡を使っています。ただそれ以外の、HE染色、TRAP染色、トルイジンブルー染色など、いわゆる普通の切片を観る時は、すべてBZ-Xシリーズを活用しています」。
さらには「今ちょうど投稿中の論文に出てくる細胞の写真は、基本的にすべてBZ-Xシリーズで撮影したものです」と、研究はもちろん、論文執筆にも大きく貢献していると塚崎先生は語る。
「Ready-to-use」な使い勝手の良さと高い機能性がBZ-Xシリーズの魅力
BZ-Xシリーズのどこを評価されているのか尋ねると、塚崎先生曰く、使い勝手の良さが大きなポイントになっているとのこと。「ソーティングした細胞の何割がちゃんと光っているかを自分の眼で見て確認したい時や、細胞培養してる過程で今の細胞がどんな顔をしているかを観察したい時に、迅速に起動して、すぐ撮影できるBZ-Xシリーズはとても便利です。まさに「Ready-to-use」な感じ。これが共焦点顕微鏡だと、立ち上げに10分は掛かるし、正しい順番でいくつものスイッチを押していく必要がある。心理的ハードルが全然違うと感じています」。
塚崎Labで、兼任講師・日本学術振興会特別研究員(PD)を務めている中村 和貴先生にも使い勝手について伺ったところ、次のようなご回答をいただけた。「BZ-Xシリーズは、3つの切片を同時に撮影できるのが便利ですね。しかも撮影場所をオートで決めてくれるので、楽だし早い。最新型のBZ-X1000になってからは、さらに撮影スピード、解像度が上がって使い勝手が良くなりました。研究にも論文にも良い影響を与えてくれていると実感しています」。
中村先生が仰るように、最新型のBZ-X1000はそれまでに比べて大きく性能がアップした。しかも性能アップによって、新たにできることが増えたことも、塚崎先生は高く評価されている。「今やっている論文のリバイスの中で、セクショニング機能を使ってタグをつけた細胞膜局在分子の撮影」をBZ-X1000でやっています。これは旧型だとできなかったので、すごく良いですね」。
また塚崎先生によると「最新型になって、講座外から貸して欲しいというお願いも増えました」とのこと。Lab内だけでなく、別講座の先生からも高い評価を得ているようだ。
そんなBZ-Xシリーズを、塚崎先生は「スマホのカメラのような存在」と例える。「今って記念写真とか大事な瞬間を撮るときでも、一眼レフでなくスマホのカメラで十分な時代ですし、日常的に使うなら第一選択肢はスマホになる。それと同じで、研究の日常でBZ-Xシリーズが第一選択肢になっています。性能も、最新型ではかなり向上したので、ほとんどの場合はそれだけで済んでしまう。多機能にも関わらず、デザインもゴテゴテと余計なものが付いていなくてスタイリッシュでコンパクト。そういう意味で、BZ-Xは顕微鏡界のiPhoneみたいだなと思っています(笑)」。
研究、実験、論文を最優先に考えたサポート対応を高く評価
キーエンスの営業担当についても、塚崎先生は高く評価。「現場のポスドクや大学院生が、しょっちゅう相談しているみたいですね。気軽に連絡しやすくて、とても助かっていると言っています。学術集会のサポートをしていただいたり、未導入のソフトやモジュールもデモでサポートしていただいたりと、きめ細かく支援をしてもらえる点もありがたいです。この前も、論文のリバイスのために、タイムラプスのユニットのデモ機を貸していただけました。あとレスポンスの早さも、凄いですね。レンズの追加購入の相談をしたら、当日にデモ機を持ってきてくれることもありましたから。研究の進捗とか、実験のスケジュールとか、論文のこととか、すごく親身になってくださっている実感があります」。
研究の幅は分野を超える……キーエンスにもそのサポートに期待
塚崎先生に今後の展望を伺ったところ、現在は体内にある「間質細胞」に着目した研究を進めているという。「間質医学というコンセプトを提唱しています。骨膜、歯根膜、滑膜、筋膜、腹膜、漿膜など、臓器は、基本的に膜で包まれているもの。これまでは、ただの隙間を埋める膜ということで、誰もそこに注目してきませんでした。しかし私の研究で、がんが近づくと骨膜が反応して、その進行を止めることを示すことができました。そこで現在は、がん、感染、自己免疫などが発症すると、臓器を包む膜がセンサーとして働いて応答したり、他の臓器に疾患が広がるのを防ぐような役割があるのではないかと考えて、全身の膜の研究を展開し始めました」。
そうした研究を前に進めるためには、専門外の分野の知識も必要となる。そこで塚崎先生は、さまざまな先生に声をかけて、意欲的に共同研究も進められている。「筋膜の研究で世界をリードされている同志社大学・京都大学の一條 遼 先生とディスカッションさせて頂いたり、骨膜の研究では、骨組織を透明化する「Osteo-DISCO法」を開発した東京科学大学の佐藤 信吾 先生と共同研究をさせて頂いています」。
また、そうした共同研究には、BZ-Xシリーズがとても有用とのこと。「BZ-Xシリーズは、いろいろなサンプルに対応できる汎用性の高さがあります。私が今進めている臓器横断的、分野横断的な研究にも大きく役立ってくれるだろうと期待しています」。
最後に、そんな塚崎先生にキーエンスへの要望を伺った。「キーエンスは、国内のいろんな大学、先生と繋がりがあります。異分野の先生の中で、私の研究に関わりそうな先生や、コラボしたら面白そうな先生をご存知なら、ぜひ人となりも含めて教えていただけると嬉しいです。研究者同士のマッチングが進めば、日本の研究の発展に繋がると思います」。


