研究の効率アップだけでなく、大学院生の指導にも有用と高い評価

- 昭和医科大学
歯学部 口腔病態診断科学講座
口腔再生医学部門/部門長
口腔病理学部門/准教授
歯学博士 田中 準一 様 -
田中準一先生は、2013年度から2019年度にかけて、昭和医科大学(当時:昭和大学)口腔病理学部門の助教、講師として、口腔領域の主に唾液腺組織再生の研究に美島健二教授のもと従事。2021年9月からはアメリカのコロンビア大学に留学し、約2年間に亘って森宗昌教授の研究室にて、iPS細胞を用いた肺の再生に関わる研究に携わられてきました。2023年度、再び昭和医科大学に戻られると、同年度には准教授に就任。2026年度からは昭和医科大学にて新たに口腔再生医学部門が設立され部門長に就任。『Nature Cell Biology 2022年11月号』では表紙を飾り、文部科学大臣表彰 若手科学者賞を獲得するなど、唾液腺組織の分野において多くの業績を残し続けています。
田中先生の研究室について詳細はこちら主な論文
Tanaka J., Miura A., Shimamura Y., Hwang Y., Shimizu D., Kondo Y., Sawada A., Sarmah H., Ninish Z., Mishima K. & Mori M. Generation of salivary glands derived from pluripotent stem cells via conditional blastocyst complementation. Cell Rep. 2024; 43, 114340.
Tanaka J, Senpuku H, Ogawa M, Yasuhara R, Ohnuma S, Takamatsu K, Watanabe T, Mabuchi Y, Nakamura S, Ishida S, Sadaoka T, Takaki T, Shirota T, Shimane T, Inoue T, Sakai T, Mori M, Tsuji T, Saito I, Mishima K: Human induced pluripotent stem cell-derived salivary gland organoids model SARS-CoV-2 infection and replication. Nat Cell Biol, 2022, 24(11):1595-1605.
Tanaka J, Ogawa M, Hojo H, Kawashima Y, Mabuchi Y, Hata K, Nakamura S, Yasuhara R, Takamatsu K, Irié T, Fukada T, Sakai T, Inoue T, Nishimura R, Ohara O, Saito I, Ohba S, Tsuji T, Mishima K: Generation of orthotopically functional salivary gland from embryonic stem cells. Nat Commun, 2018; 11;9(1):4216.
昭和医科大学の口腔病理学部門にて、口腔領域における再生医療の研究に勤しむ田中 準一先生は、キーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡・BZ-Xシリーズを活用し、多くの論文執筆、研究を重ねてこられました。そこで、そんな田中先生にBZ-Xシリーズの導入効果やメリットなどについて詳しく伺いました。
- ヒトiPS細胞から口腔領域のオルガノイドを作る
- 誰でも簡単に素早く撮影できる点がBZ-Xシリーズの魅力
- 短期間で効率良く研究を進められる一因にも
- 精細な画質だとコロンビア大学の研究者からも評判に
- 新たな研究テーマを見据えて
ヒトiPS細胞から口腔領域のオルガノイドを作る

田中準一先生は現在、昭和医科大学の口腔病理学部門にて、ヒトiPS細胞から口腔領域のオルガノイドを作るための研究に勤しまれています。口腔内の「唾液腺」は、再生能力が元々低い器官。もし口腔癌に罹患してしまい、放射線治療を行った場合、照射野に唾液腺が入ることで、癌自体は治っても唾液腺の放射線障害によって重度の口腔感染症がずっと続いてしまいます。そしてその治療には、外から細胞を移植するほかありません。「そこで自分たちは、移植用の唾液腺組織を、ヒトiPS細胞からインビトロで作る研究を行っています。そうしてできた細胞を移植して、口腔乾燥を治そうとしているのです」と田中先生。

そんな唾液腺オルガノイドの状態を細かく確認することに活用しているのが、キーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡・BZ-Xシリーズです。「見ているのは、基本的にレポーター iPS細胞ですね。例えば唾液腺で発現するAQP5という遺伝子があるのですが、それが発現するとGFPが発現するレポーターiPS細胞を使って分化誘導を行い、その状態などを細かくチェックしています」。その言葉の通り、研究所内でBZ-Xシリーズが稼働していない日はありません。iPS細胞の分化誘導には、最初から最後まで約80日間を掛けて継続的な確認を行わなければなりませんし、確認したい部位を知るためや、凍結切片化したオルガノイドを細かく撮影していく必要があることから、高い頻度で稼働しているとのこと。「研究所内では、大学院生も自身の研究で使っています。取り合いとまでは行きませんが、誰かが使っていたら、その人が使い終わるまで待つこともよくあるんですよ」。
誰でも簡単に素早く撮影できる点がBZ-Xシリーズの魅力

田中先生は、BZ-9000シリーズを大学院時代よりかれこれ2013年頃から活用されています。そこでBZ-Xシリーズの魅力について伺ったところ、「オールインワンで素早く撮影できる」こと、そして「操作がしやすく誰でも使える」ことの2点を挙げられました。
オールインワンで素早く撮影できる
「暗室が必要ないオールインワン型で、デスク一台に満たないスペースでも設置できるうえ、起動やセットアップに掛かる時間が短いところが良いですね。毎日、普通に培養細胞を観察する感じで変化の傾向を見ているので、いちいち暗室まで持っていく手間がなく、またサッと短時間で撮影できるBZ-Xシリーズはとても使い勝手が良いです」。
操作がしやすく誰でも使える
「BZ-Xシリーズは解析ソフトも優れています。ただ撮影するだけでなく、グラフを使った定量化や、広範囲を撮るタイルスキャン、Zスタック画像の構築といった様々な作業を、直感的な操作で行える点は大きな魅力です。また退色軽減モードがあるのも、細胞毒性を考えなくて良いのでありがたいです。誰かに撮影をお願いした際も、あらかじめ「退色軽減しておいて」と伝えるだけで済むので、安心して任せられます」。
また田中先生は、使い勝手と操作の簡便さはもちろん、性能面についても高い評価をされています。「BZ-Xシリーズ以外の蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡を触ってきた結論としては、再生医療の分野ならBZ-Xシリーズさえあれば、多くの場合十分な解像度を得られるということです。素早さを重視した記録用の撮影でも十分ですし、より精度の高い本気の画像を撮ろうとする際にも、他の顕微鏡に劣ることはないと感じています」。短期間で効率良く研究を進められる一因にも
そうした魅力から得られた具体的な導入効果について伺ったところ、次の3点について語っていただけました。
研究期間の短縮に繋がる
「1つのサンプルを見るにあたって、電源立ち上げから撮影まで、従来の顕微鏡だと15分程度掛かるところ、BZ-Xシリーズならすぐ済みます。撮影する機会が多いほど、当然、その時間の差はどんどん開いていきます」とのこと。ひとつの論文をまとめるまでには、膨大な数・パターンの細胞を確認する必要があります。その時間が大幅に短縮されることは、研究の進捗そのものに直結すると言えます。
ロスなく効率良い確認が可能になる
また田中先生は「BZ-Xシリーズは暗室が不要です。撮りたい時にその場で素早く撮影ができるのでとても便利です」と、その効率の良さについても語られました。
「凍結切片を確認する場合、通常の顕微鏡だと確認に手間ひまが掛かるので、ある程度あたりをつけて、観察していくことが普通です。例えば20カットしたら1枚確認、また20枚カットしたら1枚確認……といった具合に、ある程度の枚数を飛ばしながら見ていくのです。しかしそれだと、確認したい局在を一部見落としてしまうことがあります。その点、BZ-Xシリーズがあれば、手軽に局在確認できるので、見落としもありません。これはとてもありがたいですね」。大学院生への指導がラクに
また先に挙げた「誰でも使える」という魅力は、大学院生への指導も行う立場からも大きな利点があるようです。「他の顕微鏡だと、設定次第である意味どうとでも撮れてしまうので、指導者としてはRAWデータまで気にする必要があります。その点、BZ-Xシリーズで設定保存しておけば誰が撮っても同じような画像になるので、安心感があります」。また使い方を教える際にも「他の顕微鏡だと、見る細胞やその条件などに応じて、その都度、私が隣について使い方を教える必要がありました。しかしBZ-Xシリーズなら、1回教えればある程度は使いこなせるようになるので、指導に掛かる手間や時間も大幅に短縮出来たと思います」とのことでした。
精細な画質だとコロンビア大学の研究者からも評判に
ちなみにコロンビア大学への留学時代は、これまで使っていたBZ-Xシリーズが現地のラボになかったことで、不便さを感じられており「現地ではキーエンスのBZ-Xシリーズを入れてくれって、ずっと言い続けていました(笑)」とのこと。またコロンビア大学での最初のプレゼンでは、BZ-Xシリーズを使って撮影した蛍光画像を使っていたことで、「画像が綺麗だけど、どこの共焦点顕微鏡を使っているのか?」と聞かれ、「キーエンスの蛍光顕微鏡だ」と答えると、皆から大変驚かれたというエピソードも語られました。実際、田中先生が帰国された後ながら、そのLabではBZ-Xシリーズが導入。所属する研究者たちに、田中先生のプレゼンの印象が大きく残っていた証左だと言えるのではないでしょうか。
新たな研究テーマを見据えて
今後の展望としては、新たな研究に向けてまだ使っていない機能の活用も検討しているとのこと。
「『Nature Cell Biology 2022年11月号』の中で、オルガノイドを作出する論文を発表しました。今後はそのオルガノイドをどう使って、そこからなにを明らかにするのかの研究を進めているところです。そのためには、イメージングというのはとても重要になってきます。人の器官発生をインビトロで見られるのがオルガノイド。唾液腺の細胞がどう枝分かれして発生していくのか、その器官形成のメカニズムをダイレクトに確認するために、タイムラプスや、Zスタックといった新たな機能を上手く活用したいと考えています」。


