テープストリッピングによる角層評価試験

皮膚の構造

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されています。この中で一番外側の表皮は、さらに4つの層に細分化されます。つまり、角層、顆粒層、有棘(ゆうきょく)層、基底層です。皮膚にはバリア機能があり、角層細胞とその細胞間に存在する脂質ラメラ構造体は、顆粒層に存在するタイトジャンクションとともに、物理的なバリアとして機能しています。ラメラ構造体とは、疎水基と親水基の分子を持つセラミドにより、水と油が交互に重なり合った構造体のことをさします。ラメラ構造体により、皮膚の水分の蒸発が抑えられています。ラメラ構造が乱れていると、水分が蒸発して乾燥し、バリア機能が低下することで、皮膚のトラブルを起こすと考えられています。
また、角層細胞からは核および細胞内小器官が消失し、細胞膜の代わりにCEとよばれるたんぱく質で覆われています。ラメラ構造体はCEを足場として構築されるため、バリア機能が十分働くには、CEが十分成熟していることも重要です。

皮膚が生まれ変わるためのサイクルは、ターンオーバーと呼ばれ、皮膚の状態の評価に重視されています。皮膚の細胞は、表皮の最下層の基底層で生まれ、細胞分裂を繰返しながら徐々に押し上げられて、やがて核を失った細胞が角層細胞(ケラチノサイト)として皮膚表面に現れ、最後に垢として剥がれ落ちます。正常な皮膚では、ターンオーバーは一定周期で繰り返されています。一方で紫外線やストレスなどにより、ターンオーバーのサイクルが不規則になることが知られています。ターンオーバーのサイクルが乱れると、バリア機能が低下して、肌荒れなどの皮膚トラブルが発生します。

テープストリッピング試験

皮膚の状態を評価するためには、テープストリッピング試験が一般的に行われています。
テープストリッピング試験では、皮膚を粘着テープで剥離し、染色した角層細胞を評価しています。

角層細胞面積は、ターンオーバー速度の指標と考えられます。皮膚に外部からの刺激が強い場合は、ターンオーバー速度が速くなり、角層細胞面積は小さくなります。一方で、老化した細胞など、代謝機能が衰えた皮膚では、ターンオーバー速度が遅くなり、角層細胞面積は大きくなります。
また、乾燥している肌では、多重剥離が多く見られます。角層細胞が一層ずつ剥離されるところが、多層になって剥離される状態をさします。

角層細胞の成熟度は、SH基とSS基の比で評価されます。角層細胞が成熟するに伴い、SH基がSS基に変換していくことが知られているため、SH/SS比が高い各層細胞が角層表面に現れてくると、角層の成熟度が低いことを示します。角層細胞の成熟度の評価には、ほかにCEの量を評価する方法もあります。
このような項目を評価することで、皮膚の状態を定量的に評価しています。

テープストリッピングの評価事例

以下の例では、キーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡BZ-X800を利用して、テープストリッピングにより皮膚から剥離した各層細胞の観察をしています。角層細胞の面積や、多重剥離の比率を測定することで、皮膚の状態が評価できます。
また、化粧品によるターンオーバーの改善度合いを定量化することができます。しかし、従来は測定に時間がかかり、信頼性を上げる評価N数の確保は非常に困難でした。
BZシリーズでは、セルカウント機能により、簡単な操作で、角層細胞の平均面積や、多重剥離率の測定ができます。

テープストリッピングの評価事例

また、マクロセルカウント機能を使用すると、同一条件で多数のサンプルを計測でき、信頼性のある結果を得ることができます。

オールインワン蛍光顕微鏡 BZ-X800を導入すれば