お客様の声 オートスキャン3Dセンサ LJ-S8000シリーズ

株式会社デンソー 安城製作所様

LJ-Sシリーズの「3D画像」で、レーザ溶接の形状検査が現場で瞬時にできました。

自動車部品メーカの国内最大手として知られる株式会社デンソー様は、世界トップクラスのシェアを誇る自動車用インバータをはじめ、多数の最先端製品をグローバルに展開されています。今回、その開発の現場にキーエンスのLJ-S8000を導入いただいたことから、その背景と導入メリットについてお話を聞かせていただきました。

インバータ内の重要部品の検査に活用

どのような製品の検査に用いられているのか、教えていただけますか?

車載インバータの中にある「バスバー」という部品の検査に使っています。ご存知の通り直流電流を交流に変換するインバータは、現在の自動車に欠かせない基幹部品の一つです。特に近年市場の拡大を続けるBEV(電気自動車)、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)では、電力損失のなるべく少ない高性能のインバータが求められています。私たちの部署では、次世代のインバータを安定して量産するために、モジュールの溶接の工法から最終製品の検査まで、生産プロセスのすべてを研究開発しています。

部品の強度を左右する溶接部分の形状を「3D画像」で精緻に検査

バスバー部品の検査では、LJ-S8000を用いて何を検査しているのでしょうか?

バスバーはインバータの内部で、パワー半導体と回路部分をつなぐ「電流のハブ」にあたる重要な部品です。LJ-S8000で見ているのは、まさにその回路をつなぐ「溶接部分」です。バスバーは電力損失と発熱を抑えるために、電気と熱の伝導率が高い金属の銅でできています。しかしその特性ゆえに、銅はハンダ付けなどの工法では熱が逃げてしまい接合するのが困難です。そこで私たちはレーザをバスバーに極短時間照射し、金属を瞬時に融解させて溶接するレーザ溶接工法を採用しています。バスバーは大電流・大電圧がかかる部品で、車を動かすたびに熱によるわずかな膨張・収縮を繰り返します。そのため強度の高い溶接がなされていないと、経年劣化によって接合がはずれてしまう懸念があります。量産に向けて溶接部分の検査が重要なのはそのためです。キーエンスの営業の方から新商品としてLJ-S8000の紹介を受け、3D画像を用いて高さや幅、断面積などを瞬時にかつ正確に測定できるのを見て、溶接部分の検査に最適だと思い、すぐに導入を決めました。世界で最初に私たちがLJ-S8000を導入したと聞いています(笑)。

スキャン機構内蔵により簡単に3D検査が可能に

LJ-S8000のどこに一番魅力を感じたのでしょうか?

やはり従来のブルーレーザによる2D形状検査機器に比べて、オートスキャン機構を内蔵したことで、部品の高さ・幅・断面形状などを3D画像から瞬時に計測できるようになったことですね。かりに自分たちで同様の計測システムを作ろうとすれば、ロボットなどを用いて検査機器を精密に制御しながら移動させて測る必要があります。システムとして非常に大がかりですし、開発するのに時間とコストがものすごくかかります。それに対してLJ-S8000は、コンパクトな筐体に3D検査に必要な機構がすべて収まっています。通常の3D計測に必要なステージやエンコーダ、照明なども不要で、既存設備に後付けで設置でき、外乱光や装置の振動などの外的要因に測定結果が大きな影響を受けにくいのもメリットです。

検査室まで歩いていく時間が不要になった

LJ-S8000の導入前は、どのような方法で溶接部分を検査していたのでしょうか?

以前は溶接試験をしたバスバーのテストピースを検査室まで持っていって、そこに設置してあるレーザ顕微鏡で検査していました。そのたびに検査室まで歩いていく必要があり、また行っても別の人が使っていたりして、検査が終わるのを待つこともよくありました。それに比べてLJ-S8000は付帯設備が必要なく、どこでも測ることができます。持ち運びしやすく、その場ですぐにテストピースを3D撮像できるので、検査の効率は圧倒的に良くなりました。インバータの開発をおこなっている他のチームのメンバーも、LJ-S8000を検査に活用しています。

良い溶接とは「美しい溶接」

LJ-S8000を溶接部分の検査に用いるようになって、感じるメリットとしてはどのようなことがありますでしょうか?

やはり溶接部の形状を、ブルーレーザでスキャンすることによって瞬時に、しかも非常に精度高く得られることです。良い溶接に共通するのは「美しい」ことなんです。溶接部にスパッタと呼ばれる余分な盛り上がりがあるとショートにつながり、クレータ(凹み)があれば強度不足につながります。美しい溶接だからこそ欠陥のない、品質にバラつきも見られない部品を量産することができるんです。LJ-S8000を使うことで、その溶接の「美しさ」を誰もが客観的に、数値で把握することができるようになり、理想とする溶接の姿がよりクリアに開発チームで共有できるようになったと感じます。

操作方法もわかりやすく、すぐに習熟

画面の見方や、操作方法についてはすぐに習熟できたでしょうか?

もともと私たちは、ラインに流れる製品の検査にキーエンスのLJ-Xシリーズを使用していたので、「LJ-Xに3Dスキャン機能が付いた」本製品の操作も、すぐに慣れました。キーエンスの検査機器はどれもマニュアルを読み込まずとも直感的に使える製品が多いと感じていますが、LJ-S8000もきわめてスムーズに検査に導入できています。

量産プロセスへの採用に向けてさらに活用を検討

今後さらにLJ-S8000を活用するためにどのようなことを検討されていますでしょうか?

私たちの部署は先に述べた通り、インバータの量産プロセスを開発するのがミッションです。量産するうえでは、品質を高度に安定させるのはもちろん、コストを抑えて、さらにグローバルに海外の工場でも同じ製品を作れる体制を整える必要があります。LJ-Sシリーズは工場の生産ラインにおいて、全数検査をおこなうことを主目的に開発されたと聞いています。テストピースではうまく行っても、量産になると溶接部分の重ねあわせがズレたり、接合がうまくいかないなどの予期しないケースが出てきます。実際の量産プロセスでは、そうした不良品を自動的に生産ラインから検出し、取り出す必要があります。そうした全数検査の用途にもLJ-Sシリーズは向いていますので、量産への応用に向けた検討をこれから進めていきたいと思います。

お客様紹介 | 株式会社デンソー 安城製作所様

株式会社デンソーは1949年創業の、トヨタグループに属する日本を代表する自動車部品メーカです。愛知県刈谷市に本社を構え、エンジン制御、電動化、ADAS(先進運転支援システム)などの技術を強みとし、特に電動車向けのインバータ技術では高効率・小型化により業界をリードします。世界30か国以上に事業を展開し、カーボンニュートラルや自動運転技術の開発でグローバルに自動車産業を支えています。

※この事例に記述した数字・内容は事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。

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