お客様の声 3Dロボットビジョン 3D VGR シリーズ

日産自動車株式会社 いわき工場様

導入から約4年間で不具合は一切ありません。

認識精度が高くて壊れず、動作も安定している点がRBシリーズの魅力!
AGV上でボルト位置を把握するなら、今や他の選択肢は考えられないです。

日産自動車株式会社では、エンジンの組立ラインのAGV化に伴い、ボルトの締め付け作業の多くを、設備からロボットへと移行。その座標位置の把握に、3Dロボットビジョンカメラ・RBシリーズ(以下:RB)を採用することで、高精度な座標の認識と、トラブルのない締め付けを実現させました。そこでエンジン組立ラインに深く関わるお二方に、RB導入の経緯やその魅力について詳しく伺いました。

エンジン組立ラインのボルトの締め付け位置の把握に活用

RBの活用状況を教えてください。

弊社のいわき工場内のエンジン組立ラインにおいて、ボルトの「締め付け位置の把握」に活用しています。
具体的には、カムブラケット、チェーンケース、ロッカーカバー、VTCを組み付ける各工程に1台ずつ、計4台を導入しています。AGV(Automated Guided Vehicle/無人搬送車)で、それぞれの工程に流れてきたエンジンを、上部に設置したRBで撮像。ボルト穴の正確な座標を把握した後、実際にボルトの締め付けをおこなっているロボットに、その情報を送信しています。弊社のエンジンの組み立てには、およそ160 ~ 170本近くのボルトが使われています。その組立ラインの中で、特に本数が多くてミスが出やすそうな60 ~ 70本分の締め付け箇所に絞ってRBを導入することで、ヒューマンエラーによる締め忘れなどを抑止しています。

組立ラインの省スペース化・多品種化を目指してRBを導入

RBを導入するに至った経緯を教えてください。

約4年前まで、弊社のエンジンの組立ラインは、いわゆる「強制搬送」と呼ばれるタイプでした。コンベアのパレットに乗って運ばれてきたエンジンを、主に大型の設備を使って組み立てるというものです。ですがある日、会社から「スペースの縮小」と「多種多様なエンジンへの対応」という新たな方針が提示されました。その方針を実現させるべく、「AGVを使った組立ラインへ の移行」が決まったのです。移行に伴い、それまで基本的に設備でおこなっていた「ボルトの締め付け」は、人の手、またはロボットでおこなうことになりました。しかしAGVは、エンジン1台1台が搬送車に乗って移動するという性質上、積載の状態や停止位置によってボルトの穴の位置 が変わってしまうという特性があったのです。そのため、ボルト位置を正確に把握する「ロボットビジョンカメラ」を導入する必要性が出てきました。
「ロボットビジョンカメラ」の導入において、どのメーカのものにするかは、紆余曲折がありました。最初は、あるメーカ・A社のロボットとロボットビジョンカメラをセットで導入することを検討していました。しかし会社の方針もあって、ロボットは既に実績のあるB社製メーカでいくことに。そこでB社のロボットビジョンカメラを含め、複数の機種から検討した結果、次の条件をすべて満たしていたRBに白羽の矢が立ったのです。

機器選定で決め手となった条件

  • 解像度が高く高精度な座標を取得できる
  • ターゲット(目印)がなくても認識できる
  • 既存のロボットと問題なく連携ができる
  • 約3か月間という短い移行期間内で導入が可能

ちなみに強制搬送ラインの方では、キーエンスさんの「2Dロボットビジョンカメラ」を活用していまして、その導入時に営業担当の方のフォ ローが良かった点も、選定の後押しになりました。また採用決定前に、弊社のロボットとサーバを使って「トライアル」をおこなった際も、キーエンスの営業担当の方に尽力いただいて、素早く立ち上げをフォローしていただけたのもありがたかったですね。ライン移行までの期間が 迫っていた中、2 〜 3日で問題なく動作確認をすることができました。実際に動いている様子を見せられると、やはり説得度が違います。導入に向けた社内への良い説得材料になってくれました。

「2D」ではなく「3D」のロボットビジョンカメラを採用した理由

すでにキーエンス製の「2Dロボットビジョン」を上手く活用されていた中で、今回「2D」ではなく「3D」のロボットビジョンを採用された理由は、どこにあったのでしょうか?

理由は大きく3つあります。
ひとつ目は、撮像時間です。上から1枚撮るだけで済む「3D」のRBと比べて、「2D」の場合は、画像分解能の問題で、精度を確保するために複数箇所からの撮影が必要なため、撮影により時間がかかってしまうのがネックでした。
ふたつ目は、画角の問題です。「2D」での撮影は視野角の問題で、画像の端にいくほど認識の精度は落ちてしまいます。エンジンは約600×600 mmとかなりの大きさがあるため、端の精度が下がることは望ましくありませんでした。
最後は、高さ方向への対応です。「2D」はどうしても平面上の座標しか把握できません。そのためAGVにありがちな「高さ方向のズレ」を認識することは難しかったのです。以上の理由から「3D」であることは必要不可欠でした。さらにその中でも、機能面を含め先ほど挙げた4つの条件を考えた時、現実的な選択肢はRBしかありませんでした。

試行錯誤の上、検出精度を改善

導入に際してトラブルなどはありませんでしたか?

大きなトラブルはありませんでした。ただ細かな部分での試行錯誤はありました。たとえば、30本近くのボルトを一度に締め付ける工程では、場所が多すぎるがゆえに、30箇所すべての座標を1回の調整では正しく認識させられない、ということがありました。ちなみにその時は、エンジンを乗せたAGVを該当する工程に運び入れる作業を何度か繰り返しながら、少しずつ精度を高めていくことで解決しました。

高品質・省スペース・素早い設定がRBの魅力

RBの導入効果で挙げられるものがあれば教えてください。

導入から約4年、ロボットを使った「ボルトの締め付け」に関する不具合は一切出ていません。締め忘れが発生したエンジンが、お客様の下まで届いてしまった場合、取り返しが付きません。それが立ち上げから1回も発生しなくなったのは、大きな安心に繋がっています。

4年使ってきたからこそわかったRBの魅力を教えてください。

大きくは次の3つになります。

  • 1.
    ラインの品質向上に繋がる
    RBは、認識の精度が高くて壊れず、動作も安定しています。その結果、組立ラインが高い品質を保てている点は大きな魅力だと思っています。先ほどもお話しましたが、立ち上げてから約4年間近く不具合が出ていません。
  • 2.
    省スペースで設置可能
    大きな設備を使わなくても、本数が多いところの締め付けを実現できたことも良かった点です。限られたスペースで生産ラインを作らないといけない我々メーカにとって、これは大きなメリットだと言えます。
  • 3.
    素早い設定が可能
    ラインを立ち上げる際の設定が、素早く、かつ楽にできる点も助かっています。特に近年のバージョンアップで、登録した指定面を自動的に認識させられる機能が新たに追加されたことで、より簡潔に設定を完了させられるようになりました。私たちのような自動車メーカにとって、省スペースかつ高品質で座標を認識できるRBの存在は非常に有益です。性能や使い勝手にも満足しており、ボルトの締め付け位置を把握させたいなら、これ以外の選択肢は今のところ考えられないと思っています。

今後の展望

今後の展望をお聞かせください。

RBは「ボルトの締め付け」だけでなく、部品を掴んで投入する「ピッキング」の工程でも使えると考えています。現状は今ある機器だけで、求められている生産台数を賄えていますが、もし将来的にもっと生産スピードを上げる必要性が出てきた時には、また別の工程にRBを導入して、より生産ラインの自動化とスピードアップを図っていきたいですね。

お客様紹介 | 日産株式会社 いわき工場様

日産自動車株式会社は、1933年に設立された自動車メーカ。現在はルノー、三菱自動車とパートナーシップを結び、「ルノー・日産・三菱アライアンス」を形成。多国籍自動車メーカとして、世界トップクラスの生産台数を誇っています。そんな同社の拠点のひとつである「いわき工場」は、最新鋭設備を導入したエンジン工場として、主に高級車や大型車に搭載されている「V型エンジン」を生産。スカイライン、フェアレディZといった日産自動車の代名詞とも言える数々の人気車種のエンジンを生み出しています。

ページトップへ