アナログ信号とデジタル信号。マイコンにおける仕組みの比較

マイコンは、電気機器を制御するための電子部品です。

身近な洗濯機やエアコンなどの家電製品はもちろん、複雑な制御を必要とする自動車には、1台当たりに多くのマイコンが使われています。

マイコンには様々な信号をインプットして動作をさせることができますが、マイコンの中ではデジタル信号しか取り扱えないため、実世界を観測したアナログ信号をデジタル信号に変換した上で利用します。

性質の違う信号であるアナログ信号とデジタル信号、それぞれの特徴を理解することが重要です。ここでは、マイコンが扱うアナログ信号とデジタル信号に関して解説します。

マイコンがデータを読み取る仕組み

マイコンがデータを読み取る仕組みのイメージ図

マイコンとはI/Oポート(入出力ポート)を通じて入力される何らかの信号を基に、内部でプログラム処理をして、結果をI/Oポートから出力する装置です。エアコンを例にとれば、温度センサが取得したアナログ信号の情報がデジタル化され、プログラム内で処理された後、暖房や冷房をつけるための信号として出力されます。

マイコン内のCPUではデジタル信号しか扱えません。そのため、必ずA/D変換(アナログデジタル変換)によりアナログ信号をデジタル信号に変換して使用します。

A/D変換におけるポイントの一つは分解能です。分解能は測定対象の信号をどれだけ細かく検出するかの能力を数値化しており、8ビットや24ビットなどが選べます。ただし分解能が高いものは最大サンプリング速度が低い傾向があるため、サンプリング速度を重視する場合にはある程度分解能を下げざるを得ません。A/D変換は「速度」と「精度」がトレードオフの関係にあるので、分解能と併せてサンプリング周期を調整し、入力値としたい情報が適切に取れる分解能とサンプリング速度の値を探します。変換回路を内蔵しているマイコンもありますが、必要とする変換速度と分解能次第では外付けのA/D変換器が必要です。

外付けにすると、レイアウトや電源を考慮したハードウェア設計が必要にあるほか、マイコン制御の方法も変わるため、A/D変換をマイコン内部で対応するか、外部で対応するかには大きな差があります。

アナログ信号

ここでは、アナログ信号の仕組みと強みについて紹介します。

アナログ信号の仕組み

アナログ信号の特徴は、連続性を持っていることです。

連続的に変化する値を持つため、グラフにすると滑らかな線を描きます。その分、アナログ信号はそれを生成する素子の影響を受けやすく、ノイズや、使用するハードウェアのインピーダンスによっては信号が崩れることもあります。また連続的に情報を取得し続けるために、回路には常に電流を流し続けることが必要です。

アナログ信号の強み

アナログ信号は大量の情報を高精度に伝えることができるため、自然界に存在する物理現象を電気信号として変換できます。

実際の現象に近い波形で記録し、センサなどが取得した自然な表現が可能となる信号です。連続した波形の変化をスムーズに伝えられるため、リアルタイムの伝達に向いている点が強みです。アナログ信号は音響機器やセンサ技術において多く用いられています。

デジタル信号

ここでは、デジタル信号の仕組みと強みについて紹介します。

デジタル信号の仕組み

デジタル信号は、信号を0と1の2進数に符号化して表現するため、連続性を持ちません。

一般的にデジタル信号には閾値があり、値が閾値を超えるとデータが丸められたり切り捨てられたりします。あいまいな値がないため再現性の高い信号です。現代のデジタル機器で必要となる高品質な通信を実現するためには、デジタル信号による通信が不可欠です。

デジタル信号の強み

デジタル信号は単純な2値の表現からなる信号のため、劣化しづらく正確な情報を伝えることに向いています。

ノイズの影響も受けにくく、データの圧縮が可能なため、遠距離への伝送も可能です。画像や音源はデータ圧縮されて劣化することがありますが、これはあくまでも圧縮変換方法の問題です。デジタルデータ自体がコピーや圧縮によって劣化することはありません。

アナログ信号とデジタル信号の比較

アナログ信号は、連続的に事象を読み取ることが得意な信号です。

デジタル信号は離散的であり、中間値がない代わりにノイズに強いため正確に信号を伝えられます。それぞれ特性が異なるため、組み込みシステムでは両者を組み合わせて用いることが一般的です。マイコンは外部からのアナログ信号による入力をA/D変換器で変換して、内部ではデジタル信号として扱います。

出力結果をわれわれが確認する際にはさらにD/A変換器でアナログ信号に再度変換した上で、アナログ信号を音や映像に変換するインターフェースを介することが必要です。

アナログと聞くとカセットテープやレコードを想像するなど古い技術のように感じますが、アナログ信号が必要となる場面も多々あります。デジタルが後発で出てきたというだけで、決して時代遅れの技術ではありません。

従来、アナログ回路を扱うにはハードウェアの知識と経験が必要でした。しかし、マイコンの出現以降、ソフトウェアによる低コスト・省サイズでの構成が可能となりました。

このように、アナログ信号とデジタル信号は役割が異なり、マイコンでは両者を組み合わせて利用されています。それぞれの特徴を理解することで、電子機器がどのように実世界の情報を処理しているのかをより深く理解できるようになります。

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