手動テストはなぜ必要?自動テストとの違いと使い分けの判断基準

開発した製品の品質を保証するには、テストが重要です。
ソフトウェアのテストは、大きく手動テストと自動テストに分けられます。テストの自動化が進む今でも手動テストが必要とされているのは、それぞれに異なるメリット・デメリットがあるためです。
この記事では、ソフトウェアの手動テストについて詳しく解説するので、テスト工程の最適化に役立ててください。
手動テストとは

手動テストとは、テスト担当者がソフトウェアを直接操作し、期待通りに動作するかを目視や操作感などから確認する方法のことです。テストプログラムや自動化ツールに頼らず、テスト担当者の判断で製品の品質を検証します。
テスト担当者はエンドユーザーの役割を担い、ソフトウェアの全ての機能について動作を確認します。操作・確認・判断の全てを人が行うため、担当者の知識や経験をフル活用でき、仕様や環境の変化にもその場で対応しやすい方法です。テストを通してバグが発見されたときは、ソフトウェアが正しく動作するように修正することで、ユーザーがストレスを感じずに安心して利用できる状態に近づけられます。
手動テストのメリット
手動テストのメリット4点を解説します。いずれも自動テストでは代替できない価値であり、テスト計画を立てる際にも役立ちます。
メリット1:柔軟性が高い
テスト内容が変更になっても、修正が軽微であれば、すぐに計画を直して対応できます。テスト手順についても、混乱が生じることは少ないでしょう。予期しない問題が発生しても、テスト担当者が柔軟にフォローできるため、工数を大幅に増やすことなくテストを続行できる点がメリットです。
メリット2:初期コストが低い
手動テストでは自動テストと異なり、テストプログラムの作成が不要です。そのため、自動テストよりも初期コストがかかりません。数回しか実行しないテストなら、手動テストを採用すれば短い準備期間で開始できるでしょう。
メリット3:人間の感覚で評価できる
製品を使用する際の違和感には、手動でテストしないと気付けない場合が多いでしょう。たとえば、ソフトウェア操作画面の色・フォント・ボタンの大きさといったビジュアル面の問題点は、人の目で見ない限りフィードバックが難しい項目です。製品のユーザビリティを良くするためにも、手動テストを通じた人間の判断が重要だといえます。
メリット4:プログラミングスキルが不要
手動テストに、プログラミングスキルは必要ありません。テスト担当者はエンドユーザーに近い感覚での作業が求められるので、コーディングを行うエンジニア以外のメンバーもテストに参加できます。テスト自体はコーディングよりも多くの時間がかかるので、コーデイングを担当しないエンジニアがテストを担当してチーム全体のリソースを最適化すれば、効率良くプロジェクトを推進できるでしょう。
手動テストのデメリット
手動テストのデメリット3点を解説します。デメリットを理解することで、自動テストと組み合わせる際にも、より適切に運用できる可能性が高まります。
デメリット1:工数がかかる
手動テストでは、同じテスト項目を繰り返さなければならないことも多く、繰り返すほどテスト担当者の労力や時間が必要になっていきます。誰でも同じ作業を繰り返せば、しだいに退屈に感じ疲れやすくなるためです。その結果、自動テストに比べて手動テストには工数が増加しやすく、プロジェクトの進行にも影響を与えやすい傾向が見られます。大規模なソフトウェア開発では、より多くの手動テスト担当者が必要となるかもしれません。
デメリット2:ヒューマンエラーのリスク
手動テストでは、バグの見落としや操作ミスといったヒューマンエラーが、ある程度は発生します。長時間のテストで集中力が低下すれば、さらにミスも起こりやすくなるでしょう。熟練の担当者でも、大量のテスト項目を正確に検証し続けるのは簡単ではありません。
デメリット3:再現性の確保が難しい
手動テストでは、手順の違いや操作のタイミングのような微妙な差で、結果が変わることもあります。特に組み込みソフトでは、不具合の発生手順を正確に記録したつもりでも、ハードウェアの状態によって再現性が変わってしまうケースも考えられます。不具合を再現できなければ、原因の特定が難航し、修正と再確認に時間がかかるかもしれません。
手動テストと自動テストの使い分け

自動テストよりも手動テストの方が適しているケースは、主に3つあります。
1つ目は、人間の感覚や判断が重要な場合です。ユーザーにとっての使いやすさ(デザインや操作性など)は、自動テストで判断するのが困難です。また、頻繁な仕様変更を前提とした開発手法を採用している場合も、テストの手順を柔軟に変更できる手動テストの方が向いています。新機能が追加された際は、まず手動で行い、早く検証するのが効率的でしょう。
2つ目は、実行の頻度が低い場合です。1年に数回しか行わず短時間で終了するテストを自動化しても、テストプログラムを変更・更新する手間の方が大きくなってしまい、思うように効率化できません。こうしたテストは、手動で実施するのが合理的でしょう。
3つ目は、初期費用を抑えたい場合です。自動テストでは、テスト環境の構築やテストプログラムの作成にコストがかかります。最近ではAIなどを使用し、作成コストを下げて構築する方法も出始めていますが、まだまだテストプログラムを書けるエンジニアの確保も必要です。テスト開始までの時間や予算、人的リソースが限られているプロジェクトには、手動テストの方が適しているでしょう。
手動テストが必要な場面
テストの自動化が難しく、手動での実施が必要となる場面を紹介します。
探索的テスト
探索的テストは、テスト内容を作成しながらテストを実行する手法です。詳細なテストケースを事前に定義せず、担当者は必要なテストを考えながらバグを発見していきます。探索的テストは直感や経験による手法であり、予期しない動作の発見に役立ちます。新機能の初期検証や、操作が複雑な機能の検証などに活用されることが多い手法です。
ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストは、実際のユーザーが製品を操作する様子を観察し、使いやすさを評価する手法です。人間の行動心理を、UI/UXに関する課題の発見や改善につなげます。「どこで迷うか」「どの操作に時間がかかるか」といった、数値や仕様だけでは表現しにくい課題を把握するのに有効です。改善の余地が見つかれば、より質の高い製品開発も期待できるでしょう。
アドホックテスト
アドホックテストは、ソフトウェアの有識者が思い付くままにテストを実行する手法です。あえてテスト担当者の直感と経験に任せることで、不具合が発生しそうな操作を行い、開発者の想定を超えるバグの発見につなげます。時間やリソースが限られている場合に使用されることが多い方法です。
まとめ
製品の品質を保証するためには、手動テストと自動テストの両方が必要です。手動テストは時間がかかりやすく、ヒューマンエラーのリスクもありますが、探索的テストやアドホックテストを実施して初めて発見できるバグもあるかもしれません。プロジェクトに合わせてテスト計画を最適化し、より品質の高い製品開発を目指しましょう。

