塗料はどこの業界でも活躍しますが、自動車・航空関連業界においては素材の強度UPや機能性を付加するなどの効果をもっています。
ただし、対象物とその目的に合わせた塗料と塗装方法を最適に選択できるかが効果を最大化させるうえで重要なため、ここでは塗料の使用目的や役割、そしてその塗装方法についてとその効果検証に関するマイクロスコープでの解析事例を紹介します。

塗料のデジタルマイクロスコープでの観察・測定

塗料の使用目的と主な対象物

(塗料技術大全より引用・編集)
目的 対象物 劣化要因
耐食性 主に金属 酸素・水素
脱化断性 主にプラスチック 紫外線
装飾性 全般 -

強度付加のためには対象物とその塗装の目的を明確にします。

塗料の役割

特性 内容
力学特性 耐久性・潤滑/防滑性を持たせる
分離特性 防水性・ガスバリア特性を持たせる
コーティング特性 粘着性・撥水性・抗菌性を持たせる
耐熱特性 耐熱性を持たせる

機能性付加のためには必要な特性をもった塗料を適切に選択します。

塗装方法

塗装方法 精密さ 属人性
はけ・ローラー塗装 低い 高い
浸漬(しんし)塗装 低い 低い
電着塗装 高い 低い
霧化塗装 高い 高い

対象物と塗料の種類に合わせて最適な塗装方法を選択します。

デジタルマイクロスコープによる観察・測定事例

これらのプロセスを経ても塗装を適切に施せているかはわかりません。
以下に塗装状態の解析例を紹介します。

塗装面の観察

通常の観察
アドバンスドサーフェスビューを用いた際の観察
通常の観察
ディープコントラストを用いた表面観察
塗料に混在した異物の解析
明視野・暗視野・3D表示・元素分析を一画面で解析ができるので様々な情報から問題の要因を探索することができる
塗膜粒子の面積測定
人によるばらつきの大きいカウントも一瞬で定量的に分析し、レポートすることが可能