化学・材料・素材業界
炭素繊維のデジタルマイクロスコープでの観察・測定
炭素繊維(カーボンファイバー)は、鉄やコンクリートより軽くて強靭な素材で、航空宇宙分野、産業分野、スポーツ用品に至るまでさまざまな製品に応用されています。ここでは、炭素繊維のデジタルマイクロスコープでの観察・測定事例を紹介します。
炭素繊維とは
PANプリカーサーと呼ばれるアクリル繊維(ポリアクリロニトリル繊維)を約1000℃の高温で焼き、炭化させた繊維です。 PANプリカーサーの直径は1本当たり5~15ミクロンで髪の毛の約10分の1にすぎませんが、引っ張り強度は鉄の約10倍、密度(体積当たりの質量)は約4分の1で、比強度(重量当たりの強度)は約40倍あります。強度(壊れにくさ)だけでなく弾性率(変形のしにくさ)にも優れた材料です。
CFRPとは
CFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)はFRPの一種です。
FRPは、2つ以上の素材を組み合わせた複合材料(コンポジット)で、プラスチックを母材とし、繊維を強化材として加えることで、高剛性・高強度を実現しています。FRPの中で、炭素繊維(カーボンファイバー)を強化材として加えたものをCFRPと呼んでいます。高剛性、高強度に加え、導電性・耐熱性・低熱膨張性・自己潤滑性・X線透過性といった特徴も備えた素材です。
非常に優れた素材ですが、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)と比べ高価です。
また、加工が難しく、色が黒ずんだり、表面が繊維形状になってしまうといったデメリットもあります。
炭素繊維の活用例
炭素繊維は幅広い業界で活用されています。ここでは主な活用例について紹介します。
- 自動車・バイク
- 用途:ルーフ・スポイラー・シートフレーム・ホイール・マフラーカバー・ボディーフレーム
- 宇宙業界
- 用途:ロケット・人工衛星部品
- 航空業界
- 用途:機体・ヘリコプターブレード
- 鉄道
- 用途:車体・車両台車
- 産業機械
- 用途:ロボット部品・搬送装置のハンド・アーム・フレーム
- 電化製品
- 用途:PC筐体・ハウジング・スマートフォンカバー
- 日用品
- 用途:眼鏡・サングラスフレーム・ヘルメット
- 圧力容器
- 用途:CNGタンク・水素タンク・消防用空気ボンベ
- 医療機器
- 用途:X線撮影装置天板・X線フィルムカセット
- 福祉・介護
- 用途:車椅子・義足・アシストスーツ
- スポーツ業界
- 用途:ゴルフクラブシャフト・テニスラケット・自転車フレーム
- レジャー業界
- 用途:釣り竿・ヨット・クルーザー・スキー・スノーボード
デジタルマイクロスコープによる炭素繊維の観察・測定事例
キーエンスの4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いた炭素繊維の観察・測定の最新事例を紹介します。
画像連結機能で、広範囲を高解像度で観察できます。
Optical Shadow Effect Mode画像
Optical Shadow Effect Mode+Color画像