セラミックは、樹脂や金属よりも前から存在する材料です。硬くて摩擦や高温に強い一方、機械的衝撃や急激な温度の変化に弱く、工業用部品の素材としては不向きとされてきました。
しかし、近年ではこれらの弱点を克服したセラミックが開発され、積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)に代表される電機部品や自動車や飛行機エンジンの耐熱性ベアリング、建築材料など重要部品に使用されています。
ここでは、最新4Kデジタルマイクロスコープによるセラミック素材製品の観察・解析事例を紹介します。

セラミック素材の製品における観察・解析

セラミック素材製品の観察・解析の必要性

1980年代半ば、チップ部品の表面実装が可能になり、セラミックコンデンサもチップ部品になりました。以来、基板実装の高集積化に伴ってセラミックコンデンサも小型化。数百層の薄い誘電体シートを、わずか1μm以下の中に精度よく重ねるという高度な技術と生産体制で、あらゆる分野の電子技術を支えてきました。しかし部品の小型化に伴い、実装基板の反りによるクラックや誘電体シートの傷による内部電極間の絶縁不良などの不具合が発生する可能性も高くなり、部品内部の観察・解析の必要性も高まりました。
また、建築材料としては、汚れにくい超親水性防汚機能セラミックタイルなどがあります。建築材料に使われるセラミックには、高い耐熱・耐火性も求められ、その成分分析は品質維持に欠かせません。
このように、多くの分野でのセラミック素材の利用目的の高度化から、セラミック素材製品の観察・解析の必要性は、これまで以上に高まっています。

最新4Kデジタルマイクロスコープによるセラミック素材製品の観察事例

多くの場合、セラミック素材製品の表面はコントラストが低く、光学式顕微鏡やマイクロスコープによる観察は、難易度が高いとされてきました。
しかし、最新の4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」は、高い解像度のレンズとイメージセンサー、さらに解析のための多くの機能を搭載しています。
これにより、セラミック素材製品など低コントラスト素材も高精細画像で観察でき、さまざまなツールで高度な解析を可能にしています。

積層セラミックコンデンサの観察事例

チップ化された積層セラミックコンデンサには、 1μm以下の中に数百層のセラミックが誘電体シートとして使われています。この小さな部品に埋め込まれたセラミックの観察は、パッケージを研磨して取り除き、樹脂埋めした状態で観察します。
実装初期では些細なクラック(割れ)であっても、機械的衝撃や経年劣化などにより進行して絶縁不良を起こす可能性があります。絶縁不良は故障や発熱・発火の原因になります。そして、倍率・解像度の不足などによる微細なクラックの見逃しは、検査工程で大きな課題になっていました。
4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」なら、これまでコントラストが低く観察が困難だったセラミック素材製品の微細な外観不良も、暗視野・明視野照明の比較で観察可能。クラックや絶縁不良なども鮮明に捉えることができます。
また、樹脂埋めしたサンプルの研磨が不十分で表面に凹凸がある場合でも、高分解能HRレンズによる深い被写界深度で、サブミクロンオーダーの微細なクラックまで鮮明な画像で観察することができます。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」でのセラミックコンデンサの内部電極観察
暗視野照明
暗視野照明
明視野照明
明視野照明

セラミック建材内のガラス繊維観察

耐熱性や耐食性、弾性や剛性に優れる無機繊維として、ガラス繊維は幅広く利用されています。そのガラス繊維を、繊維状にしたセラミックファイバーに織り込んで、さらに機能を高めた建材が開発されています。これらの素材は高い断熱・耐熱・防火性を備え、ボイラーなど工業炉の高温密封や防火カーテンなどに利用されています。
綿状の素材に織り込まれたガラス繊維は、被写界に奥行きがありコントラストも低いため、従来のマイクロスコープでは正確な観察が困難でした。
キーエンスの高精細4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」は、高分解能HRレンズと4K CMOSなどの最先端技術を採用し、セラミック建材内のガラス繊維を鮮明な4K画像で観察・解析することができます。
凹凸のある対象物であっても、全体にフルフォーカス可能なHDR機能などを搭載。HDR(High Dynamic Range)機能は、シャッタースピードを変えて高階調の画像を複数取得するため、解像度やコントラストの不足で観えなかったガラス繊維の詳細を高精細・高コントラストな画像で観察することができます。
また、高解像度な拡大画像を用い、簡単な操作でそのまま2D・3D測定などが可能なため、解析に求められる一連の作業を高精度かつスピーディに実現します。

デジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」でのセラミックとガラス繊維の分散状態観察
通常
通常
HDR撮影
HDR撮影

セラミック端面傷の観察

従来の顕微鏡では照明の角度によって見え方が異なり、コントラストの低いセラミック素材端面の傷を見逃すケースがありました。
4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」であれば、ボタンを押すだけの簡単操作で、マルチライティング機能による全方位の照明データを自動で取得します。その中から最適な画像を選択することで、これまで照明の設定にかかっていた時間を大幅に短縮することができます。また、画像の選定・記録後でも、簡単なマウス操作で照明条件の異なる画像をすぐに呼び出すことができます。
鮮明な画像を得るために照明設定を何度もやり直す手間は必要ありません。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」でのセラミック端面傷の観察
従来のマイクロスコープ
従来のマイクロスコープ
「VHXシリーズ」での高精細撮影
「VHXシリーズ」での高精細撮影

この1台で、観察・解析からレポート作成まで

高精細4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いることで、従来の顕微鏡やマイクロスコープに比べ圧倒的な効率化や、人による誤差の解消と正確な観察・解析が実現します。
また、最先端の光学・画像処理・自動化技術で実現した高精細4K画像により、セラミック素材製品でも簡単な操作で自動面積計測やカウントができるため、より高度な解析結果を素早く得ることができます。
撮影・測定したデータは「レポート機能」により設定した定型フォームで簡単にレポート化でき、品質保証のみならず、問題発生時には原因究明や工程改善などにも活用することができます。

この1台で、観察・解析からレポート作成まで

他にも最先端の機能を数多く搭載した 「VHXシリーズ」は、セラミック素材製品の不良解析の強力なパートナーとなります。詳細に関しては、以下のボタンよりカタログをダウンロード、または、お気軽にご相談・お問い合わせください。