化学・材料・素材業界
ばねのデジタルマイクロスコープでの観察・測定
機械部品の中で、ねじと共に使用頻度が高いばねは、自動車、電気製品、機械製品、日用品など幅広く使用されています。ここでは、ばねの概要とデジタルマイクロスコープでの観察・測定事例を紹介します。

代表的なばねの種類
コイルばね
- 圧縮コイルばね
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ばねが圧縮する方向に荷重を受けると反発力が発生するコイルばねのことです。等ピッチコイルばねや円すいコイルばねがあります。自動車のサスペンションが代表的です。
等ピッチコイルばね 円すいコイルばね - 引張コイルばね
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ばねが伸張する方向に荷重を受けた時に反発力が発生するばねのことです。ばねの両端にフック部が付いています。自転車のスタンドや計量器が代表的です。
引張コイルばね
- A:フック
- ねじりコイルばね
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コイルが中心軸周りにねじりモーメントを受けた時に反発力が発生するコイルばねです。両端にフック部があるものと、ないものがあります。ドアロックや穴あけパンチが代表的です。
ねじりコイルばね(フックあり) ねじりコイルばね(フックなし)
板ばね
- 薄板ばね
- 最も一般的で、板ばねといった場合は基本的にこの薄板ばねを指します。スイッチ部品が代表的です。

- 重ね板ばね
- 長さの異なる複数枚の板状ばねを重ね合わせた板ばねです。複数枚重ねることで耐久力を高めることができます。トラックのサスペンションが代表的で、リーフスプリングとも呼ばれます。

- 皿ばね
- 円すい状の板ばねの中心をくり抜いた形状をしています。ねじの緩み止めの座金が代表的です。

- 渦巻きばね
- 板・帯状の素材を渦巻き状に巻いたばねです。機械式時計のぜんまいばねが代表的です。

圧縮コイルバネの材質と寸法
コイルばねの材質
- 硬鋼線
- 金属ばね材質の中で最もコストが安く、身近な製品に使用されるばね材。
記号:SWC - ピアノ線
- 硬鋼線より引張強度が高く、硬さや耐疲労の面でも信頼性が高く、工業製品に使用されるばね材。
記号:SWP - ステンレス
- ピアノ線より耐食性・耐熱性が高いため、コイルばねの主流となっているばね材。
記号:SUS
圧縮コイルばねの各寸法

- 各寸法の解説
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寸法名 解説 線径 線材の直径
記号:d(mm)コイル平均径 コイル外径とコイル内径の平均径
記号:D(mm)コイル外径 コイル外側の径
記号:Do(mm)コイル内径 コイル内側の径
記号:Di(mm)自由高さ 負荷をかけてない自由な状態のばねの高さ
記号:Hf(mm)有効巻数 ばねとして作用する有効な巻数
記号:Na総巻数 ばねの端から端までの巻数
記号:Ntピッチ らせん状に巻かれている線材の中心から中心の距離
記号:P(mm)
デジタルマイクロスコープによるばねの観察・測定事例
キーエンスの4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いたばねの観察・測定の最新事例を紹介します。
深度合成によるばねの観察
深度合成機能でコイル全体にピントの合った撮影が可能です。




リング除去画像
リング除去機能で、ハレーションのない観察が可能になります。


Opt-SEM画像
Opt-SEM機能(Optical Shadow Effect Mode)で、
SEMを使用しなくても表面の微細な構造が可視化できます。

