LEDは、低消費電力・長寿命であることから、照明機器に幅広く応用されていますが、近年、有機ELディスプレイ(OLED)に替わるディスプレイデバイスとして、ミニLED・マイクロLEDに注目が集まっています。ここでは、LEDの概要とデジタルマイクロスコープでの観察事例を紹介します。

LEDのデジタルマイクロスコープでの観察

LEDの特長

LEDの主な特長として、下記が挙げられます。

長寿命

白熱電球の約1000から2000時間に対して約40000時間(光量が約70%に低下するまでの時間)。

省エネルギー

発熱電球は電気を熱エネルギーに変換するためエネルギー効率が低いですが、LEDは半導体の発光のため省エネルギーです。また、赤外線や紫外線がほとんど出ません。

高速応答

高速で点灯・点滅できるため、ディスプレイデバイスに最適です。

多彩な色表現

化合物半導体の種類を変えることで光の3原色を組み合わせ、多彩な色表現が可能です。

振動・衝撃に強い

ガラスやフィラメントを使用しないため、振動・衝撃に強い。

小型・軽量

半導体であるため小型化が可能。近年注目されているミニLEDやマイクロLEDに応用されています。

化合物半導体の種類と発光色

LEDには化合物半導体が使用されています。化合物半導体は複数の元素の組み合わせで発光色が決まります。

化合物半導体の種類 発光色 波長
インジウム窒化ガリウム(InGaN) 青・紫・緑 370-500nm
アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP) 橙・黄 500-600nm
アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs) 600-780nm

ミニLED・マイクロLEDとは

液晶ディスプレイはRGBカラーフィルターによって色を表示するのに対して、有機ELディスプレイは有機物が発光体となり色を表示します。マイクロLEDは、有機物の替わりにLEDを使用した自発光タイプのディスプレイです。

ミニLEDとマイクロLEDの定義は曖昧ですが、一般的にLEDサイズが0.1mm以上をミニLED、0.1mm以下をマイクロLEDと呼んでいます。
また、ミニLEDとマイクロLEDでは使用される用途が異なり、マイクロLEDは主にディスプレイに使用されますが、ミニLEDは液晶ディスプレイのバックライトの置き換え用途で活用されています。

マイクロLED/有機ELディスプレイ
A: LED
液晶ディスプレイ
  • A: カラーフィルター
  • B: 液晶シャッター
  • C: バックライト
ミニLEDは、液晶シャッターとバックライトの替わりに、
ミニLEDをバックライトとしてカラーフィルターを光らせる方式です。

マイクロLEDのメリット

液晶ディスプレイと比較した場合

コントラストが高い

液晶ディスプレイはバックライトの光を液晶で遮断することで黒を表現しますが、光が漏れてしまうため完全な黒を表現できません。これに対してマイクロLEDは、自発光のため完全な黒が表現できます。

視野角が広い

ほぼ180度の角度まで鮮明な画像が得られます。

高速応答・低電力

液晶の約半分の消費電力と言われています。

有機ELディスプレイと比較した場合

高輝度

明るいため、日中の屋外でも使用可能です。

長寿命

発光体が有機物でないため長寿命。また、焼き付きの問題もありません。

デジタルマイクロスコープによるLED観察事例

キーエンスの4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いたLED観察の最新事例を紹介します。

LED基板の深度合成観察
50x リング照明
LEDの表面傷観察
100x リング照明 + HDR
HDRで表面の微細な傷を可視化できます。
LEDのレンズ内の応力観察
50x 透過偏光照明
透過偏光で応力を可視化できます。