化粧品・ヘアケア・スキンケア製品は、目まぐるしく変化するトレンドやニーズに合わせながら、付加価値の高い製品を提供するために、高度かつスピーディな研究開発が求められています。
最新の4Kデジタルマイクロスコープであれば、高精細で鮮明な画像による皮膚や毛髪の観察・測定・評価を簡単かつスピーディに実施可能です。これにより、R&Dや改善のサイクルを短期化し、高付加価値な製品をタイムリーに提供することに貢献します。

皮膚や毛髪の観察・測定・評価

化粧品業界の動向とR&Dの方向性

かつては女性をメインターゲットとしてきた美容・化粧品業界。時代の変化や景気に伴うニーズの変動に対応すべく、最新のトレンドやニーズに応じた製品をいかに素早く提供するか、常にしのぎを削ってきました。
近年ではターゲットの細分化が進み、男性向け化粧品のニーズ拡大と多様化、高級路線のブランディングが伴う高品質な化粧品、また、無添加やオーガニック志向の製品など、市場動向に合った製品の研究開発が速いサイクルで進められてきました。

急加速したトレンドの拡散スピード

近年では、マーケティングの分野で大きな変化がありました。美容に関するトレンドのサイクルを急加速させたのが、最新の情報を動画や画像、文字情報ですぐにシェアできるSNSの存在です。
一定数のサブスクライバー(チャンネル登録者)を持つ一般ユーザーによるレビューやHow to動画、大勢のフォロワーを持つインフルエンサーやブランドアンバサダーによる画像や情報のシェアを利用したマーケティングの影響力は大きく、新しいトレンドやブランド、製品が、これまでにないスピードで世界中に拡散するようになりました。これにより、新参または小規模のメーカーやブランド、製品が、突如大手企業の競合に躍り出るケースもみられるようになりました。

安全性と透明性の要求

有毒物質や有害な成分を含まない製品へのニーズが増大するなか、クリーンさや製品製造・成分などの透明性を求める動きが高まりました。たとえば、米国では、米食品医薬品局(FDA)による化粧品・パーソナルケア製品の規制・監督を強化する連邦法案「Personal Care Product Safety Act」が浮上しました。それと同時に、業界各企業は、法案可決の是非が明確になる前から世論に沿うよう、製品の安全性や成分・製造方法などの透明性のみならず、パッケージのリサイクル性にまで、これまで以上に深く配慮するようになりました。

激化する競争に求められること

近年のマーケティング戦略とトレンド変化のスピードによる競争の激化、品質・安全性・自然環境保護など異なる複数の高い市場要求に応えるべく、企業規模を問わず、開発研究に対してこれまでにない注力と正確性、スピードの追求が求められています。
また、ECサイトでは、製品の購入者によるレビューで製品の品質や使用感への率直な意見が共有されるため、万一ネガティブな感想が流布した場合、いかに迅速に改善ができるかが明暗を分けます。

観察・測定・評価の最新事情

昨今の化粧品・パーソナルケア(スキンケア・ヘアケアなど)用品業界の競争は、新時代を迎えています。研究開発をはじめ売り場においてもライバルと差がつく要因の1つが、観察や評価の正確さとスピードです。最重要ツールの1つである顕微鏡も、近年は最先端のテクノロジーによって時代のニーズを満たすものが導入される傾向があります。
キーエンスの高精細4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」は、専用設計の高解像度HRレンズ、4K CMOS、照明を採用し、従来の顕微鏡では実現しなかった皮膚や毛髪の鮮明かつスピーディな観察・評価を実現します。

肌のキメ(皮膚の凹凸)観察

肌のキメは、皮膚表面の凹凸の浅さや細かさによって評価します。しかし、凹凸が浅いほどコントラストが低くなり、観察・評価が困難となります。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」での肌のキメ(皮膚の凹凸)観察
上:従来 下:マルチライティング画像
上:従来 下:マルチライティング画像
肌のキメ(皮膚のレプリカ)のマルチライティング画像
肌のキメ(皮膚のレプリカ)のマルチライティング画像

従来の顕微鏡では照明や角度によって見え方が異なり、また、ファンデーションや乳液、化粧水などの塗布後の皮膚観察は、特にコントラストが低下、または反射によるハレーションが生じやすいため、浅い溝やシワの観察が難しく、見逃しが発生するケースもあります。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」であれば、ボタンを押すだけの簡単操作で、マルチライティング機能による全方位の照明データを自動で取得します。
その中から肌のキメ観察に最適な画像を選択することで、これまで照明の設定にかかっていた時間を大幅に短縮することができます。また、画像の選定・記録後でも、簡単なマウス操作で照明条件の異なる画像をすぐに呼び出すことができます。

肌のキメ(皮膚の凹凸)の手持ち観察

一般的な顕微鏡では実際の皮膚を直接拡大・観察することができません。研究開発における化粧品塗布前後の肌のキメ(皮膚の凹凸形状)観察・評価において、手持ちのマイクロスコープによる肌の観察が主流となりました。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」による皮膚の手持ち観察
上:従来 下:マルチライティング画像
肌のキメ(皮膚のレプリカ)のマルチライティング画像

4Kデジタルマイクロスコープであれば、手持ち観察であっても、皮膚表面の皮丘・皮溝を高精細に表現可能

従来の顕微鏡の場合、サンプル試料(皮膚のレプリカ)などをステージにセットする必要がありました。また、従来の手持ちマイクロスコープでの撮影では、皮膚表面の浅く細かな凹凸を鮮明に見ることができませんでした。

最新の4Kデジタルマイクロスコープであれば、深い被写界深度を実現した手持ち観察対応レンズにより、皮膚表面の微小な凹凸まで手軽かつ高精細に観察できます。それにより、より速く確実な肌のキメ評価が可能となりました。

肌のキメ(皮膚の凹凸)の3次元形状測定・評価

一般に、「キメが細かく綺麗な肌」は、皮膚表面の皮丘が細かく皮溝が浅い状態といわれています。3次元形状や凹凸の深さ高さを測定し、数値化することで正しく評価することができます。

皮膚表面の3次元形状と3Dプロファイル
皮膚表面の3次元形状と3Dプロファイル

従来の顕微鏡では、拡大した皮膚の凹凸を視覚的に観察・評価していました。高さ・深さの数値など正確なデータが得られないことにより、観察する人によって肌のキメの評価にバラツキが生じ、評価の定量化ができませんでした。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」であれば、撮影と同時に対象物の3Dデータを取得し、表面の凹凸状態を測定することが可能です。また、3Dプロファイル測定で断面の凹凸形状と高さの数値が得られるため、従来の課題であったキメ評価のバラツキを定量化することができます。
3Dデータや測定値を活用することで、抗シワ試験などにおいても数値を用いた定量評価が可能なため、製品の研究開発や改善における正確性とスピードを改善できるほか、傾向分析にも役立てることができます。

エマルション(乳化や分散状態)の観察

メイクアップ化粧品やスキンケア化粧品の基材として多用されるエマルション(エマルジョン)は、エネルギー状態が高いため、安定化を図るにはさまざまな工夫が必要です。調合方法や組成のわずかな違いで状態や安定性が大きく変化します。そのためエマルションのO/W乳化・W/O乳化などにおける粒子の分散状態を正確に観察することは、R&D推進においてきわめて重要です。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」でのエマルション観察
エマルションの観察(×1000)
エマルションの観察(×1000)
異なる照明条件でのエマルションの観察
異なる照明条件でのエマルションの観察

従来の顕微鏡ではプレパラートの試料へのピント合わせや照明の条件出しが難しく、エマルションの観察に時間がかかりました。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」であれば、フォーカスビューカメラがステージに対し平行方向からレンズと対象物を捉え、直感的なGUIによりクリックするだけ。ピント合わせや照明の設定を簡単かつスピーディに行い、乳化や分散状態を鮮明かつ高精細に観察できると同時に、観察時間を大幅に短縮することができます。

エマルションの粒度分布(定量評価)

エマルション(エマルジョン)の安定化を図ることに加えて重要となるのが、使用感触(粒度分布)を物理的に定量化・評価することです。レオロジー的アプローチにおいては、感触をさまざまなパラメータによる評価指数で導き出し、評価する試みもあります。
最新の4Kデジタルマイクロスコープであれば、高精細画像と画像処理技術により、従来の顕微鏡では不可能だった、実際の試料の粒度分布状態の自動解析・定量評価が可能となりました。

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」でのエマルションの定量評価(画像解析)
撮影画像
撮影画像
画像解析(粒度分布測定)
画像解析(粒度分布測定)

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」であれば、自動面積計算機能を用いることで高度な画像解析が自動で完了します。
ボタンを押すだけの簡単な操作で、指定した範囲における対象物の面積計測・カウント・ヒストグラム化までを実行します。また、不要な対象物の除外や、重なり合う対象物どうしを分離して解析することも可能です。デジタルマイクロスコープの操作に不慣れな方でも、高精度な解析結果を簡単かつ素早く得ることができます。

毛髪のキューティクル観察・評価

髪質やヘアケア製品の効果の評価項目として、キューティクルの剥がれを評価するという手法があります。従来は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して評価することが主流でしたが、絶縁体試料である毛髪は帯電しやすく、チャージアップにより見づらくなるという課題がありました。

Opt-SEMによるキューティクルの観察
Opt-SEMによるキューティクルの観察
4K高精細画像によるキューティクルの観察
正常毛(×1000)
正常毛(×1000)
ダメージを受けた毛髪(×1000)
ダメージを受けた毛髪(×1000)

4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」であれば、Opt-SEM(Optical Shadow Effect Mode)を活用することで、多方向からの照明で撮影した画像からコントラストを解析し、キューティクルのような微小な凹凸を検出することができます。また、Opt-SEM画像にカラー情報を重ね合わせて、凹凸情報とカラー情報を同時に表現できます。さらに、凹凸情報をわかりやすく色分け表示することができます。
これにより、SEMや顕微鏡などを使用しなくとも、手軽かつ簡単にキューティクルを観察・評価することができます。

R&Dを加速する最新ツール

このように、高精細4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いることで、従来の顕微鏡ではうまく観察できなかった箇所も、簡単に見ることができます。
これまで化粧品の研究開発にかかっていた時間を大幅に短縮でき、品質改善サイクルやR&Dの正確さとスピードを同時にアップすることができます。

「VHXシリーズ」は、他にも観察・評価に役立つ機能を搭載し、業界の目まぐるしいトレンド変化と厳しい競争に打ち勝つ強力なパートナーとなります。商品の詳細に関しては下記のボタンよりカタログをダウンロード、またはお気軽にご相談・お問い合わせください。