エアゾールはスプレー缶とも呼ばれ、容器の中に噴射剤と内容物を充填し、ガスの圧力で内容物を霧状や泡状に噴き出す製品のことを表します。化粧品のヘアスプレーやヘアムース、殺虫剤や消臭剤など、日用的に幅広い製品に応用されています。ここでは、エアゾールのデジタルマイクロスコープでの観察事例を紹介します。

エアゾールのデジタルマイクロスコープでの観察・測定

エアゾール製品のメリットとデメリット

ガスの圧力を利用するエアゾール製品には以下のようなメリットとデメリットがあります。

エアゾール製品のメリット
  • ボタンを押すだけのため簡単
  • 携帯に便利
  • 酸化しないため長期保存が可能
  • 汚れないため安全で衛生的
  • 必要な量だけ使用できる
  • ポンプタイプと比べ細かい霧や泡がつくれる
エアゾール製品のデメリット
  • 高温の場所に置くと破裂する恐れがある
  • 低温ではガス圧が不足し、噴出しにくくなる
  • 廃棄処理の際に分別が必要
  • ガスが先に無くなった場合、内容物が残ることがある

エアゾールの構造

噴射剤には液化天然ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、窒素(N2)、炭酸ガス(CO2)などが使用され、ガスの圧力で液体を噴射します。

  1. A:キャップ
  2. B:ボタン
  3. C:バルブ
  4. D:噴射剤蒸気(ガス層)
  5. E:噴射剤と内容物(液相)
  6. F:耐圧容器
  7. G:ディップチューブ

使用前に振って使用する製品と振らずに使用する製品の違い

エアゾール製品には、使用前に振ってから使用するものと、振らずに使用するものがあり、内容物や噴射剤の種類によって異なります。

振って使用する製品:
  • 噴射剤に液化天然ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)を使用している製品。
  • 噴射剤が内容物に溶解しないで3相に分離している製品。
  • 内容物が乳化系の製品。
  • 粉末が配合された製品。
振らずに使用する製品:
  • 噴射剤に窒素ガス(N2)や炭酸ガス(CO2)などの圧縮ガスを使用している製品。

倒立して使用できない製品と正倒立で使用できる製品の違い

エアゾール製品には、構造の違いにより、倒立して使用できないもの、倒立して使用するもの、正倒立して使用できるものがあります。

倒立して使用できない製品:
  • ディップチューブを通して内容物を噴射する製品。
    頭部が下になると、ディップチューブの先端が噴射剤のガス層になり使用できません。
倒立して使用する製品:
  • ディップチューブが無い製品。
    頭部を上にしますと噴射剤のガス層になり使用できません。
正倒立で使用できる製品:
  • ディップチューブに重りがある製品。
    常にディップチューブ先端が液相に浸かった状態になります。
  • ディップチューブだけでなく、バルブ部分の横穴(べーパータップ)からも内容物が排出される機構のある製品。

デジタルマイクロスコープによるエアゾールの観察・測定事例

キーエンスの4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いたエアゾール観察の最新事例を紹介します。

スプレーノズルの傾斜観察
VH-Z20 200x リング照明
VH-Z20 200x リング照明 + バックライト
バックライトを併用することで、ノズルの内壁が観察可能になりました。
スプレーノズルの破断面観察
ZS-20 50x 同軸落射照明 通常画像
ZS-20 50x 同軸落射照明+HDR+可変照明アタッチメント画像
HDR機能を使用することで、ハレーションを除去した観察が可能です。
また、可変照明アタッチメントで破断面の凹凸を強調できます。
エアゾール缶の腐食状態観察
ZS-200 300x 同軸落射照明
2D画像
ZS-200 300x 同軸落射照明
3D画像
深度合成機能を使用することで、腐食の内部まで確認できます。
エアゾールの塗装面のうねり観察
ZS-200 300x 同軸落射照明