センサのNPN/PNPについて

光電センサをはじめ近接センサやファイバセンサなど、さまざまなセンサのモデルや出力の仕様に「NPN」や「PNP」の表記があります。ここでは、これらの意味や違い、接続や取り扱い方法などについて解説します。

NPN型トランジスタとPNP型トランジスタの違い

光電センサや近接センサなどのセンサは、検出時に電気の流れをオン/オフする半導体素子であるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)がスイッチとして機能します。そのため、光電スイッチや近接スイッチと呼ばれることもあります。
トランジスタは、シリコンなどの半導体に不純物として微量のホウ素を加えた「P型半導体」と、不純物として微量のリンを加えた「N型半導体」を組み合わせて作られています。P型・N型半導体を繋ぐ配列によって「NPN型トランジスタ」と「PNP型トランジスタ」があり、3つの電極の配置やスイッチングする箇所が異なり、動作も異なります。

NPN型トランジスタの動作

NPN型トランジスタの動作
C
コレクタ
B
ベース
E
エミッタ

ベースからエミッタに電流(ベース電流)を通すと、コレクタからエミッタの間に電流(コレクタ電流)が流れます。一方、ベースとエミッタの間にベース電流が流れないとき、コレクタとエミッタの間にも電流は流れません。この状態を「オープン」と呼びます。ベースの電流を制御することでコレクタ電流をオン/オフすることができます。

PNP型トランジスタの動作

PNP型トランジスタの動作
E
エミッタ
B
ベース
C
コレクタ

PNP型トランジスタでは、NPN型トランジスタに対して電流が反対方向に流れます。エミッタからベースに電流(ベース電流)が流れるとき、エミッタからコレクタの間に電流(コレクタ電流)が流れます。
PNP型では、エミッタとベースの間のベース電流を制御することで、コレクタ電流をオン/オフすることができます。

NPN出力/PNP出力の違いと接続

一般に、仕様としてオープンコレクタ出力という記載がありますが、これはトランジスタのコレクタを用いた出力を意味します。前述のNPN型/PNP型トランジスタの各動作において、トランジスタのベース電流を制御してスイッチとして使用する出力です。センサなどの機器のスペック表にある「NPNオープンコレクタ出力」や「PNPオープンコレクタ出力」の記載はこれを意味しています。それぞれについて接続例とともに説明します。

NPNオープンコレクタ出力と接続例

日本やアメリカなどではNPN型トランジスタが主流であったため、それらの国で流通してきたPLC(シーケンサ)やCNC機器などと接続しやすい仕様となっている場合が多いです。NPN型トランジスタを用いた回路は、負荷電流が流れ込む(シンク)側となるので、通常、GNDの電位よりも高い電源とコレクタの間に負荷を接続します。

NPNオープンコレクタ出力と接続例
主回路
負荷

NPNオープンコレクタ出力の場合、エミッタが電源の0V側と接続されており、電源の+側と出力の間に負荷を接続することによって動作させることができます。トランジスタがオンになると、出力端子の電圧は0Vになります。

PNPオープンコレクタ出力と接続例

PNP型トランジスタは、ヨーロッパなどを中心に多用されています。PNP型トランジスタを用いた回路は、負荷電流が流れだす(ソース)側となるので、回路のGND(0V)とコレクタの間に負荷を接続します。

PNPオープンコレクタ出力と接続例
主回路
負荷

PNPオープンコレクタ出力の場合、エミッタが電源の+側と接続されており、0Vと出力の間に負荷を接続することによって動作させることができます。トランジスタがオンになると、出力端子の電圧は電源の+側と同じになります。

NPN/PNPの選択・変換・混在入力について

最後にNPN出力/PNP出力を持つセンサをどのように選ぶのか、また、変換や混在入力する方法などについて説明します。

NPN/PNPを選ぶ・変換する

一般に、光電センサや近接センサ、ファイバセンサ、レーザセンサなどさまざまなセンサや機器には、NPN出力/PNP出力のモデルがそれぞれラインナップされているため、使用する現場の環境に合わせて選択することができます。また、NPN出力をPNP出力に変換するアダプタなども用意されているほか、NPN出力/PNP出力の自動切り換え機能を搭載しているセンサや機器もあります。さらに、NPN出力/PNP出力の両変換に対応する機能を持った端子台など、さまざまな製品が入手可能であるため、配線・接続の過程でそれらを活用することもできます。

NPN・PNPを混在入力する

コモン端子(COM端子)が内部短絡されていない入力モジュールを持つPLC(シーケンサ)であれば、PNP出力機器とNPN出力機器の混在入力が可能です。ただし、コモン端子が短絡されている場合、そのままでは混在入力できません。PNPとNPNで入力モジュールを分けることによって、混在入力が可能になります。

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