用語 意味
A
AOI AOIとは、Automated Optical Inspectionの略で、自動光学検査を意味し、その装置を指す場合もあります。対象物をカメラでスキャンし、部品の有無や形状欠陥を自動検知します。主にプリント基板や液晶ディスプレイのパターンなどの自動外観検査に用いられる専用検査装置を指すため、基板外観検査装置と呼ばれる場合もあります。
AQL AQLとは、Acceptable Quality Levelの略で、JIS Z 9015で定められた合格品質水準を指します。抜き取り検査の規格としては、「JIS Z 9015-1 ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式」、「JIS Z 9015-2 孤立ロットの検査に対するAQL指標型抜取検査方式」、「JIS Z 9015-3 スキップロット抜取検査手順」3項目が挙げられます。なかでも、JIS Z 9015-1はISO 2859-1を基本としているため、海外展開時の抜き取り検査の検収基準としても活用されています。
AVI AVIとは、Automatic Visual Inspectionの略で、自動外観検査を意味し、その専用装置を指す場合もあります。電子回路基板全体の外観検査などに用いられるため、最終外観検査装置(Automatic final Visual Inspection equipment:AVI)を指すこともあります。
AXI AXIとは、Automated X-ray inspectionの略で自動X線検査を意味し、その専用装置を指す場合もあります。2次元透過や3D-CTなどの方式があり、SMT工程や半導体製造プロセスの検査などに用いられます。
B
BGA BGAとは、Ball Grid Arrayの略で、表面実装タイプの半導体パッケージ方法の1種です。パッケージ樹脂の平面に、はんだボールを格子(グリッド)状に並べて外部接続端子とします。パッケージの周囲にピンが飛び出すタイプと異なり、小さな面積に多数の端子を設けることができるため、多数の端子を要するLSIの省スペース化に用いられます。
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BGAのバンプ高さ測定
C
CCD CCDとは、Charge Coupled Deviceの略で、電荷結合素子を指します。光の明暗を電流の強弱に変換するセンサの半導体素子で、これを大量に並べ、光を電気に変換するフォトトランジスターと組み合わせて、小型デジタルビデオカメラ・スチールカメラなどに用いられます。センサ1つがCCDの画素1つ分に相当し、CCDの性能はデジタルカメラでは「画素数」、スキャナでは「解像度」として表されます。
CMOS CMOS(シーモス)とは、Complementary Metal-Oxide Semiconductorの略で、相補型金属酸化膜半導体、または、多くの場合CCDを利用した撮像素子を指します。CCDと同様に光を電気信号に変換しますが、CMOSの特徴として、通常状態ではほとんど電流が流れないため、高い省電力性を得ることができます。また、CCDが順々に電気信号を送る転送回路を必要とする一方、CMOSはセンサごとに信号読み出しのチップがセットされていることで、高速性と機能性、低コスト性を兼ね備えています。
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CMOSカバーガラスの高さ・傾き検査
D
DPM DPMとは、ダイレクトパーツマーキング(Direct Part Marking)の略で、個々の部品やアセンブリに対し、トレーサビリティ対応を目的に、英数字コードやバーコード、DataMatrixなどの2次元コードを直接マーキングする技術です。自動車や航空機の金属部品をはじめ、さまざまな材質に直接マーキング可能なレーザマーカが多く用いられています。
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F
FPC FPCとは、Flexible printed circuitsの略で、フレキシブル回路基板やフレキシブル配線板とも呼ばれ、薄くてやわらかく、折り曲げることのできる回路基板や配線板を指します。絶縁性のあるポリイミドなどを用いた薄くやわらかいベースフィルムと導電性金属を貼り合わせた基材に電気回路を形成したものです。電子機器内部の小さな隙間や立体的な配置に対応できるほか、HDDのアームやノートパソコンのディスプレイのヒンジなど繰り返し屈曲する可動部分に活用されています。
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電子部品表面の保護フィルムめくれ・外観検査
N
NDE NDEとは、非破壊評価(Nondestructive Evaluation)の略記号を指します。非破壊試験で得られた指示を、試験体の性質または使用性能の面から総合的に解析・評価することを指します。
NDI NDIとは、非破壊検査(Nondestructive Inspection)の略記号を指します。非破壊試験の結果から、規格などによる基準に従って合否を判定する方法を指します。
NDT NDTとは、非破壊試験(Nondestructive Testing)の略記号。素材や製品を破壊せずに、傷の有無・その存在位置・大きさ・形状・分布状態などを調べる試験を指します。主な試験の種類としては、放射線透過試験、超音波探傷試験、磁粉探傷試験、浸透探傷試験、渦流(過電流)探傷試験などがあり、材質試験などに応用されています。
O
OCR OCRとは、Optical Character Recognition/Readerの略で、光学式文字認識や光学式文字読み取り装置を意味します。対象物に光を当ててスキャン、または撮像した画像データから文字だけを抽出し、テキストデータとして認識します。手書き文字を認識する技術も研究されていますが、工業用途では正確に認識できるよう、読み取り装置に内蔵した辞書などあらかじめ記憶させた書体のデータを用いて英数字を判別することが一般的です。
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ICパッケージ樹脂表面の凹み・ヒケ・印字検査
S
SMT SMTとは、Surface Mount Technologyの略で、表面実装を意味します。基板へのクリームはんだ印刷やチップボンド塗布、チップ部品の実装、リフロー炉を使ったクリームはんだの溶融・固化やボンドの硬化・固定といった一連の表面実装工程をSMT工程と呼びます。
SPI SPIとは、Solder Paste Inspectionの略で、はんだペースト印刷後の検査、または、専用検査装置である「はんだ印刷検査装置」を指します。
アスペクト比 アスペクト比とは、長方形では2つの辺の長さの比を指し、円筒形の物体では直径と高さの比を指します。3次元の物体においては、断面形状からアスペクト比を導くことができます。ビード状(または線状)の塗布では、線幅に対して厚み(高さ)が大きい場合、高アスペクト比と呼びます。
安全弁 安全弁(ガス排出弁)とは、主に角型リチウムイオン電池のケース天面に設けられている弁で、「ベント(vent)」とも呼ばれます。リチウムイオン電池は、内部短絡や過充電によって異常な発熱や電解液の蒸発反応を起こし、内部でガスが発生する場合があります。安全弁は電池ケースにガスによる高い内圧がかかった際、弁作動により過剰な圧力を逃がして電池の破裂を避け、安全性を保ちます。
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リチウムイオン電池の安全弁検査
コプラナリティ コプラナリティ (Coplanarity)とは、平坦度・共平面性・最下面均一性を意味します。業界または企業によって多少定義が異なる場合がありますが、一般的には、電極や端子の実装面の最下面の均一性を意味します。大きくは「ボディ部分のハウジングやパッケージの反り」「端子自体のバラツキ」「基板面に対する傾き」といった要素で構成されます。基板面に接している部分を0mmとし、最も基板面から離れている端子実装面の最下面までの距離を測定することで、より実装時に近い状態でコプラナリティを求めることができます。
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コネクタ端子の位置・突出量測定
コロナボンド コロナボンドとは、重ね抵抗溶接(スポット溶接・プロジェクション溶接・シーム溶接など)において、ナゲット(溶融凝固した溶接部分)の周辺に生じる固相溶接されたリング状の部分を指します。
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各種溶接痕の検査
三角測距方式 三角測距方式とは、対象物にレーザ光を照射し、対象物上で反射した光を受光レンズで集光、受光素子上で結像する測定方式です。変位計から対象物までの距離が変化すると、集光される反射光の角度が変わり、それに伴って受光素子上に結像する位置が変化します。このとき、対象物の移動量と比例する結像位置の変化量を読み取ることで測定します。
シール材 シーリング材、シーラントとも呼ばれ、シール剤またはシーリング剤と書かれる場合もあります。防水性・気密性の付与を目的に、継ぎ目や隙間に充填する合成樹脂や合成ゴムなどを原料としたペースト状(のり状)の材料を指します。一般的に、シール材の塗布工程では、被塗物表面への密着性を高める「シーラー」や、基材用・部品用それぞれの材質に対して接着性を高める「プライマー」といった下地材が併用されます。そのため、自動車製造や建築塗装の分野では、シーラーまたは、プライマーがシール材を含む言葉として使用される場合があります。
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フロントガラス組み付け時のシール材の幅・高さ測定
紫外線探照灯検査(ブラックライト検査) 紫外線探照灯検査(ブラックライト検査)とは、365nmを中心とした長波長紫外線(UV-A)を照射する紫外線探傷灯(ブラックライト)を用いた検査のことです。蛍光物質を含む指示模様を発光させることで傷などを検査する、蛍光浸透探傷検査・蛍光磁粉探傷検査などがあります。
スパッタ スパッタとは、溶接中に飛散するスラグや金属粒のことで、溶接品質の低下や母材の外観不良・強度低下などを招きます。「はね」とも呼ばれます。
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リチウムイオン電池ケースのレーザ溶接検査
各種溶接痕の検査
散り 散りとは、重ね抵抗溶接(スポット溶接など)において、ナゲットやその周辺の母材が局部的に過熱されて溶融飛散する現象、またはその金属を指します。電極チップやそれに接する母材表面に生じるものを「表面散り」、母材間に生じるものを「中散り」、ナゲット内の金属が母材表側に飛び出したものを「表散り」と呼びます。
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各種溶接痕の検査
テーラードブランク テーラードブランク(TB:Tailored Blanks)とは、鋼板どうし、または異種鋼板をつなぎ合わせたプレス材料です。複数の鋼板を目的に合わせて溶接し、仕立てるプレス材料のため、テーラードブランクと呼ばれています。また、同様の工法をテーラードブランクと呼ぶ場合もあります。主に自動車のボディ製造で活用されており、異種鋼板をつなぎ合わせた場合、1枚の鋼板の中で部分的に特性を変えられるとこが利点として挙げられます。テーラードブランクにおける溶接工程では、レーザ溶接、マッシュシーム溶接、プラズマ溶接などが用いられます。
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ナゲット ナゲットとは、重ね抵抗溶接(スポット溶接など)において電極で加圧された部分、つまり、母材の表と裏のくぼみの間に形成された溶融金属(溶融凝固した)部分を指します。一般にナゲット周辺は、板の合わせ部の分離や散り(表散り・表面散り・中散り)・コロナボンドなどの現象が生じます。溶接強度はナゲットの大きさで決まり、その適正値は、母材の板厚がTのとき、0.8×(Tの2乗根)で表されます。
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各種溶接痕の検査
はんだフィレット(フィレット) はんだフィレットとは、基板に盛られたはんだの形状を指します。加熱不足やはんだの量が多い場合、水滴のような形状(いもはんだ)となり、不良の原因となります。良好なはんだフィレットを得るには、クリームはんだの塗布品質を向上させるほか、プリント基板自体のランド形状の設計・印刷品質も重要となります。
従来のはんだの外観検査は、2次元画像で溶融はんだのボトム面積やランドからのはみ出し形状を確認することが主流でした。しかし、フィレットの形状や3次元寸法を正確に検査するには、高さや傾きを一括で確認できる3次元検査が有効です。
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車載用センサ基板のはんだフィレット形状検査
ビード 溶接した箇所や接着剤・シール材などの塗布時にできる、チューブから出した歯磨き粉のような「ひも状」の形態を指します。
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分解能 光学系における分解能とは、結像性能(2点間の最小距離または視角)を表します。一般的に、画素分解能を指し、対象物の微細部を撮像できる限界を指します。多くの場合、装置が実際に持つ分解能より数倍以上大きい値が、安定して撮像可能なスペックとして定義されます。
平面度(平坦度) 平面度とは、JISで「平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ」と定義されています。対象となる面を上下から仮想の平面で挟んだとき、仮想の平面どうしの間隔が0.1mmの場合、平面度は0.1mmとなります。この平面度を指標として、反りやうねり、平坦度として表現される場合があります。
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コネクタ端子の位置・突出量測定
マルチカラー共焦点方式 マルチカラー共焦点方式は、投光と受光を同軸上に配置することで、対象物にピントが合った光のみがピンホール上で1点に集光される設計です。波長ごとに集光位置が異なる光を対象物に照射し、受光スペクトルから最大光量の波長位置を検出することで、対象物の高さを材質・色・傾きの影響を受けずに正確に測定します。 また、光源には複数色を同時発光する蛍光体を採用し、広い波長帯域で安定した高輝度発光をすることで、広い測定レンジのどの位置でも光量を確保し、高精度測定を実現します。
メカニカル共焦点方式 メカニカル共焦点方式では、レーザ光を音叉で高速に上下駆動する対物レンズに通し、対象物上で焦点を結びます。反射光は変位計内部のピンホール1点に集光され、受光素子に入光します。入光した瞬間の対物レンズの位置をセンサで測定することで、対象物までの距離を材質・色・傾きの影響を受けず正確に測定することができます。
他に、複数色を同時発光する蛍光体を用い、広い測定レンジと高い精度を実現するマルチカラー共焦点方式があります。