CHAPTER 5

正面フライス加工の計算式

ここでは、正面フライス加工の際に必要とされる基本的なパラメータを算出する公式を紹介しています。なお、計算によって算出された数値は、あくまでも目安です。加工の条件は、ご使用される工作機械によって異なります。実際の状況に合わせた最適な条件で加工してください。

切削速度（vc）

memo: 主軸回転速度とカッタの外径から、切削速度を求める式です。
たとえば、
カッタ径（DC）＝100mm
主軸回転速度（n）＝400min^-1
の場合、切削速度（vc）は約125.6m/minになります。

memo: 1分間当たりのテーブル送り速度と刃数、主軸回転速度から、1刃当たりの送りを求める式です。
たとえば、
1分間当たりのテーブル送り速度（vf）＝450mm/min
刃数（z）＝10
主軸回転速度（n）＝600min^-1
の場合、1刃当たりの送り（f）は0.075mｍ/t.になります。

memo: 1刃当たりの送り量と刃数、主軸回転速度から、1分間当たりのテーブル送り速度を求める式です。
たとえば、
1刃当たりの送り量（fz）＝0.2mm/tooth.
刃数（z）＝8
主軸回転速度（n）＝600min^-1
の場合、テーブル送り（Vf）は960mm/minになります。

memo: テーブル総送りの長さと1分間当たりのテーブル送り速度から加工時間を求める式です。
たとえば、
鋳鉄（FC200）のブロックを
幅＝150m
長さ＝250mm
の平面に仕上げる場合、
1刃当たりの送り（fz）＝0.35mm
刃数（z）＝12
主軸回転速度（n）＝200min^-1
切削速度（vc）＝120m/min
正面フライス直径（D1）＝ø220mm
であるとすると、1分間当たりのテーブル送り速度（vf）およびテーブル総送りの長さ（L）は、
vf＝0.35×12×200＝840mm/min
L＝350+220＝570mm
これを公式に代入すると
Tc=L÷vf
=570÷1120
＝0.679（min）×60
＝40.74（sec）
加工時間（Tc）は約40.74秒になります。

memo: 切り込み、切削幅、1分間当たりのテーブル送り量、比切削抵抗と機械効率係数から、フライス加工に必要な所要動力を求める式です。たとえば、工具鋼を
切り込み（ap）＝5mm
切削幅（ae）＝70mm
1分間当たりのテーブル送り量（vf）＝300mm/min
で切削する場合に必要な動力を求めます。なお、
比切削抵抗（Kc）＝1800MPa
機械効率係数（η）＝80％（0.8）
切削速度（vc）＝80m/min
カッタ径（DC）＝Φ250mm
刃数（z）＝16
とします。この場合、まず主軸回転速度（n）を算出し、フライスの1刃当たりの送り量（fz）を求めます。
主軸回転速度（n）＝1000・vc÷π・D
＝（1000×80）÷（3.14×250）
＝101.91min^-1
1刃当たりの送り量（fz）＝vf÷（Z×n）
＝300÷（16×101.91）
＝0.184mm/tooth
上記を公式に当てはめると
Pc＝（5×70×300×1800）÷（60×10⁶×0.8）
＝3.937kw
となり、フライス加工に必要な所要動力（Pc）は約3.94kwになります。