表面粗さ測定の種類と規格

測定方式の種類

表面粗さの測定方式には、大別して「接触式」測定法と「非接触式」測定法があります。
さらに、非接触式には異なる原理の測定機があり、それぞれには長所、短所があります。

接触式

触針(Stylus)による走査法
長所 短所
  • 明瞭な形状波形が得られる
  • 長い距離の測定が可能
  • 測定力により試料の表面に傷を残す
  • 粘着性のある試料は測定できない
  • 触針の先端Rより小さい溝は測定できない

非接触式

光干渉法
長所 短所
  • 広視野(数角)を、サブナノメートルの高さ分解能(0.1nm)で測定可能
  • 測定時間が早い
  • 角度特性が低い
  • 測定出来る対象物が限られる
  • 傾き補正が必要
  • XY計測の分解能が低い
  • 振動に弱い
焦点移動による画像合成法
長所 短所
  • 角度特性に優れている
  • 測定時間が早い
  • 試料表面に凹凸(テクスチャ)がないと測定できない
  • 反射の強い部分と弱い部分が混在するサンプルは苦手
コンフォーカル法
長所 短所
  • サブナノメートルの高さ分解能(0.1nm)で測定可能
  • 角度特性に優れている
  • 高コントラスト画像での拡大観察
  • 測定範囲がレンズ視野に限定される
  • 測定時間が遅い
  • 低倍率レンズの測定精度が低い

規格の違い

多くの測定機ユーザーは、測定、解析以外の業務を主とした職務に就かれており、各測定方法の特長や評価方法を理解して、目的に応じて使い分けるのは難しいのが実情です。
ここでは、表面粗さを評価、解析するための規格にも接触(触針)式での評価を前提とした「JIS B 0601(ISO4287)」と様々な非接触測定法に対応した「ISO 25178」の違いをまとめました。

評価対象とフィルタ
規格 ISO 25178 JIS B 0601-2001
(ISO 13565-1)
断面 評価対象 S-F平面 断面曲線
フィルタ S-フィルタ λsフィルタ
粗さ 評価対象 S-L平面 粗さ曲線
フィルタ S-フィルタ
L-フィルタ
λs、λcフィルタ
粗さパラメータ
規格 ISO 25178 JIS B 0601-2001
(ISO 13565-1)
高さパラメータ 最大山高さ Sp Rp
最大谷高さ Sv Rv
最大高さ Sz Rz
算術平均高さ Sa Ra
二乗平均平方根高さ Sq Rq
スキューネス(偏り度) Ssk Rsk
クルトシス(尖り度) Sku Rku
空間パラメータ Sal、Str、Std -
複合パラメータ Sdq、Sdr RΔq
規格 ISO 25178 JIS B 0671-2002
(ISO 13565-1998)
機能パラメータ コア部のレベル差 Sk Rk
突出山部高さ Spk Rpk
突出谷部高さ Svk Rvk
山部とコア部の負荷面積(長さ)率 Smr1 Mr1
谷部とコア部の負荷面積(長さ)率 Smr2 Mr2

表面性状パラメータ(ISO 25178-2:2012)の定義をもとに記載しています。
2012年4月以降の規格改訂により内容が変更される可能性がありますのでご了承ください。

粗さ入門.com トップへ戻る