摩耗・摩擦試験タイプ

試験片と相手材を摩擦し、その際の摩擦係数や摩耗量を測定する試験です。
ここでは、コーティングやベアリング・プラスチックなどの耐摩性能や潤滑油の性能を評価する試験について説明します。

摩擦係数の測定方式には、計測器で摩擦力を測定する方法や駆動モータの負荷電力を測定し変換して求める方法、摩擦による振動減衰挙動から求める方法。さらに、斜面上においた物質が滑り始める角度を基に最大静止摩擦力を求める方法などがあります。
一般に、材料の物理的特性や機械的特性は、測定する試験機が異なってもほぼ同じ特性値を示すか、換算式を用いることで他の試験機で得られた値との関係を明確にすることができます。しかし、摩擦・摩耗試験は例外で、同じ材料でも試験片の形状や試験方式・雰囲気条件が変わると全く異なった特性値が得られることが多いといわれています。
したがって、摩擦・摩耗試験では対象とする実際の現象がどのような条件にあるのかを把握し、それに近い条件で試験を行うことが必要です。

試験の種類

ピンオンディスク方式

試験台に固定した平板(ディスク)試料の表面でピンを回転摺動し、試料とピンの動摩擦係数を測定する試験機です。

ボールオンディスク方式

点接触から摩擦を開始するため、ピンオンディスク方式に比べて、当たりを出しやすいという長所があります。一方、ボールが摩耗すると接触面積が増加し、試験中に面圧が変化するという短所もあります。

ピンオンディスク方式イメージ
ピンオンディスク方式
ボールオンディスク方式イメージ
ボールオンディスク方式

スラストシリンダー式

円筒の端の面を平板試験片に押し付けて回転させて、そのときに発生する摩擦を測定します。摩擦が進行しても接触面積が変化しません。このため、焼付き荷重の評価などに適用される試験方法です。日本では「鈴木式」とも呼ばれ、プラスチック系材料の摩擦試験にも使われています。

ブロックオンリング式

ブロック状の試験片を、潤滑油に浸した回転する円筒側面に押し付けて、そのときに発生する摩擦を測定します。摩擦開始直後は線での接触ですが、試験片の摩耗に伴い面接触になります。このため、摩耗進行に伴い摩擦荷重が変化するという問題があります。

スラストシリンダー式イメージ
スラストシリンダー式
ブロックオンリング式イメージ
ブロックオンリング式

四球式(曽田式あるいはシェル式)

主に、潤滑油に浸された球状の試験体の焼付き特性や潤滑剤の耐荷重性能の測定に用いられる試験です。潤滑油の中に4個の同一寸法の鋼球をピラミッド形に積み上げます。下の3個を固定し、その上に1個の試験体を置きます。試験体を押し付けて回転させ、試験体の摩耗状態を測定します。

曽田式
3/4インチの鋼球を使用し、768 rpmで1分間の試験を行います。
焼付きが起きる直前の荷重(合格限界荷重)を耐荷重能とします。
シェル式
1/2インチの鋼球を使用し、1,768 rpmで10秒間の試験を行います。
鋼球どうしが融着し、一体化したときの荷重を計測します。
四球式イメージ

ピンブロック式

主に、潤滑油に浸された円筒形の試験体の焼付き特性や潤滑剤の耐荷重性能の測定に用いられる試験です。円筒形の試験体を両側からブロックで挟み、棒を回転させて試験体の摩耗状態を測定します。

ピンブロック式イメージ

試験の概要

試験体の摩耗量やひずみ、試験体の振動量や温度、潤滑油の温度、回転トルクの変化およびロードセルにかかる負荷を計測します。

得られるデータ
摩耗、ひずみ量、変位量、振動量、温度、油温など

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