温度試験タイプ

材料や商品に温度や湿度変化を加え、変化の状態を測定する試験です。この試験は一般に恒温槽の中で行われます。
ここでは、熱衝撃試験・温湿度サイクル試験・高温/低温保存試験・温度/減圧複合試験・温度サイクル試験などの環境試験について説明します。

試験の種類

熱衝撃試験

部品や装置の、周囲温度の変化に対する耐性を確認する環境試験です。高温と低温の温度差を繰り返し与え、温度変化に対する耐性を短時間で評価します。例えば、熱膨張係数の異なる材料が接合されている部分に温度変化を与えると、膨張率の違いから膨張・収縮の際に応力がかかります。これを繰り返す(繰り返し応力)と、クラック(ひび)や破壊が生じます。そして、繰り返し応力が作用すると、材料の疲労が蓄積され静的強度より低い強度で破壊に至る場合があります。繰り返し応力は、接合部の割れや塗膜の剥離、ネジの緩みなどの原因にもなります。熱衝撃試験は、この温度変化を繰り返すことにより、室内から屋外への移動など急激な温度差にさらされる製品を評価します。

熱衝撃試験は、大きく「気槽式熱衝撃試験」と「液槽式熱衝撃試験」に分類できます。
気槽式熱衝撃試験は空気を熱の媒体とする試験で、テストエリアに高温空気と低温空気を交互に送り込み、熱衝撃を与えます。液槽式熱衝撃試験は液体を熱の媒体とした試験です。試験体を高温と低温の液体に交互に浸して熱衝撃を与えます。初めから目的温度に達している液体に浸すので、テストエリアの空気を調整する時間を要する気槽に比べて、急激な温度変化を与えられます。

温湿度サイクル試験

温度変化と湿度変化による結露や乾燥を製品に与え、その影響を測定する検査です。湿度や乾燥による製品の劣化や、呼吸作用による製品への気体や液体の流入・流出を測定します。

高温/低温保存試験

製品を高温または低温環境下で一定期間保存した後、その影響を確認します。温度や保存時間はJIS規格やキャリアからの要求を参考に決定しています。

温度/減圧複合試験

電子部品や電子機器製品が、低圧の中で温度が変化した状態で問題なく動作するかを調べる複合耐性評価試験です。この試験は、航空機搭載用電子機器の品質評価のための試験でした。しかし、携帯電話やスマートフォンなどの民生用電子機器が普及し、航空機・山の上・高層ビルなど低圧環境で使用されることから、この試験の重要性が増しています。

温度サイクル試験

外部環境または自己発熱による温度変化が繰り返し発生する状況を想定し、熱ストレスを与えて耐性を確認する試験です。
電子部品は、熱膨張係数が異なるさまざまな材料で構成されています。このため、熱膨張係数の違いによる応力が発生し、不具合が生じる場合があります。温度サイクル試験は、指定された低温と高温に順次変化する環境に製品を置き、指定されたサイクル数のストレスを加える試験の1つです。

耐候性試験

「耐候性」とは、材料を屋外で使用する場合の耐久性(変形・変色・割れ・硬化などを起こしにくい性質)のことです。JISでは「耐候性とは、自然環境のうち主として日光、雨雪、温度、湿度およびオゾンによる劣化に対する抵抗性である。(JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法より)」と定義しています。
屋外環境の再現は複雑で、例えば太陽光の全日射量は、南面45度と南面90度では年間約1.6倍の差があります。また、太陽光の中でも、300 nm付近のエネルギーは、物質の劣化を進める最も大きな要因とされています。

耐候性試験は、太陽光(主に紫外線)はもちろん、熱・雨風など屋外の条件を人工的に再現することにより、屋外暴露に比べ数倍から約100倍の促進倍率で材料の耐候性を評価します。
耐候性試験は、試験材料に合った試験方法で試験を行うことが基本となります。試験方法や光源は規格で定められており、まず国際規格基準の「グローバルスタンダード試験」を行うことが重要です。

計測の概要

高温や低温、極度の乾燥や多湿の中で長期間行う試験の観測は、試験機から離れた場所で行う必要があります。また、観測場所のスペースに制限がある場合も少なくありません。

評価対象
電子部品、電子部品、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを使用した製品、携帯電話、ノートPC、タブレット、デジタルカメラ、時計、車の電子部品、車載ユニット、家電、樹脂成形品、塗装、接着剤、リチウムバッテリー、太陽電池モジュールなど。
得られるデータ
温度、歪み、回路電圧など

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