安全規格の体系図
「機械安全」とは、機械が壊れても、人が操作を誤っても、技術によって安全を確立する考え方です。ここでは、機械の進歩とリスクの変化に対応すべく、組み合わせて用いられる国際規格「ISO/IEC」の体系やその主要な安全規格について説明します。
機械安全の国際規格
ISOやIEC規格は、必ずしも個別の機械ごとに存在するわけではありません。日々進歩する製品に合わせて、規格要求事項をアップデートすることは事実上不可能です。そこで、ISOやIEC規格は規格を階層(ISO/IECガイド51による)に分け、それらの規格を組み合わせて活用することにより最新の機械にも対応できるようになっています。
ISO/IEC規格
ISO
国際標準化機構(International Organization for Standardization)。1947年に創設された非電気分野を専門に扱う標準化機構。スイスのジュネーブに本部があり、日本も加盟している。最も著名なISO規格として、ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)などがある。
IEC
国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)。1908年に創設された電気分野の専門に扱う標準化機構。スイスのジュネーブにあり、日本も加盟している。
主要な安全規格(用語解説)
ISO/IECガイド51
安全規格を策定する際の基準となるガイドライン。安全の定義(「安全=受容できないリスクがないこと」)はここに定められている。
ISO12100
リスク低減のための方法論」として「リスクアセスメント」の概念と「3ステップメソッド」が記載されている、機械を安全に設計する上で最も広範囲で基本的な規格。「3ステップメソッド」とは「(1)本質安全設計方策」「(2)安全防護及び付加保護方策」「(3)残留リスクについての情報提供」からなる設計者が実施すべき安全方策とその手順。A規格の一つであったが、技術的内容を変更する事なく、ISO12100-2とともに「ISO12100:2010」に統合された。
ISO13849-1
機械の制御システムにおいて、安全に関連する部分を設計するための一般原則を定めた規格。安全機能を実行するための能力をレベル別に区分するため、PL(パフォーマンスレベル)が定義されている。
ISO14121
機械の全段階におけるリスク低減を目的とした、リスクアセスメントを実施する際に要求される項目のガイドライン。A規格の一つであったが、技術的内容を変更する事なく、「ISO12100:2010」に統合された。
IEC60204-1
機械の電気装置全般を対象とした規格。人および財産の安全、制御応答の一貫性、保全の容易性を達成するための要求事項および推奨事項が規定されている。