日用品・医療品業界

オムツ/サニタリー用品の異物・汚れ

オムツ/サニタリー用品などの不織布製品は、凹凸があり、コントラストが低いため、画像センサによる不良検知が困難でした。しかし近年では、画像処理システムの発達により検査の自動化が実現しています。こちらでは、オムツ/サニタリー用品の検査を行ううえで覚えておきたい基礎知識、よく起こる不良の種類や発生原因、従来の検査方法と最新画像処理システムを活用した検査事例を紹介します。

製造の概要・基本

不織布について

不織布(ふしょくふ)は、読んで時のごとく「織らない布状のもの」を指します。通常、布は織ったり(織物)、編んだり(編み物)することで生成されています。一方、不織布は、繊維を一定方向またはランダムに集積して、接着樹脂で科学的に結合させたり、機械的に絡ませたり、熱融着繊維で結合させて生成します。

不織布について

不織布の特徴について

不織布は、織物・編み物に比べて耐久性は低いですが、低コストで機能性の高い布製品を作れるので、ディスポーザブル(使い捨て)製品に適しています。このような理由からオムツや生理用品、清掃用ワイパー、マスク、メイク落とし用ペーパーなどに利用されています。

不織布の特徴について

不織布の原料について

紙オムツや生理用品には、ポリオレフィン・ポリエステル不織布、ポリオレフィン不織布、ポリウレタン不織布などが使用されています。不織布は、多種多様な原料から作られており、目的・用途にあわせて以下のような原料が使用されます。

【天然素材】
綿/羊毛/麻/パルプ/絹/鉱物繊維など
【化学繊維】
レーヨン(再生繊維)/ナイロン/ポリエステル/ポリプロピレン/アクリル繊維/ビニロン/アラミド繊維など

よく起こる不良の種類と発生要因

オムツ/サニタリー用品の製造工程でよく起こる不良の種類とその発生原因について説明します。こちらでは、特にオムツ/サニタリー用品の異物・汚れの検査に関わる不良を紹介します。

汚れ・カビ

OK
OK
NG
NG

不織布は、製造工程で異物が混入したり、汚れが付着したり、カビが発生したりする恐れがあります。対策としては、クリーンルームや静電気除去装置の設置等が挙げられます。

繊維や毛髪の混入

繊維や毛髪の混入

不織布は、製造の過程で別の繊維や毛髪が混入してしまう危険性があります。また、繊維が絡まっていたり、逆に結合していなかったりすると品質低下を招きます。これらは目視検査では発見が難しく、また画像センサでも範囲が広く、微細な不良が多いため検出が困難でした。

従来の検査方法

オムツや生理用品に使われている不織布は、凹凸があり、コントラストが低いので画像センサによる不良検出が困難でした。そこで人間の目視検査に頼ってきました。しかし不織布の不良は、集積した繊維の中に隠れている不良や微細な欠陥が多く、検査員によって判断基準が曖昧になりやすく、検査漏れも発生しやすいという問題があります。また、広範囲にわたって検査する必要があるので手間・時間がかかり、生産効率の低下にもつながっていました。

従来の検査方法

最新画像処理システム検査事例

最新画像処理システム検査事例

キーエンスの画像処理システム「XG-Xシリーズ」は、最大6700万画素の高精度検査が可能な「ラインスキャンカメラ」に対応しており、広範囲でも正確な外観検査が可能です。通常のエリアカメラは照明ムラの影響を受けますが、ラインカメラは照明ムラの影響を受けにくいので凹凸のあるオムツ・生理用品などの外観検査に適しています。「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」の傷検査モードやリアルタイム濃淡フィルタ処理を利用すれば、ワーク表面の陰影を除去し、異物・汚れのみを正確に検出可能です。

最新画像処理システム検査事例
エリアカメラのイメージ
明るさのムラあり
エリアカメラのイメージ
ラインカメラのイメージ
明るさの均一な画像
ラインカメラのイメージ
  1. A:検査対象
  2. B:撮像範囲
  3. C:1軸ステージ

そのほか、「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」の前処理フィルタ「線欠陥抽出」も不織布の欠陥検査に有効です。不織布は、繊維の特性上、表面に凹凸があり、不均一なため傷と繊維の判断が困難でした。「線欠陥抽出」を使えば、検査範囲内のノイズ情報を除去でき、背景の凹凸や柄などの影響を受けずに汚れや傷、毛髪や異物混入などの不良を正確に検出できます。

背景に細かいざらつきがあり、線状の異物を検出することができません。
背景に細かいざらつきがあり、線状の異物を検出することができません。
背景ノイズを無視して線状の異物のみが抽出できています。
背景ノイズを無視して線状の異物のみが抽出できています。

まとめ

このページでは、不織布の特徴と原料、製造工程で発生する不良の種類とその原因、さらに外観検査の方法についても紹介しました。それらをまとめると、以下の通りです。

  • 不織布は広範囲にわたって検査する必要があり、目視による検査では検査漏れだけでなく、生産効率の低下にもつながる。
  • 不織布は凹凸があり、コントラストが低いので、画像センサによる不良検出が困難。
  • キーエンスの画像処理システムなら、ラインスキャンカメラを使用することでコントラストが低いワークでも、広範囲で外観検査が可能。

ワークによって、外観検査の方法もさまざまです。最適な外観検査を行うには、それらの特徴を知り、正しく検査することが大切です。
このページで紹介した内容や、他のページに記載している外観検査の知識を1冊にまとめた資料「外観検査のすべて」は、下記からダウンロードできます。画像処理システムの導入事例集とあわせてご覧ください。

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