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ヒューズの組違い

ヒューズの組違い検査について説明します。こちらでは、主に自動車用ヒューズボックスの外観検査で覚えておくべき基本的な知識、よく起こる不良の種類や発生原因、基本的な検査項目、従来の検査方法と最新画像処理システムを活用した検査事例を紹介します。

製造の概要・基本

ヒューズについて

ヒューズは、定格以上の大電流が電気回路に流れないようにする電子部品です。短絡や過負荷などの回路異常によって大電流が流れると、ヒューズ内部の合金が発熱・溶断して物理的に電流が流れないようにします。特に自動車では多く使用され、各電気回路を保護するためにヒューズボックスに多くのヒューズが収められています。ヒューズには、ガラス管ヒューズやブレードヒューズなどがあり、自動車では一般的にブレードヒューズが使用されています。

ガラス管ヒューズ
ガラス管ヒューズ
ブレードヒューズ
ブレードヒューズ

自動車業界におけるヒューズの組違いによる問題

ヒューズは、回路異常による故障を防止する重要な部品であり、組違いはあってはならない不良です。もしヒューズの組違いが発生し、市場に出回ってしまえばリコールの対象になります。リコールになれば、メーカーは回収・修理をしなければならないので大きな損失になり、ユーザーの信用を失うきっかけにもなってしまいます。そこで確実な検査が求められています。

自動車業界におけるヒューズの組違いによる問題

ブレードヒューズの容量と色分け

自動車で使用されているブレードヒューズ(「平型」「ミニ平型」「低背型」)は、対応している容量によって色分けされています。この色を検査することでヒューズの組違いを防止することができます。自動車で使用されているヒューズの容量は、通常は以下のように色分けされています。

  • 5A:黄褐色
  • 7.5A:茶色
  • 10A:赤
  • 15A:青
  • 20A:黄
  • 25A:無色
  • 30A:緑
ブレードヒューズの容量と色分け

よく起こる不良の種類と発生要因

ヒューズボックスの組み付け工程でよく起こる不良の種類とその発生原因、検査項目について説明します。

異品種、組違い、抜け

OK画像
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NG画像
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自動車用ヒューズは、各種容量をヒューズボックスの正しい位置に確実に差し込むことが重要です。このヒューズボックスへの実装工程で部品の取り間違いが発生すると異品種混入、組違い、抜けなどの不良が発生します。

色の検査

色の検査

ヒューズは、容量ごとに色分けされているので、異品種混入や組違いを防ぐには、組み付け時にヒューズの色を判別・検査することが重要です。

文字の検査

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ヒューズには、本体に「5A」「10A」のように容量が文字で記載されています。より確実に異品種・組違いを防止するため、色と合わせて文字の確認も大切です。

従来の検査方法

産業用ロボットや各種センサによって自動化が進んでいる自動車部品の製造現場ですが、ヒューズの組違いのような検査項目は自動化が困難でした。ヒューズは、形状が同じなので従来の白黒カメラでは種別の検出が難しく、色・形・柄など検査項目が多岐にわたるので目視検査に頼ってきました。しかし、ヒューズの組違いの目視検査は、複数項目を一度にチェックしないといけないので手間・時間がかかり、ミスも発生しやすいという問題がありました。

従来の検査方法

最新画像処理システム検査事例

最新画像処理システム検査事例

キーエンスの画像処理システム「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」は、カラーカメラに対応しているので色によるヒューズの組違い判別が可能です。同時に有無検査、OCR(文字認識)による文字の読み取り、組み付け角度の確認、傷や汚れ等の外観検査などを1台で実施できます。

従来、複数の検査を実施するには複数のセンサや複雑なプログラムを作成する必要があり、導入の手間・コストがかかりました。しかし、キーエンスの「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」は、検査したい内容からツールを選択するだけなので誰でも簡単に画像処理システムの設定ができます。例えば、ヒューズの抜けを検査したいときはツールカタログから「有無・判別」、文字を検査したいときは「認識」を選択するだけで適切な画像検査が実現できます。

さらに良品の個体差を学習し、不良品を判別する「学習検査ツール」を搭載しているので簡単に画像検査の設定ができます。良品を流すだけで個体差を学習し、その個体差から外れる不良品を検出します。ヒューズの検査は、色・形・柄などの確認項目が多く、設定が面倒でしたが学習検査ツールを利用すれば設定の手間も解消できます。

最新画像処理システム検査事例
ツールカタログ
キーエンスの長年のノウハウをもとに、用途に応じてツールをカテゴライズしました。その検査に最適なツールに直感的にたどりつきます。
アプリナビ
カテゴリの解説や各ツールを使⽤した代表アプリケーションなど、最適な選択のための情報が表⽰されます。

まとめ

このページでは、ヒューズボックスの検査に必要な基礎知識や、トラブルと外観検査の方法についても紹介しました。それらをまとめると、以下の通りです。

  • ブレードヒューズは透明度が高く光沢があるため、カメラやセンサによる不良検出が困難。
  • チェック項目が複数なので、目視検査ではミスの可能性が高い。
  • キーエンスの画像処理システムなら、色による組違い判別の他、有無判別・文字認識・外観検査まで1台で実施可能。

ワークによって、外観検査の方法もさまざまです。最適な外観検査を行うには、それらの特徴を知り、正しく検査することが大切です。
このページで紹介した内容や、他のページに記載している外観検査の知識を1冊にまとめた資料「外観検査のすべて」は、下記からダウンロードできます。画像処理システムの導入事例集とあわせてご覧ください。

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