日用品・医療品業界

医薬品の印字

医薬品は、人の生命や健康に深く関わるので表示に厳しいルールがあります。食品や日用品に比べて記載内容も多く、たびたび取り間違えや投薬ミスによる医療事故も発生しています。こうした事態を改善するために2005年に薬事法が改正され、2014年に施行された「薬事法等の一部を改正する法律」で薬事法の名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更され、管理・製造の厳格化が図られました。こちらでは、医薬品の印字を中心に外観検査で覚えておきたい基礎知識、よく起こる不良の種類や発生原因、従来の検査方法と最新画像処理システムを活用した検査事例を紹介します。

製造の概要・基本

医薬品の表示について

医薬品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「法」と記載)」において、各内容を直接の容器等に記載するように定めています。あくまで表示ルールの一部で、外部容器等の表示事項、医薬部外品・化粧品の表示事項、医療機器の表示事項などは異なります。詳細については、必ず医薬品医療機器等法をご確認ください。

医療用医薬品へのバーコード表示義務化

以前から特定生物由来製品および生物由来製品、注射薬(生物由来製品を除く)のアンプルやバイアルについてはバーコード表示が実施されていましたが、2012年付けで厚生労働省により、その内容の一部が改正されました。医療用医薬品の種類と梱包状態を分類し、その分類に応じて商品コードや有効期限、製造番号、数量などの表示内容を明確化しています。梱包の形態とは以下になります。バーコード表示については、以下の学習サイトで詳しく説明しています。

医療用医薬品へのバーコード表示義務化
調剤包装単位

製造販売業者が製造販売する医薬品を包装する最小単位
例)アンプル、バイアル、PTPシートなど

販売包装単位

卸売販売業者が医療機関などに販売する最小の包装単位
例)10アンプル入りの箱、100シート入りPTPシートの箱など

元梱包装単位

製造販売業者が販売包装単位を複数梱包した包装単位
例)販売包装単位の箱が10箱入った段ボールなど

よく起こる不良の種類と発生要因

上述した医薬品の表示ルールは、ごく一部ですが非常に多くの情報を記載する必要があることがわかります。そのため医薬品は、容器の印字、外箱の印字の検査に手間が非常にかかります。こちらでは、医薬品の印字に絞り、よく起こる不良の種類とその発生原因について説明します。

印字の有無、印字かすれ、印字ミス

OK
OK
NG
NG

医薬品には、容器・外箱ともに多くに情報が印字されています。この印字は、法律で定められたものであり、印字ミスは消費者の生命・健康の危険につながります。しかし、機械の設定ミスのように人的要因、機械の動作不良などにより、印字がされない、かすれてしまう、間違いが発生するということがあります。

異物、傷、汚れの付着

OK
OK
NG
NG

ホコリやゴミの付着、そのほか異物の混入、衝撃による傷の発生なども重要な検査事項です。特に容器の傷、容器内の異物などは、生命・健康につながる重大な問題です。

封緘シールの有無

OK
OK
NG
NG

医薬品の個包装箱は、改ざん防止のために封緘シールを貼ることが法律で定められています。封緘シールの貼り忘れを防止するために製造現場では目視検査、または専用検査装置や画像処理システムによる検査が求められます。

液面高さ、内容量

液面高さ、内容量

アンプルなどの内容量を知るために液面の高さを検査します。液面の高さが不揃いになる原因としては、アンプルに充填する機械トラブルなどが考えられます。

従来の検査方法

医薬品の記載内容は、製品品質の保証と使用者の安全を守る意味があります。そこで専任の検査員が目視検査を実施し、バーコードなどはコードリーダやハンディターミナルで読み取って確認していました。しかし、目視検査は見落としなどの人為的ミスも発生しやすく、特に「0(ゼロ)」と「O(オー)」、「1(イチ)」と「I(アイ)」などの英数字は見間違いが発生しやすいポイントです。また、目視とコードリーダ・ハンディターミナルで二重にチェックする手間もありました。

従来の検査方法

最新画像処理システム検査事例

最新画像処理システム検査事例

キーエンスの画像処理システム「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」は、OCR(文字認識)に対応しており、製品番号や使用期限などを正確に読み取ることが可能です。バーコードの読み取りにも対応しているので、従来は目視+コードリーダ・ハンディターミナルで行っていた検査工程を1台の画像処理システムで自動化することが可能です。

キーエンスの画像処理システム「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」は、3次元検査にも対応しています。ブリスター包装後の破れなど外観検査は、表面の光沢や湾曲に影響され安定検査が困難でした。3次元画像処理であれば、表面状態に左右されることなく不良を検出できます。

最新画像処理システム検査事例

まとめ

このページでは、医薬品の外部容器や梱包箱の表示について説明しました。また、製造工程で発生する不良の種類とその原因、さらに外観検査の方法についても紹介しました。それらをまとめると、以下の通りです。

  • 医薬品の表示ルールは日用品の表示に比べて厳格で、医薬品の種類や梱包状態によって表示内容が明確化されている。
  • 表示されている情報の他にも、異物混入、封緘シールの有無検査は不可欠。
  • 従来は専任の検査員による目視と、コードリーダーなどによる二重のチェックが行われていた。
  • キーエンスの画像システムなら、文字・バーコードはもちろん、内容量や異物混入の検査が可能。

ワークによって、外観検査の方法もさまざまです。最適な外観検査を行うには、それらの特徴を知り、正しく検査することが大切です。
このページで紹介した内容や、他のページに記載している外観検査の知識を1冊にまとめた資料「外観検査のすべて」は、下記からダウンロードできます。画像処理システムの導入事例集とあわせてご覧ください。

外観検査.com トップへ戻る