食品・日用品業界
身の回りにある食品や日用品、医薬品などは、安全性を確保するために熱処理がよく用いられます。食品や医薬品のような体内に入る製品は、細菌や病原菌などを死滅させるために殺菌・滅菌などの処理が厳格に定められ、品質管理や安全保証のために各種データの保管が義務となっています。こちらでは、食品・日用品業界の熱処理工程における温度管理の事例について、キーエンス商品を活用したソリューションを交えてご紹介します。
殺菌・滅菌データ収集(PH・温度・流量)
食品工場では、O157やサルモネラ菌などの細菌性食中毒の原因菌を死滅させるために殺菌・滅菌が義務付けられています。しかしながら過度に温度を加えると味や風味、栄養価を失い商品価値が低下する恐れもあります。そこで食品工場では、ISO等で定められた殺菌・滅菌の基準をクリアし、なおかつ商品価値を高めるために精密な温度管理が求められます。
また、温度管理のデータは、ISO規格等で保管することが義務付けられています。食品安全に関するISO規格は、「ISO 22000」「ISO 9001-HACCP」などが有名です。最近では、食品製造に関わる会社の前提条件プログラムを国際規格に統一するために「ISO/TS 22002-1」、「FSSC 22000」も一般的になりつつあります。
これらの規格では、CIP(定置洗浄)システム、殺菌・滅菌の有効性を検証するモニタリングなども要求項目になっています。そこで殺菌・滅菌を行う温度や時間はもちろん、流量やPHなど多数のデータを管理する必要があります。キーエンスのタッチ型パネルレコーダ「TR-Wシリーズ」は、デジタルデータとして温度はもちろん流量や圧力など複数の情報を収集・管理が可能。デジタルデータとして保存するため紙詰まりやインク切れで記録不備が発生する心配もなく、製造履歴のデータを確実に管理できます。
カテーテル熱乾燥炉温度計測
医薬品業界では、製品の製造方法や製造過程が薬品の効能を効果的に引き出しているか科学的に立証する必要があり、そのことを「バリテーション」といいます。バリテーションは、厚生労働省のGMP省令の一つで製薬業界では欠かせないものです。
医薬品は大量生産されますが、すべての製品が同じ効能、品質、成分でなければいけません。バリテーションは、薬品の均一性を確かめる条件というわけです。その条件の中には、必要な温度と時間で加熱・冷却されたかという項目もあります。
例えば、カテーテルが熱乾燥炉で正しく温度管理されていないと、必要な強度や表面形状を満たすことができなくなる可能性があります。そこで適切な温度管理と品質を保証するバリテーションが非常に重要で、確実な記録として残すために紙によるデータ管理が規定されているケースも少なくありません。デジタルデータだけではなくチャート紙に記録する必要があるのです。キーエンスのプリンタ搭載タッチ型パネルレコーダ「TR-Hシリーズ」は、デジタルデータとチャート紙どちらにも記録できるので確実な記録が可能です。必要なデータのみチャート紙に残すこともできるので、記録紙やインクの無駄も削減でき、デジタルデータなので管理も簡単です。
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真空凍結乾燥炉のデータ記録
凍結したままで水分を除去する真空凍結乾燥(フリーズドライ)は、熱に弱い色、味、香り、ビタミン、微生物などの変化を最小限に抑えることができるため、食品分野で広く用いられている製法です。フリーズドライ製法は、真空凍結乾燥機という機械で行いますが、品質保証のために紙での記録が義務付けられています。
しかし、従来の記録計は、紙切れやインク切れ、紙詰まりによって記録漏れが起こる危険性があり、もし記録漏れが発生すればロット破棄につながり大きな損失になります。キーエンスのプリンタ搭載タッチ型パネルレコーダ「TR-Hシリーズ」は、デジタルデータと紙の両方で記録できるので、紙切れやインク切れ、紙詰まりで記録漏れが発生することを防ぐことができます。従来どおりチャート紙に記録を残すこともでき、さらにデジタルデータとして記録を保管できるので万が一のトラブル時でも必要なデータを新たにプリントすることが可能です。また、温度のほか圧力や流量などの情報も管理できるので、データ提出や解析にも有効です。
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