フロートガイドパイプ式レベルスイッチ

フロート式レベルスイッチは、液面に浮かべた浮子(フロート)の位置により液面のレベルを検出するセンサです。液体の導電率や比誘電率などの電気的特性には依存しません。構造が簡単で安価なため古くから使用されてきたレベルセンサです。ここではフロートガイドパイプ式レベルスイッチを紹介します。

広義のフロート式レベルスイッチには縦ざしと横ざし、両タイプあります。フロートガイドパイプ式は縦ざしタイプのみです。タンク上部に取り付け、フロートの数を増やせば、1台で多点のレベルを検出することができます。

原理

  • 原理

    フロート内部にマグネット、ステム内にリードスイッチがあります。液体の浮力によってフロートが上下し、フロートが磁気駆動型スイッチの高さに来ると、リードスイッチがONします。

構造

構造
  • 端子ボックス、プロセス接続、フロート、ステムから構成されています。
  • 液体の腐食性や使用条件により、フロート、ステムの材質を選定します。
  • 検出したい液面の高さに応じてストッパの位置を調整します。

選定方法

材質の選定

検出する液体の腐食性に合わせて材質を選定します。

材質例

項目 金属製 樹脂製
端子ボックス ADC12 PVC
フランジ SUS304、SUS316、SUS316L PVC、PP
フロート SUS304、SUS316、SUS316L 発泡NBR、PVC、PP、PFA
ステム SUS304、SUS316、SUS316L PVC、PP、PFA

寸法の指定

タンクや槽の深さに応じてステム長さを指定します。

液面を制御する接点数や高さに応じて、フロートの位置を指定します。

リレー接点の指定

リレーが液面上昇時ON、下降時OFFなのか、上昇時OFF、下降時ONなのかを選択します。供給の制御か、排水の制御のいずれかによって選択します。

比重と粘度

液体の比重が軽すぎるとフロートが浮かびません。また、液粘度が高すぎるとフロートが動きません。使用可能な液比重と液粘度を確認する必要があります。

注意点

付着物

フロートとガイドパイプの隙間にスラッジなどが混入すると、フロートが動かず動作不良となります。定期的な清掃が必要です。

粘性の液体

粘性のある液体はフロートの上下運動を妨げる原因になります。使用することができません。

磁性体の混入物

鉄粉等の磁性体の金属浮遊物がある液体には使用できません。スイッチがマグネットを利用しており、誤動作する恐れがあるためです。

強磁界の影響

モータや電磁弁など強磁界が発生する機器がそばにあると、誤動作の原因になります。

波立ち

給排水口や攪拌機の付近など、液体の流れや波立ちの激しい場所に取り付ける場合は防波管が必要です。

まとめ

このページでは、フロートガイドパイプ式レベルスイッチの原理や構造、選定方法・注意点について説明しました。
それらをまとめると、以下の通りです。

  • 液面に浮かべた浮子(フロート)の位置で液面のレベルを検出する。
  • 液体の導電率や比誘電率などの電気的特性には依存しない。
  • 強磁界の近くでは誤動作の可能性がある。
  • 粘性のある液体や鉄粉などの磁性体の金属浮遊物がある液体には使用できない。

検出する液体によって、レベル検査の方法もさまざまです。最適なレベル検査を行うには、それらの特徴を知り、正しく検査することが大切です。
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