傾斜フロート式レベルスイッチ
フロート式レベルスイッチは、液面に浮かべた浮子(フロート)の位置により液面のレベルを検出するセンサです。液体の導電率や比誘電率などの電気的特性には依存しません。構造が簡単で安価なため古くから使用されてきたレベルセンサです。ここでは傾斜フロート式レベルスイッチを紹介します。
傾斜フロート式レベルスイッチは、主に下水処理用水や工場排水などのレベル検出に多く使用されます。汚水やスラリー、高粘度の液体にも適しており、悪環境でも使えるため幅広い使用環境で活用されています。
原理
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液面の上昇時には、液面に応じてフロートが上昇し、制御幅の上限になると、フロートが反転運動を行い、内部の可動ウェイトが動き、リードスイッチを切断します。反対に、液面が下降時には、制御幅の下限になるとフロートが逆転運動を行い内部の可動ウェイトが動き、リードスイッチが導通します。内部の可動ウェイトは上限または下限でしか動かないため、波立ちの影響を受けず、自己保持機能を有するため1台でポンプコントロールを行うことができます。
構造
- 端子ボックス、フランジ、ロープ、ケーブル、フロート、ウェイトから構成されています。
- ケーブル部は柔らかく動かなくてはならないため、樹脂製に限定されます。ロープ部はSUS製のワイヤーもあります。
- 1つのフロートで制御を行う場合は、制御幅に合わせて、ケーブルの長さを調整します。
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フロートが反転するとき、リードスイッチが入ったパイプ上を可動ウェイトが移動してマグネットと接触します。これによって可動ウェイトがマグネットによって磁化され、パイプ内のリードスイッチが磁気により駆動してON/OFFします。
選定方法
材質の選定
検出する液体の腐食性に合わせて材質を選定します。
接点数の選定
液面を制御する接点数に応じてフロートの数を指定します。
ウェイトの選定
フロート数に応じてウェイトの重さを選定します。
注意点
設置環境
ケーブルにつながれたフロートが液面に追従して上下しますが、ケーブルを半径にした範囲内は自由に動き回ります。取り付け場所はそのスペースを確保する必要があり、配管などの障害物に注意します。
多点で利用する場合はフロート同士が絡まらないようにケーブルの長さを調整します。
ウェイトはタンク底に付くようにロープ長を調整します。
波立ち
給排水口や攪拌機など流れが激しいところはフロートが振り回されるため不向きです。
強磁界の影響
モータや電磁弁など強磁界が発生する機器がそばにあると誤動作の原因になります。
フロート破損
フロート内部は可動ウェイトやリードスイッチなど精密部品で構成されています。また、内部を液体の侵入から守るため防水・防塵構造となっています。腐食・ひび割れ等で穴があくと、破損につながることがあります。
まとめ
このページでは、傾斜フロート式レベルスイッチの原理や構造、選定方法・注意点について説明しました。
それらをまとめると、以下の通りです。
- 液面に浮かべた浮子(フロート)の位置で液面のレベルを検出する。
- 液体の導電率や比誘電率などの電気的特性には依存しない。
- 汚水やスラリー、高粘度の液体にも対応できる。
- 内部の可動ウェイトは上限または下限でのみ動作するため、波立ちの影響を受けない。
- 設置には、フロートの動作を妨げないだけのスペースが必要。また、強磁界の近くでは誤動作の可能性がある。
検出する液体によって、レベル検査の方法もさまざまです。最適なレベル検査を行うには、それらの特徴を知り、正しく検査することが大切です。
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