レベルセンサとは?

工場やプラントには、さまざまなタンクや槽があり、その内容物の量の管理に使用されるのがレベルセンサです。製造の現場では、容器中の液体や粉体の量を監視し、原材料の投入をはじめとするあらゆる場面でレベルセンサが利用されています。その主な目的として、工程の自動化や省人化、リスクの排除などが挙げられます。ここでは、製造現場で使用されるレベルセンサについて、使用例を交えながら解説します。

レベルセンサ(レベル計・レベルスイッチ)とは

レベルセンサは、大きくレベル計とレベルスイッチに分けられます。
レベル計は内容物の高さを連続的に計測し、アナログ出力、または通信機能のみを装備するものが大半です。下図の場合、レベル計Aからの信号で、容器中の残量をリアルタイムに確認することができます。
それに対し、レベルスイッチは、取り付けられたレベルに内容物が有るか無いかだけを検知し、接点信号を出力します。下図の場合、レベルスイッチB、Cからの信号で、内容物の過不足を知ることができます。
小規模なタンクや槽ではレベルスイッチだけで十分な場合もありますが、大規模なものの場合、多数のレベルスイッチを取り付けるより、レベル計を使用する方が効率的に管理できます。用途によっては、レベル計とレベルスイッチを併用する場合もあります。

A:レベル計(連続レベル計) B:レベルスイッチ(上限検出用) C:レベルスイッチ(下限検出用)

製造現場でのレベルセンサの用途

実際の製造現場におけるレベルセンサの使用例をいくつか挙げ、それぞれの使用目的や原理、使用上の注意点などについて解説します。

排水ピット

  • 離型剤作動油や洗浄液などの廃液をためている排水ピットに、廃液あふれ(オーバーフロー)防止の目的でレベルセンサが使われます。

    この例では電極式レベルセンサが使われており、2つの接点が液体に接すると導通し液面を検知します。

    電極式レベルセンサは、可動部がないため機械的な故障が少なく、液体の腐食性に応じた材質の電極が使えることから、幅広く使用されています。ただし、電極に付着した汚れを定期的に清掃する必要があります。

加工機のダーティタンク

  • 金属部品の加工に使う切削油や潤滑油を濾過・循環させるダーティタンクに、油液補充やあふれ(オーバーフロー)防止の目的でレベルセンサが使われます。

    この例ではフロート式レベルセンサが使われており、液体に浮かぶフロートが上下することで、スイッチをON/OFFし、液面を検知します。

    フロート式レベルセンサは、導電率や比誘電率などの電気的特性には依存せず、フロートの数を増やすことにより1台で複数のレベルを検出できることから、費用対効果のよさもあり古くから使用されてきました。ただし、切粉やゴミなどがフロート部に絡んでいないかを定期的に目視でチェックする必要があります。

原材料の調合タンク

  • 食品工場や化学工場などの調合タンクに、原材料投入を自動化する目的でレベルセンサが使われます。

    多くの場合、静電容量式レベルセンサが使われており、電極間、または電極と金属タンク間の静電容量の変化を連続的に計測することで液面を検知します。

    静電容量式レベルセンサは、可動部がないため機械的な故障が少なく、液体・粉粒体を問わず使えることから、幅広く使用されています。ただし、電極に付着した汚れを定期的に清掃する必要があります。

機械部品のメッキ槽

  • メッキ工程のメッキ槽や洗浄槽などに、液補充やあふれ(オーバーフロー)防止の目的でレベルセンサが使われます。

    この例では超音波式レベルセンサが使われており、測定面に超音波を照射し、反射してセンサに戻るまでの時間を計測することで液面を検知します。

    超音波式レベルセンサは、非接触で検知でき、検出部がコンパクトで可動部もないことから、メンテナンスの負荷が軽いとされています。ただし、使用環境によっては、センサ部の結露、結晶の付着などで誤検知する可能性があります。

研削盤のクーラントタンク

  • 工作機械のクーラントタンクに、冷却水の補充やあふれ(オーバーフロー)防止の目的でレベルセンサが使われます。

    この例では振動式レベルセンサが使われており、振動する検知部が測定物に接触すると、振動数が変化することで液面を検知します。

    振動式レベルセンサは、導電率や比誘電率などの電気的特性に依存せず、泡立ち・液体の汚れなど密度の変化に強いとされています。ただし、検知部に付着した汚れを定期的に清掃する必要があります。

プリント基板のソルダーレジストインク槽

  • プリント基板にソルダーレジスト加工をする際、インク液の補充やあふれ(オーバーフロー)防止の目的でレベルセンサが使われます。

    この例では差圧式レベルセンサが使われており、槽底面にかかる圧力を計測することで液面を検知します。

    差圧式レベルセンサは、導電率や比誘電率などの電気的特性に依存せず、絶縁体かつ高粘度の液体にも適しています。ただし、泡立ちなどで液体の密度が変動すると誤検知する可能性があります。

電線の純水洗浄槽

  • 電線や特殊鋼板の洗浄槽に、純水の補充やあふれ(オーバーフロー)防止の目的でレベルセンサが使われます。

    この例では光式レベルセンサが使われており、センサの発光素子と受光素子の間の光量の変化を計測することで液面を検知します。

    光式レベルセンサは、導電率や比誘電率などの電気的特性に依存しません。また、可動部がないためゴミや不純物の混入を抑えることができます。ただし、発光・受光素子に付着した汚れを定期的に清掃する必要があります。

FA用とPA用レベルセンサの違い

レベルセンサには、FA(Factory Automation)用とPA(Process Automation)用があります。
これらを主な使用環境で分けると、FA用は屋内用、PA用は屋外用と区別することもできます。
FA用(屋内用)はマシニングセンタのクーラントタンクや、油圧装置の作動油タンクのレベル監視など、空焚きやあふれ(オーバーフロー)防止に使います。
一方、PA用(屋外用)は原油貯蔵タンクや穀物用サイロなどの残量を連続的に測定して使用します。

分類 FA用(屋内) PA用(屋外)
目的 上下限制御 連続モニタ
出力 接点出力 アナログ電流/電圧、通信機能
測定
距離
~2m 60m以下
仕様 DC電源 2線式
防爆 なし あり

このサイトではFA用(屋内用)のレベルセンサについて紹介します。

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