静電気放電による、着火・爆発

これまでは、おもに静電気放電による半導体デバイスへの損傷や機器の誤作動などについて説明してきましたが、様々な業種や生産分野においては、静電気放電が誘因し着火や爆発など、大きな事故につながるケースも多くあります。

絶縁抵抗の高い高分子材料を取扱う産業の場合、高分子フィルムが多数のローラと接触するため、その電荷密度が高くなり、フィルムが金属ローラから離れる瞬間に静電気放電が起こります。面積の大きい帯電フィルムでは、近接導体近傍の電界も強くなるため、可燃性雰囲気のある所では着火の可能性があります。

可燃ガスの場合は、空気と混合されたときに火花放電が起こり、ガスに引火して爆発する事故があります。このとき、可燃ガスは放電エネルギーのしきい値を超えたものと考えられます。

下表は、空気が混合された可燃ガスの中で火花放電が起こる際の、最小着火エネルギーのしきい値を示しています。ただし、ガスの着火は確率的な現象なので、最小着火エネルギーのしきい値が絶対なのではなく、危険性の目安とされています。

粉体の場合の着火エネルギーは、ガスに比べ大きな値になります。しかし、導体が帯電している場合や、帯電粉塵の密度が高い場合などは危険です。また、粉体の粒子が細かくなる程、このエネルギー値は小さくなり、静電気放電で爆発する危険性も高まります。

さらに、石油を扱う際はより危険度は増します。原油タンカのタンク内洗浄中などの規則外の行動により静電気放電が起こり、爆発事故を引き起こすケースがあります。医療関係では、酸素タンクや酸素テントを用いる治療で着衣の帯電などによる静電気放電で着火につながる可能性もあります。

ガス最小着火エネルギーのしきい値

物質名 化学式 最小着火エネルギー(mJ)
水素 H 0.019
アセチレン HC≡CH 0.019
エチレン CH2=CH2 0.096
メタノール CH3OH 0.14
ベンゼン C6H6 0.20
ブタン C4H10 0.25
エタン CH3CH3 0.25
プロパン CH3CH2CH3 0.25
メタン CH4 0.28
アセトン CH3COCH3 1.15

入門書ダウンロード

電磁波障害

電磁波は、急峻なパルス放電による静電気放電が原因となって発生します。
この電磁波による障害は、生産現場で測定装置や通信装置のノイズ源になり、システムに影響を及ぼし誤作動やシステム破壊に至るなど多様です。例えば、冬の乾燥期にスチール机から急に立ち上がる際、机に人体が触れると強い静電気放電が起こります。その時、机上でパソコンなどを使っていると、マシンが停止することがあります。

パソコンのような機器の場合は、内部装置までの損傷に及ぶケースはほとんどありませんが、例えば、生産工場でコンピュータの装置類に制御されている場合などは、電磁波障害による装置誤作動の影響は大きな損失を生じることになります。また、静電気放電により発生する電磁波は広い周波数成分を含むため、その影響範囲は広まります。

入門書ダウンロード

静電気についてもっと知りたい方!

静電気対策を本格的にスタートさせるお客様必読です!

ダウンロードはこちら

お問い合わせ お困りごと相談はこちらから
ご相談・お問い合わせ

静電気ハンドブック

トップへ戻る