静電気とアースの関係

私たちの身の回りには、電気を通しやすいものと電気を通しにくいものがあります。
電気を通しやすいものにはどのようなものがあるでしょうか。多くの方は金属を思い浮かべるのではないでしょうか。鉄や銅、アルミなど、金属は電気を通しやすいものです。
では、電気を通しにくいものにはどんなものがあるでしょう。プラスチックやゴムなどがその代表例といえます。
電気の通しやすさは材質によってさまざまです。ここでは電気の通しやすさと静電気について説明します。

導体と絶縁体

金属のように電気を通しやすいものを「導体(導電体)」といいます。反対に、電気を通しにくいものを「絶縁体」といいます。冒頭でもふれたとおり、導体の代表例は鉄や銅などで、絶縁体の代表例はプラスチックやゴムです。
先に説明したように、2つのものがぶつかると静電気が発生します。ぶつかるものが導体でも絶縁体でも同様です。ただし、発生した静電気の性質は、導体と絶縁体で以下のように異なります。

導体に発生した静電気の行方

導体が帯電しているとします。そのままにしておくと帯電したままです。しかし、導体は「あること」によって、一瞬で静電気がない元の状態に戻ります。「あること」とは「アース」です。
アースとは、導体を大地(地球)とつなぐこと、または大地(地球)とつながっている装置を意味します。地球は「非常に大きく、電気的に安定した導体」です。地球に別の導体をつなぐと、そこには電気の通り道ができます。
例えばプラスに帯電した物体をアースにつなぐと、アースを通じてマイナスの電気が地球から物体に供給されます。また、マイナスに帯電した物体をアースにつなぐと、今度は物体にたまったマイナスの電気がアースを通じて地球に逃げていきます。
アースにつなぐことで物体は、静電気がない、電気的に安定した状態になるのです。

導体に発生した静電気の行方

洗濯機や冷蔵庫などの家電製品にアース線が配線されているのを見たことがあるでしょう。これも、たまった電気を地球に逃がすことで、家電製品を電気的に安定した状態にするための仕組みです。

導体はアースに接続されていれば、静電気が発生してもすぐにアースを伝って逃げるため、帯電したままの状態が続くことはありません。しかし、アースにつながっていない場合は逃げ場がないため、静電気をためたままの状態が続くことになります。

絶縁体に発生した静電気の行方

絶縁体に静電気が発生した場合、導体のときとは異なる経過をたどります。絶縁体は電気を通しにくいので、アースを接続しても溜まった静電気は逃げません。

絶縁体に発生した静電気の行方

では、絶縁体の静電気をなくすにはどうすればよいか、次章「静電気対策の種類」で説明します。

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